実はマーガリンよりバターが安全!? 医師が教えるトランス脂肪酸を激減させる「4つの習慣」

世界各国では、トランス脂肪酸の健康リスクを受けてさまざまな規制措置が講じられています。デンマークやアメリカ、カナダ、欧州連合では部分水素添加油脂の使用禁止や含有量制限が導入され、規制後に心血管疾患の発症率が減少したという報告があります。日本では法的義務はありませんが、食品事業者による自主的な取り組みが進んでいます。日常生活で摂取を減らすための調理法や食材選び、外食時の注意点について具体的に解説します。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)

帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

各国のトランス脂肪酸規制と減らすための工夫

世界各国では、トランス脂肪酸の健康リスクを受けて、さまざまな規制措置が講じられています。日常生活でトランス脂肪酸の摂取を減らすための具体的な方法を知り、実践していくことが健康維持につながるでしょう。

先進国における規制の動き

デンマークは2004年に世界で初めて、食品中のトランス脂肪酸含有量を油脂100gあたり2g以下に制限する法律を制定しました。この規制により、デンマーク国民のトランス脂肪酸摂取量は大幅に減少し、心血管疾患による死亡率の低下にも寄与したとされています。アメリカでは、2018年から部分水素添加油脂を食品添加物として使用することが原則禁止されました。カナダも2018年に同様の規制を導入し、工業的に生産されるトランス脂肪酸の使用を禁止しています。欧州連合(EU)では2021年から、食品に含まれる脂肪100gあたりのトランス脂肪酸含有量を2g以下とする規制が施行されました。これらの国々では、規制導入後に冠動脈疾患の発症率や死亡率が減少したという報告があり、規制の有効性が示されています。

日本の対応と今後の展望

日本では、トランス脂肪酸の含有量表示や使用制限についての法的義務はありません。これは、先述のとおり日本人の平均摂取量がWHO基準を下回っているためと説明されています。しかし、食品安全委員会や消費者庁は、食品事業者に対してトランス脂肪酸の低減に向けた自主的な取り組みを促しています。実際、多くの食品メーカーがトランス脂肪酸の含有量を減らす努力をしており、製造方法の改良や代替油脂の開発が進んでいます。また、一部の企業は自主的にトランス脂肪酸含有量を表示しています。今後は、国際的な規制の流れを踏まえ、日本でも表示義務化や使用制限が検討される可能性があります。消費者としては、国の規制を待つだけでなく、自ら情報を収集し、選択する意識を持つことが大切です。

調理法と食材選びのポイント

自宅での調理では、マーガリンの代わりにオリーブオイルを使用することで、トランス脂肪酸の摂取を減らせます。バターには飽和脂肪酸が含まれますが、適量であればトランス脂肪酸よりも健康への影響は小さいとされています。揚げ物を作る際は、部分水素添加されていない植物油や、オリーブオイル、米油、キャノーラ油などを選びましょう。また、揚げ物の頻度を減らし、蒸す、煮る、焼くといった調理法を多く取り入れることも有効です。パンを食べるときは、マーガリンではなくオリーブオイルやアボカド、ナッツペーストなどを使うと、良質な脂質を摂取できます。菓子パンやクッキーなどの加工された焼き菓子ではなく、自宅で手作りすることで、使用する油脂をコントロールできます。

外食と市販品を選ぶ際の注意

外食時には、揚げ物や加工度の高い料理を避け、シンプルな調理法の料理を選ぶことを心がけましょう。和食や地中海料理は、トランス脂肪酸が比較的少ない食事スタイルとされています。ファストフードやファミリーレストランでメニューを選ぶ際は、サラダや焼き魚、蒸し鶏など、油を多用しないメニューを選択すると良いでしょう。市販のお菓子を購入する際は、原材料表示を確認し、ショートニングなどの加工油脂が多く使われていない商品を選びます。ナッツやドライフルーツ、せんべいなど、シンプルな原材料で作られたものがおすすめです。冷凍食品や加工肉製品も、できるだけ避けるか、使用頻度を減らすことが望ましいでしょう。日々の小さな選択の積み重ねが、長期的な健康維持につながります。

まとめ

トランス脂肪酸は「食べるプラスチック」という強烈な表現で語られることがありますが、化学的にはまったく異なる物質です。しかし、健康への悪影響は科学的に証明されており、特に心血管疾患のリスクを高めることが明らかになっています。日本人の平均摂取量は国際基準を下回っていますが、加工食品を頻繁に摂取する方は注意が必要です。原材料表示を確認し、ショートニングなどの加工油脂を多く含む食品を避けること、揚げ物の頻度を減らすこと、そして良質な脂質を含む食材を積極的に取り入れることが、健康維持につながります。過度に不安になるのではなく、正しい知識に基づいて日々の食選択を見直していきましょう。気になる症状がある場合や、食生活の改善について相談したい場合は、医療機関や管理栄養士に相談することをおすすめします。

参考文献

厚生労働省「トランス脂肪酸に関するQ&A」

農林水産省「すぐにわかるトランス脂肪酸」

食品安全委員会「食品に含まれるトランス脂肪酸」

消費者庁「トランス脂肪酸に関する情報」