悪路前提の電動ステーションワゴン『e-アウトバック=トレイルシーカー』 ニッチな存在だが、それもスバルらしさ
ソルテラを155mm伸ばしたステーションワゴン
スバル・ソルテラを155mm伸ばし、ステーションワゴン・ボディを与えたのが、新型バッテリーEVのe-アウトバック(トレイルシーカー)。堂々とした佇まいの、クロスオーバーと呼べる。
【画像】381psの魅力的な電動ステーションワゴン スバルe-アウトバック サイズの近いEVは? 全132枚
フロントノーズからリアドアまでは、ソルテラと基本的に同じ。だが、垂直へ近いテールゲートと水平なルーフで、同社が得意としてきた雰囲気が生み出されている。

スバルe-アウトバック(トレイルシーカー/欧州仕様)
リアワイパーは巨大。荷室の天井には、アクセサリーを取り付けられるフックが備わる。視認性や実用性を重視したデザインへ、好感が持てる。よりアウトドア志向を強めたモデルとして、サスペンションはオフロードを意識した設定にあるという。
ちなみにソルテラは、愛知県にあるトヨタの元町工場で生産されるが、e-アウトバックは群馬県にあるスバルの矢島工場で生産される。トヨタのbZ4X ツーリングと一緒に。つまり、e-アウトバックはスバル初の量産EVともいえる。
ソルテラへ準じるインテリアに広い荷室
高級感より堅牢性重視のインテリアも、概ねソルテラと同じ。内装の素材は特段上質ではないが、ブルーのレザーシートが組まれた試乗車は、明るい空間に仕上がっていた。
タッチモニターも含めて、ユーザーインターフェイスもソルテラへ準じる。最新版という感じは薄いものの、すぐに使いこなせるシンプルさが良い。後席側は、前後方向に広い反面、駆動用バッテリーがフロアに敷かれるため、上下方向がやや狭めといえる。

スバルe-アウトバック(トレイルシーカー/欧州仕様)
荷室は広く、容量は633L。リアシートは60:40の分割で倒せ、その操作ハンドルがテールゲート側に用意されている。追って、スキーなど長尺荷物用の開口部が、背もたれ中央に用意されるらしい。フロント側に収納はない。
高速道路の制限速度を超えても衰えない加速
e-アウトバックはツインモーターの四輪駆動で、最高出力は総合381ps。悪路を意識したモデルとして、今回の試乗はオフロードコースが中心だったが、間違いなく速い。高速道路の制限速度を超えても、加速の勢いは衰えないほど。
テスラ級の猛烈さはないものの、アクセルペダルで直感的に速度管理できる。ブレーキペダルの感触もソリッドだ。他方、回生ブレーキは最強にしても弱め。ワンペダルドライブにも対応しない。クルマが自動的に止まる制御は、スバルの哲学に反するらしい。

スバルe-アウトバック(トレイルシーカー/欧州仕様)
ステアリングの反応は穏やかだが、角ばった形状のリムへ路面の感触が伝わり好ましい。グリップ力は基本的に高く、限界へ達すると、アンダーステアへ転じていく。
乗り心地は、今回の舗装路は極めて平滑で、充分には確かめられなかった。だが、bZ4Xは姿勢制御と快適性のバランスが良い。恐らく、それへ近いはず。
砂地や急勾配を難なくクリアする走破性
最低地上高は211mmと高く、ボディと地面が接する角度はフロント側で17.6度。リア側は20.2度と深い。ロックデフは備わらないが、ツインモーターの制御と「Xモード」トラクション・コントロールで、優れた走破性を披露する。
スノー/ダートだけでなく、ディープスノー/マッド・モードも用意。一般的なサマータイヤでも、砂地や急勾配を難なくクリアしていた。仮に片側のタイヤが浮いても、ホイールスピンを検知すると、別のタイヤへトルクが伝達される。

スバルe-アウトバック(トレイルシーカー/欧州仕様)
新しい機能が、「グリップコントロール」。オフロード用のクルーズコントロールで、自動的に速度が保たれるため、ステアリングの操作へ集中できる。
電費は、カタログ値で5.9-6.4km/kWh、航続距離は526kmが主張される。ツインモーターでは悪くないものの、驚くほどでもない。現実的な航続距離は、400km程だろう。
スバルらしい悪路前提の電動ワゴン
やや個性の薄いソルテラだが、そこへ巧妙に手を加えることで、e-アウトバックは非常に特徴的なモデルへ仕上がっている。ガソリンエンジンの新型アウトバックは、欧州市場への導入はないが、その穴を補えそうだ。
英国での価格は5万3000ポンド(約1113万円)程が見込まれ、競合モデルの方が予算に合致する人は多いはず。それでも、悪路を前提とした電動ステーションワゴン/クロスオーバーはまだ珍しい。ニッチな存在だが、それがスバルらしくもある。

スバルe-アウトバック(トレイルシーカー/欧州仕様)
オフロードでは、優れた走破性を披露。オンロードでも、恐らく快適だろう。魅力的なEVが誕生したといっていい。
◯:広く使い勝手の良い荷室 本格的な悪路の走破性 活発な動力性能
△:タッチモニターの印象は可もなく不可もなく 特に目立たない航続距離 後席は40:20:40の分割が良い
スバルe-アウトバック(トレイルシーカー/欧州仕様)のスペック
英国価格:5万3000ポンド(約1113万円/予想)
全長:4845mm
全幅:1860mm
全高:1675mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:4.5秒
航続距離:526km
電費:5.9-6.4km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2150kg(予想)
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:69.0kWh
急速充電能力:150kW(DC)
最高出力:381ps(システム総合)
最大トルク:27.3kg-m(前)+27.3kg-m(後)
ギアボックス:1速リダクション/四輪駆動

スバルe-アウトバック(トレイルシーカー/欧州仕様)
