フジテレビ系ドラマ『サバ缶、宇宙へ行く』(13日スタート、毎週月曜21:00〜)の制作発表会見が5日、東京・台場の同局本社と物語の舞台である福井・小浜市をつないで行われ、東京から北村匠海と神木隆之介、福井から出口夏希、黒崎煌代、山下永玖、西本まりん、夏目透羽、ゆめぽてが出席した。

同局として史上初だという“ダブル制作発表”の場で、主演の北村は、自身にとって特別な意味を持つ「先生役」への思いを語った。

北村匠海

北村が演じるのは、教師になる夢と「大好きな海の近くで暮らしたい」という願いをかなえ、福井県小浜市の若狭水産高校に赴任してきた新米教師・朝野峻一。福井の水産高校の生徒たちが、世代を超えて宇宙食開発という大きな夢に挑んだ実話をもとにした青春ドラマで、北村は生徒たちの挑戦を支える存在を担う。

会見では、以前から教師役を「いつかやりたい」と思っていたことに触れつつ、学校生活で出会った恩師だけでなく、俳優として現場で向き合ってきた“先生”のような存在が、自分が役者を続けていく大きな理由だったと明かした。だからこそ今回の現場では、自分が生徒役キャストたちにとってそうした存在になれるのかを考え、強いプレッシャーも感じていたという。

ただ、実際に撮影に入ると、その思いは少しずつ確かな手応えに。生徒たちとコミュニケーションを取りたいと自ら伝えていたといい、その言葉通り、毎カット、毎シーンのように生徒役キャストが自分のもとにやって来て、シーンのことはもちろん、オーディションや芝居、さらにはプライベートなことまでさまざまな話をしてくれるという。そうした時間を、北村は「先生としてではなくて、同じ目線で一緒に考えたり、言葉にしていく日々」と表現し、「すごく楽しい」と充実感を見せた。

その“先生役”の実感は、教壇に立つシーンでも強く感じている様子。教壇から見ていると、生徒たちが何を考えているのかが思った以上によく分かるそうで、「これは確かに寝てる人が分かるなと思いました(笑)」と笑わせた。

今回の現場で北村が大事にしているのは、このドラマが“継承”の物語だということ。学校での撮影前には、生徒役キャストに向けて自分の思いを伝える場を設けたといい、『サバ缶、宇宙へ行く』は「夢が継承されていく話」だからこそ、自分がこれまで先生たちから受け取ってきた言葉を、最初に“継承”という形で渡したかったのだと力説する。

そこで北村が伝えたのは、『仰げば尊し』(16年、TBS)で寺尾聰から受けた、「エンドロールに載るのはキャリアや受賞歴ではなく、セリフの有無に関係なく全員が同じスタートラインにいる」という言葉。誰がどう輝くかは自分次第だからこそ、「僕も頑張る。だからお前たちも頑張れ」というメッセージを託したという。

その上で北村は、自身が28歳で生徒役キャストとも年齢が比較的近いことから、上から導くのではなく、あくまで同じ目線で話し合いながら作品を作りたいと考えていることも強調。役のバックボーンに悩んだり、誰かがつまずいたりした時には、すぐに話せる環境を作り、「とにかく一緒に話して作り上げていきましょう」というスタンスで現場に立っていると語った。

そして何より、この作品は「生徒たちが主役のドラマ」だと明言し、自身はその中心で彼らが輝くための土台を作る役目を担っているという意識をのぞかせた。

実際、その思いは小浜で撮影を続ける生徒役たちにも伝わっている。中継先の小浜会場では、黒崎が北村について「一緒に考えてくれる」と語り、相談しやすい空気を自然に作ってくれていることに感謝。山下も、芝居をしていない時でも「本当先生だな」と感じると明かし、自分が悩んでいた時に北村のほうから声をかけ、たくさんのアドバイスをくれたことが心強かったと振り返った。さらに西本まりんも、役の悩みを一人で抱えていた際に北村が気づき、「どう思う?」「どうしたい?」と優しく聞いてくれたことを証言した。

こうした言葉を受けた北村は、自身を「いい先生ですね(笑)」と冗談めかして笑わせつつも、現場の空気を作っているのは自分だけではないと謙そん。「そういう空気に一歩踏み出してくれたのは、やっぱり生徒であるみんなが僕の元に来てくれたからだし、そのクラスの空気は、僕だけが包めるものではないです。全部で25人ぐらいいる生徒全員が、目を配り合いながら会話しながら、自分でセリフがなくても、“ここはこうしよう”と自主的にすごいやってくださるからです」と力説した。



背後の大モニターに映し出された生徒役キャストが笑顔で登場するなり、「ヘラヘラするなよ」と注意した北村。出口が質問を受けて「なんでしたっけ?」と固まってしまうと、「すいません、代表して謝ります」と頭を下げたり、西本とゆめぽてが2人でハートマークを作ると「おい、ふざけるなよ! 平成が舞台の作品なのに令和すぎる(笑)」とツッコミを入れたりと、本当の先生のように振る舞うシーンが多々見られた。

会見の最後、北村は改めて本作について、たくさんの個性豊かな生徒たちとともに撮影していることに触れながら、このドラマが長い時間をかけて夢や思いが受け継がれていく物語であると説明。その中で、自分自身にとっても、これからのドラマ業界やテレビを担っていく若い俳優たちと出会えることは大きな喜びだとし、「彼らに僕は今何を残せるのか」を日々考えていることを明かした。

(左から)サプライズ登場した野口聡一氏、北村匠海、神木隆之介