渡辺篤史『建もの探訪』吹き抜け6メートルの“ハコ空間” 庭と連続する設計美
【写真】開放感たっぷり!庭の高さにある水平連続窓
丘陵の住宅地に建つ澤内邸は、傾斜地に対して一般的な擁壁を用いず、高く立ち上げた基礎で土留めする構成を採用している。南側には植栽豊かな庭が広がり、隣接する住宅と高さを揃えるように計画されることで、建物の“ハコ形”の輪郭がより強調される設計となっている。外観は直線と面構成が際立ち、周囲の環境の中で静かな存在感を放つ。
屋内の約半分以上は吹き抜けとなっており、最大天井高は6mに達する。1階は敷地の傾斜に沿って4段階の床レベルが設けられ、玄関からスタディスペース、リビングダイニング、キッチンへと緩やかに展開する構成となる。南面には端から端まで伸びる水平連続窓を設け、床ではなく庭の高さに視線を揃えることで、屋内と外部空間の境界を曖昧にしている点も特徴的だ。
北側には個室や収納、水回りといった機能空間を集約し、天井高を抑えた落ち着いた領域としてまとめられている。対照的に南側は開放的な空間が広がり、光と視線が抜ける構成となる。2階は将来的な変化に対応するフリースペースとして計画され、1階の連続窓からは庭の風景のみが切り取られる。直線と余白によって成立する“ハコ住宅”の思想が、全体を通して一貫している。
竣工:2025年3月
敷地面積:179.8平方メートル(54.4坪)
建築面積:72.8平方メートル(22.0坪)
延床面積:102.6平方メートル(31.0坪)
構造:木造在来工法
設計:滝沢茂雄/滝沢茂雄建築設計事務所