那須川天心、崖っぷちの再起戦で涙の勝利! 圧倒された歴戦の雄エストラーダがまさかの棄権 拓真vs井岡の勝者とのタイトルマッチに前進

再起戦を制し、リング上で快哉を叫んだ那須川(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
プロ格闘人生初の“再起戦”で快哉を叫んだ。
4月11日、東京の両国国技館で行われたボクシングのWBC世界バンタム級挑戦者決定12回戦で、同級2位の那須川天心(帝拳)は、同級1位のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)に9回TKOで勝利。昨年11月に井上拓真(大橋)とのタイトルマッチで敗れ、キックボクシング時代を含めて初黒星を喫していた27歳は、再スタートを切った。
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自ら「人生の岐路」と位置付ける一戦で、那須川は真価を発揮した。
対峙したエストラーダは、過去16度の世界戦を消化してきた歴戦の雄。試合前に「とにかく勝つ」と豪語していた35歳の立ち上がりは慎重そのもの。じわじわと圧力を高め、相手を追い詰めようとする。
一方の那須川も負けじと応戦。この試合に向けて、コンビを組んだGLOVESジムの葛西裕一会長とともに再構築した左の強打を放っていくファイター寄りのスタイルで序盤から攻勢を展開。ジャブからの左ストレートというコンビネーション、さらに左のカウンターを披露するなど、変幻自在な攻撃を繰り出していった。
2回終了時点で顔面付近を赤く腫らし、やや劣勢となったエストラーダは3回から近接戦にスイッチ。手数を増やし、相手の打ち終わりを狙ったジャブやボディを繰り出していく。だが、「何が何でも勝たなきゃいけない」と語っていた那須川は動じない。絶妙な距離感を保ちながらカウンターを打ち出して応戦した。
互いに打ち合いの様相を呈していった6回には、接近戦の際に生じた偶然のバッティングによってエストラーダが額付近を負傷。試合は続行されたものの、アクシデントによって2階級制覇王者がやや守勢に回ると、那須川がペースアップ。相手のカウンターをケアしつつ、7回、8回と手数を緩めず、相手を防戦一方とした。
8回終了時の公開採点で3-0でリードした那須川は、「倒しきっちゃえ!」「大丈夫だ!」との陣営の後押しも受ける中で、高い集中力を維持。次第に攻撃に反応できなくなり、ふらつくような場面も散見し始めたエストラーダに反撃の余地すら許さず。そして、10回開始前にエストラーダ陣営が棄権を申告。試合は予期せぬ形で決着となった。
ハイリスクハイリターンの試合終了直後にリング上で涙を浮かべた那須川。井上戦からの5か月間で「ボクシングは思った以上に試練を与えてくる。正直恐さもある」とフラストレーションを爆発させてもいた神童は、目に見える結果という形でネガティブな声を吹き飛ばしたと言っていいだろう。
世界的ビッグネームでもあるエストラーダとの激闘を制したことで、再びのタイトル戦も見えてきた。今後の交渉次第ではあるものの、5月2日に東京ドームで行われる井上と井岡一翔(志成)の勝者への挑戦が約束される。
負けたら終わりと言われた一戦を制した。苦境を乗り越えた那須川のボクシング人生は、まだまだ“終わらない”。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
