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中国における非婚化の原因について解説する今回の連載。第1回では男女未婚率を紹介した。

25~29歳の男性人口は4460万人で、平均未婚率は約67%のため全国で約3000万人の男性が未婚。同様に3975万人いる同世代女性は平均未婚率が約47%のため、2000万人近くが未婚の状況となっている。

単純に考えれば1000万人の男性が余っているため、結婚市場は女性の圧倒的な優位となっているはず。しかし、実際はそうなっていない。

筆者は最近、ある婚活アドバイザーのブロガーが「婚活市場は女性ばかりで、男性の姿がほとんど見当たらない。まるで男性が集団失踪したかのようだ」と嘆いているのを目にした。

これは今に始まった話ではなく、実は2024年から兆候があった。 2024年の時点で、一部の都市における婚活市場の男女比はすでに深刻な不均衡に陥っている。

例えば、成都のお見合い市場では男性1人に対して女性43人、杭州では1対40という数字が出ている。つまり、平均して40人の女性が、ようやく1人の男性に会えるかどうかという状況なのだ。

女性だらけのお見合いパーティー

こんなエピソードもある。杭州で開催された「千人お見合いパーティー」だ。女性は入場無料である一方、男性には3,000元(約6万円)以上の参加費が課せられていた。

主催側は男性が殺到すると予想していたが、いざ当日蓋を開けてみると、参加した男性はごくわずか。会場は手持ち無沙汰な女性たちであふれかえったのだ。うわさによれば、数少ない男性参加者の一部は、人数合わせのために主催者が費用を払って呼んだサクラだったとも言われている。

中国の若者男性は女性より1,000万人も多いはず。

それなのに、なぜ婚活市場において男性はこれほどまでの“希少品”になってしまったのか。これほどまで男性が婚活を避けるようになった理由は、いったい何なのだろうか。

女性側の高すぎる要求

その理由の一つに、社会的な世論が男性に求めるハードルが高すぎることが挙げられる。中国社会における優良な男性の基準とは何だろうか。

それは車と持ち家があり、多額の貯金があり、高学歴で、身長もルックスも一定の水準以上。さらには男性側の実家との付き合いがないことまで望まれる始末だ。

このような条件を備えた男性は社会全体で見れば極めて稀な存在だが、多くの女性にとっては、デートをするための最低条件になってしまっているのだ。

年収の11倍…「結納金ローン」まで登場

さらに現実的な問題として、経済の停滞がある。

多くの男性にとって収入を増やすのは難しく、一方で結婚に要する費用はあまりに高額だ。家、車、貯金、そして結納金。どれもが大きな壁となる。特に大都市での結婚は、非現実なまでに過酷なゲームのようになっている。

中国ではいまだに「結婚=高額出費」という文化的慣習が強く残っている。多くの地域では、彩礼と呼ばれる結納金や婚礼儀式が「面子」の象徴とされている。「一生に一度だから」、「親戚やご近所の目があるから」と、節約が難しい風潮が未だに残っているのだ。

結納金の額は地方によって異なるが、結納金が高いことで知られる江西省では手取り年収の11倍以上にあがる。

杭州のあるプログラマーが試算したところ、彼の結婚費用の総額は彼の年収8年分に相当することが分かった。数十万元にのぼる結納金も珍しくなく、市場には「結納金ローン」なるものまで登場している。

こうした状況下で、借金をしてまで結婚したくないと考える男性が増えている。むしろ独身を貫き、そのお金を自分の趣味や買い物に充てる方がずっと楽しいと感じている。

ここで解説したように、非婚化の大きな原因は「若者のわがまま」ではなく、資本が結婚という社会の関係性まで侵食した結果だ。

結婚が資本と結びついたことで、「自分と相手を結びつける感情の構築」は後回しになっているのが現状で、結果として「理想の恋愛・結婚」にお金がかかりすぎ、多くの人にとって現実が追いついていない。

次回以降も中国社会における非婚化の原因と、それが社会に及ぼす影響について解説していく。

文/下川英馬 内外タイムス