″異才の二刀流″ 紗倉まな「AV女優じゃなかったら、小説を書くことはなかった」

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女性としての葛藤

「AV女優は悪意を持った人の目に晒されやすいですが、さまざまな言葉を浴びることによってどういった考えを持っている人がいるかを『観察』することができる。小説を介して現実を伝えることができるというのは、私にとってAV女優を続けるための″延命措置″なのかもしれません」

AV女優であり、小説家。唯一無二の兼業作家・紗倉まな(32)は、妖艶に微笑んだ。’11年にグラビア活動を開始し、翌年AVデビュー。『SOD大賞2012』で史上初の最優秀女優賞を含む6つの賞を獲得し、人気女優の座へと登りつめた。

自身を″えろ屋″と称し、これまで延べ200作品以上に出演。さらに’16年、自身初の小説『最低。』を発売すると各書店で売り切れが続出。『野間文芸新人賞』に2度ノミネートされるなど、小説家としての才能を開花させた紗倉は、2月12日に10作目となる著書『あの子のかわり』(河出書房新社)を刊行した。描いているのは、″妊娠と出産″。メイクアップアーティストである主人公・由良が親友・有里奈の妊娠を機に、自分でも正体のわからない狂気的な感情に振り回されるというストーリーだ。

「AVの仕事をしていると、良くも悪くも興味本位で、結婚や子供のことを聞かれます。『AV女優が産むって大変じゃないですか?』など、答えに迷う問いです。そういったことが重なり、20代の頃から嫌でも意識し始めるようになりました。30代になると周りが出産ラッシュに入り、友達からも『産む気があるなら早いほうがいいよ』と勧められ、″妊娠可能年齢までのカウントダウン″をより一層意識させられる。私は4年前に保護犬を迎えたこともあって、″疑似子育て″を通して育てることの大変さをよりリアルに考えるようになりました。もちろん、人間と動物が違うということは承知しています。ただ、形を変えながらも妊娠・出産というテーマはずっと私の中にあって、改めて今後の生き方を考えるきっかけになりました。だから主人公の葛藤は、私の葛藤をなるべく取りこぼさないように反映したところがあります。由良ほど狂気的に暴走はしていませんけどね(笑)」

続けていく覚悟

書くことは、AV女優でい続けるためになくてはならないもの。紗倉にとって、かけがえのない活動の一つだという。

「私の本職はあくまでAV女優ですが、今年は小説を書き始めて10周年。『どちらも本職だよね』と言ってもらうことが増えました。それでもAV女優としての自分のことも好きで、絶対的な本職であると思っています。長く続けていきたいというその想いは、デビュー当時から今も変わりません」

まっすぐ向けられた眼差しには、強い覚悟が滲んでいた。

紗倉は異なるジャンルの仕事を並行しながらも、スケジュール管理は明確に線を引いていると明かす。

「この14年間はAV作品のリリースは月に1本と決めているので、撮影も月に1日か2日のみです。他に作品に関連したイベント出演やバラエティ番組出演、コメンテーターなど、最近はAV女優と作家が合体した立場で呼ばれる場も多いですが、それでも執筆は毎日行うようにしています。規則的な仕事ではないので書く分量は日々変わりますが、以前、芥川賞作家の田中慎弥さん(53)と対談させていただいたときに、『毎日一文でも一語でも書くことが大事だ』とおっしゃっていたのが印象深く心に残っていて。以来、なるべく毎日、スマホにでもいいので書く作業を絶やさないようにしています」

成功者としての輝きの裏には、地道な努力と揺るぎない覚悟が宿っていた。

2月19日発売の『FRIDAY3月6日号』と有料版『FRIDAY GOLD』では、二足の草鞋が生む「創造性」や今後の展望を赤裸々に語っている。

『FRIDAY』2026年3月6日号より