宮城出身・時疾風、“魂の下手投げ”に「惚れた」 故郷に捧ぐ3.11の逆転劇に「業師」「かっこよすぎる」館内も拍手喝采

<大相撲三月場所>◇四日目◇11日◇大阪・エディオンアリーナ
東日本大震災から15年。特別な想いを胸に土俵に上がった宮城出身の力士が、絶体絶命のピンチから奇跡的な逆転劇を見せた。
体重差30キロ以上の巨漢力士に土俵際まで追い詰められ、体は完全に入れ替わり、誰もが「決まった」と思ったその瞬間。漆黒のまわしを締めた小柄な力士が、驚異的な腰の重さと一瞬の隙を突く技術で巨大な壁をひっくり返すと、館内はこの日一番の拍手と歓声に包まれた。
前頭九枚目・時疾風(時津風)が、前頭十枚目・狼雅(二子山)を下手投げで下し、価値ある白星を挙げた一番でのこと。
立ち合い、184センチ・160キロと一回り大きな狼雅の圧力に対し、179センチ・129キロの時疾風は低く当たって食い下がる。しかし、狼雅に右上手を引かれ、得意の形に持ち込まれると、力任せに土俵際まで押し込まれてしまった。俵に足がかかり、万事休すかと思われたが、時疾風は左の下手一枚を深く掴んで離さない。実況の高橋大輔アナウンサーが「土俵際!」と声を張り上げる中、時疾風は体を沈めて渾身の下手投げ。 160キロの巨体が宙を舞うように土俵に転がると、大逆転の結末に観客は総立ちとなった。
「絶体絶命の状況で投げ切るセンスは素晴らしい」

時疾風は宮城県栗原市の出身。中学2年生の時に被災し、体育館での避難所生活を経験している。特別な日となった一番での勝利を受け、ABEMAで解説を務めた元関脇・豊ノ島氏は「下手投げは(まわしの)枚数が少ない方が抜きやすい。あの絶体絶命の状況で、最後まで諦めずに投げ切るセンスと体の柔らかさは本当に素晴らしいですね」と、その卓越した技術と精神力を絶賛した。
この魂の逆転劇に、視聴者からも「惚れたー」「東北に捧げる勝利」「かっこよすぎるて」「宮城が元気になる」といった感動のコメントが殺到。勝ち名乗りを受けても表情一つ変えず、静かに一礼して花道を下がる時疾風のストイックな姿に対し、「技術がすんごい」「なかなか業師だね」と、その実力に改めて注目が集まっていた。(ABEMA/大相撲チャンネル)
