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 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の取材を終え、20日に帰国した。15日(日本時間)の準々決勝で日本はベネズエラに惜敗。現地観戦していた多くの日本人やメディア関係者も帰国便の航空券を変更していたが、その競争に記者は敗れた。だが、杉浦大介通信員の協力のもと、決勝まで現地に滞在したことで得られたデータがある。佐藤輝についてだ。

 虎の大砲はベネズエラ戦に「2番・右翼」で先発。1点ビハインドの3回1死一、二塁の場面で右翼線を破る適時二塁打を放ったが、「さらに面白いことを教えてあげよう」と話してくれたのが、大リーグ公式サイトのデータ解析システム「スタットキャスト」のメンバーの一人、デビッド・アドラー氏だ。近年、大谷(ドジャース)をデータの観点から投打で丸裸にする男が着目したのが、左腕R・スアレス(レッドソックス)から長打を打ったことだった。

 「スアレスは昨シーズン(レギュラーシーズン、ポストシーズン)を通して、左打者に許した長打はわずか6本しかなかった。ところが、佐藤が彼から放った108.6マイル(約174.8キロ)の二塁打は、その6本全てより強い打球だった」

 R・スアレスは常時140キロ台の直球に加えシンカー、チェンジアップ、カッターなどを巧みに操る技巧派で、直近2年で24勝を挙げ左打者に無類の強さを誇る。さらに興味深い点は、その実力派がメジャー実働8年間で左打者から許した二塁打の中で、佐藤輝の打球速度を上回った打球は2本しかないということ。その2人はメジャー屈指の「ハードヒッター」と知られるオルソン(ブレーブス)やパスカンティーノ(ロイヤルズ)。WBCの適時二塁打は、結果以上に価値ある一打だったことがデータで鮮明になった。

 「佐藤はいい選手だからメジャーでも通用すると思う」とアドラー氏。今季から日本でも正式に「NPBプラス」のアプリでトラッキングデータがリアルタイムで見られるようになる。昨季40本塁打、102打点で2冠王に輝いた男の進化を、データの観点から追っても面白いだろう。 (石崎 祥平)