問われる“敗者”の資質 波紋を生んだ表彰式での米ナインの振る舞い 母国記者は批判の声に異論「もはや銀メダルは望んでなかった」【WBC】

首からぶら下げた銀メダルを外すシュワバー(C)Getty Images
文字通りの大一番に敗れ、苛立ちを隠そうとしなかった“エリート”たちの行動が波紋を呼んでいる。
現地時間3月17日にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝が行われ、米国代表は、ベネズエラ代表に2-3で敗北。日本代表に敗れた2023年大会に続き、またしてもあと一歩のところで世界制覇を逃した。
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8回裏にブライス・ハーパーの起死回生となる同点2ランで、逆転勝利への気運を高めていた米国。しかし、9回表に1点を勝ち越されると、その裏の攻撃はあっけなく三者凡退。歓喜するベネズエラナインをダグアウトから呆然と見つめることしかできなかった。
文字通りの力負けを喫した。しかも、2大会連続の準優勝。結果に苛立つMLB屈指のタレントを揃えたエリート集団に笑顔などなかった。表彰式では、MLBのコミッショナーを務めるロブ・マンフレッド氏から銀メダルを授けられたが、ほとんどの選手がベンチに下がる前に、首から外してしまうほどだった。
とりわけ主砲のカイル・シュワバーは、わずか15秒足らずで首からメダルを外した。中継カメラに映し出された背中からもフラストレーションは見て取れた。
野球ファンからはSNS上で「ありえない」「負け犬だな」「敗者としてあるまじき行為」「結果を受け入れろ」といった非難の声が噴出。「ダサいやつらだ」と断じる者もいた。
一方で選手の心境を慮る識者もいる。米版『Yahoo! Sports』のジャック・ベアー記者は、「カイル・シュワバー、ローガン・ウェブ、ピート・クロウ=アームストロング、ボビー・ウィットJr.、ローマン・アンソニー、ゲイブ・スパイアー、メイソン・ミラーが、ダッグアウトに着く前にメダルを外していた」と指摘。ファンから批判の的になっていることも伝えた上で、「選手たちの感情は理解ができる」と“異論”を展開した。
「このWBCを通じて、アメリカほど真剣に大会を捉えていたチームはなかった。2023年大会では日本に名勝負の末に敗れ、大きな失望を味わった雪辱を果たすことが彼らの大義だった。かつてないほどの陣容となった選手たちは、もはや銀メダルなど望んでいなかったのだ。そもそもWBCがわざわざオリンピック式の表彰式を行うこと自体が、奇妙だと言っても過言ではない」
SNSが発展し、勝者にも、敗者にも、スポーツマンシップが強く求められる昨今。だが、敗れた者の感情に見る側の配慮が少しだけでもあってもいいのかもしれない。決勝で負ける悔しさは、当事者にしか分かりえないのだから。
