ホンダの屋台骨が戦略見直しで揺らぐ…ソニーとのEVも販売中止へ
ソニーとホンダの合弁企業、ソニー・ホンダモビリティ(SHM)は、同社のEV(電気自動車)第1弾となる「アフィーラ1」の販売中止と、第2弾モデルの開発中止を発表した。
上場以来初の赤字転落…ホンダの危機は「ワイガヤ」の喪失が原因か
アフィーラ1は2026年中に北米での発売を予定していた。車内の各所にディスプレーやソニーの音響システムを備え、運転支援システムやゲーム機能などを売りにしていた。販売価格は8万9900ドル(約1400万円)で、顧客から預かった予約金については返金を進めるという。
販売中止の理由についてSHMは、「ホンダの四輪電動化戦略の見直しに伴い、(中略)ホンダからの提供を前提としていた技術やアセットの活用が困難」になったためとしている。
ホンダは3月12日、アフィーラとは別に独自開発していたEV3車種の開発中止を発表した。EV関連の減損損失に伴い、通期利益を従来予想の3600億円の黒字から、3600億円超の赤字へと大幅に下方修正した。背景には、米国での市場拡大の鈍化や、中国・アジアにおける競争激化などを理由に挙げている。
「北米ではHEV(ハイブリッド車)の人気が再燃しており、ホンダもCR-Vが人気車種となっている。一方のEVは充電スタンド不足から需要が一段落した。トランプ政権による税額控除や助成金の停止も追い打ちをかけた格好だ」(自動車業界関係者)
25年の米国市場において、CR-Vの年間販売台数は約40万台で、車種別では4位。上位車種はいずれもガソリン車だ。一方の中国ではEVが普及しているが、現地メーカーが台頭し、日本勢が食い込む余地は乏しいという。
「BYDなどの現地メーカーは価格競争力だけでなく、機能でも評価されている。先進運転支援システムを備え、大型モニターでアプリを操作できる『新しさ』が消費者に支持されている。ホンダがこれに対抗するには、システム開発と新規製造ラインの構築に資金を投入する必要があるが、先行する米中勢を相手に後発で勝機を見いだすのは難しい。相次ぐ中止判断は、収益化が見込めないからだろう」(同)
■HEV強化に方針転換
ホンダはかつて、40年に燃料電池車を含めたEVの販売比率を100%にする目標を掲げ、電動化とソフトウエア開発を目的として、20〜30年度に累計10兆円を投資すると公表していた。だが、昨年には投資額を7兆円に引き下げ、今年3月にはリソース配分を見直してHEVを強化する方針へ転換した。
ホンダは19年に世界で約518万台を販売し、中国が156万台を占めていた。だが25年には中国販売が65万台まで激減。世界では352万台となったことが響き、開発費の捻出に苦戦している。
四輪事業の戦略再構築については5月に改めて詳細を公表するという。方向性が定まらない中、先行する他社との差は開くばかりだ。
(山口伸/ライター)
