どうすれば幸せになれる? 異なる4つの分野から名著を紹介──「幸せ」について考えよう【別冊NHK100分de名著】

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文学・経済学・哲学・心理学の4つの視点から「幸せ」を考える

幸福とは、最高の善である。──アリストテレス

2014年1月に、「100分de名著」の新春スペシャルとして放送された「100分de幸福論」。その内容をもとに誕生したのが『別冊NHK100分de名著 「幸せ」について考えよう』です。

世界が大きく揺らぐいま、私たちはどうすれば幸せになれるのでしょうか?
本書では、“人間の幸福とは何か”というテーマを立てて、文学・経済学・哲学・心理学からそれぞれ代表となる名著を、島田雅彦さん、浜矩子さん、西研さん、鈴木晶さんが紹介し、「幸せ」の正体へと迫っていきます。
今回は本書へのイントロダクションとして、番組プロデューサーによる「はじめに」を公開します。

名著から「幸せ」を考える

「100分de名著」は、2011年4月にスタートしました。以来、古今東西の名著に秘められた、現代にも通じるメッセージを明らかにするとともに、名著の背景にある歴史や文化、科学などを学ぶというスタンスで、番組を制作してきました。

 そして2014年1月に「100分de名著」を発展させた新春スペシャルとして放送したのが、本書のきっかけとなった「100分de幸福論」です。

 通常の「100分de名著」では、起承転結となるような四つのテーマを立てた上で、一冊の名著を読み解いていきます。今回の「100分de幸福論」では、普段とは趣向を変えて、“人間の幸福とは何か”という一つのテーマを立て、それを四つの異なる分野の名著を通して考察するという試みを行いました。

 こうした切り口で名著を語ることは、あまりないように思います。しかしシンポジウムで、さまざまな分野の人を招いて一つのテーマを語りあうことはよくあることです。名著の世界でも、それができるのではないかと思いました。

「幸福」について取り上げることにしたのは、現代に生きる私たちにとって必要なことだと考えたからです。バブル崩壊以降の日本を“失われた二十年”と表現することがありますが、人々の価値観が揺れ動いている今こそ、改めて幸福について考えるべきだと思いました。

 番組で取り上げる名著は、いろいろと検討した結果、文学・経済学・哲学・心理学の四つの分野にしました。ちょっと異色なのは経済学ですが、生活が不安定では幸福にはなかなか至れないのではないか、ということで、あえて入れることにしました。

 実際に作業を始めてみると、異なる四つの分野の本をもとにしながら、起承転結をつけた番組構成を考えることは容易ではありませんでしたが、出演者の方々のお知恵を借りながら、何とか放送にこぎつけることができました。

 番組のエッセンスを受け継ぎつつ、新たなムックとして完成した本書をとおして、幸福について、さらには人生や社会について、改めて考えるきっかけになれば幸いです。

本書『別冊NHK100分de名著 「幸せ」について考えよう』では、

■文学の章 井原西鶴『好色一代男』『好色一代女』(島田雅彦)
 ──幸せとは、断念ののちの悟りである
■経済学の章 アダム・スミス『国富論』(浜矩子)
 ──幸せとは、人の痛みがわかることである
■哲学の章 ヘーゲル『精神現象学』(西研)
 ──幸せとは、ほんとうを確かめ合い、自分の生を肯定することである
■心理学の章 フロイト『精神分析入門』(鈴木晶)
 ──幸せとは、愛する人が幸せでいることである

という4つの章を通して、各分野を代表する名著を紹介し、「幸せ」について考えていきます。

■『別冊NHK100分de名著 「幸せ」について考えよう』(島田雅彦/浜矩子/西研/鈴木晶 著)より抜粋