3000台の廃車の中から見つけた希少なアメリカン・クラシックカー 40選(前編) ジャンクヤード探訪記
1940年代から1970年代の廃車
米国テキサス州ダラスから北へ約50km、州間高速道路35号線沿いに位置する『CTCオートランチ(CTC Auto Ranch)』は、北米有数の優れたジャンクヤードだ。
【画像】大きいことが求められた1970年代の米国ワゴン【ビュイック・エレクトラとキャデラック・カスティリアンを詳しく見る】 全35枚
1990年に開業し、3000台もの車両を保有している。部品取り車とレストア用車両の両方を取り扱い、在庫の一部は1930年代や1940年代に遡るが、最大の強みは戦後のモデルだ。本稿では、筆者が訪問した際に見つけた興味深い車両をいくつか紹介しよう。

米テキサス州のジャンクヤード『CTCオートランチ』で見つけた興味深い廃車をいくつか紹介する。
3000台の在庫
CTCオートランチには約3000台の車両があり、好奇心を大いに掻き立てるラインナップとなっている。残念ながら、部品盗難が多発したため、スタッフ同伴なしでの探索は許可されていない。だが、スタッフは喜んで案内してくれる。

CTCオートランチ
1953年式プリムス
この1953年式プリムス4ドア・セダンは、他の錆びた車両の中でもひときわ目立つ。まだ走行可能で、素晴らしいラットロッドに改造できるポテンシャルを秘めており、たったの2000ドル(約30万円)で手に入る。
プリムスブランドは1928年に誕生し、1970年代初頭には年間100万台近い販売台数を記録している。しかし、1990年代後半には販売が急落し、世紀の変わり目にブランドは消滅してしまった。

1953年式プリムス
1969年式ビュイック・エレクトラ
写真を撮影してから、この1969年式ビュイック・エレクトラ225からサイドウィンドウ4枚を含むいくつかの部品が取り外された。しかし、真っ直ぐで錆の少ないパネルはまだ入手可能だ。もし、探している部品がこの個体で見つからなくても、CTCオートランチには同じ部品取り車があと3台在庫されている。

1969年式ビュイック・エレクトラ
1986年式キャデラック・リムジン
世界一魅力的なリムジンとは言えないが、この1986年式の6ドアのキャデラックは2495ドル(約38万円)というお買い得価格だ。手元に置いておいて損はないかもしれない。アーカンソー州フォートスミスのアームブラスター・ステージウェイ社によって製造されたもので、同社は19世紀に遡る長い歴史を持つコーチビルダーである。

1986年式キャデラック・リムジン
1975年式AMCペーサー
紹介不要のクルマ、AMCペーサーだ。本稿執筆時点で、1970年代中盤の部品取り車が2台残っている。ペーサーの助手席ドアは運転席側より4インチ長く、後部座席の乗客の乗り降りを容易にした。この仕組みは米国市場では有意義なものだったが、一時的に輸出された英国では問題となった。右ハンドル仕様に改造されたものの、ドアの左右入れ替えは不可能だったため、英国の狭い駐車スペースでドアを開けるのに苦労したのだ。

1975年式AMCペーサー
1966年式プリムス・フューリー
一見すると、この1966年式プリムス・フューリーVIP(上級グレード)はテニスボールで覆われているように見えるが、実はアメリカハリグワ(別名:オセージオレンジ)の木の下に駐車されているのだ。毎年秋になると果実がびっしりと実り、もしかするとフロントガラスのひび割れも、この果実のせいかもしれない。アメリカハリグワはクモなどの虫を寄せ付けない性質があり、かつてはベッドに使われることもあった。

1966年式プリムス・フューリー
1950年代シボレーのラインナップ
1950年代シボレーのスペアパーツをお探しなら、CTCオートランチがおすすめだ。本稿執筆時点で在庫は68台以上、さらにレストア用が8台ある。

1950年代シボレーのラインナップ
1969年式ダッジ・コロネット・スーパービー
ジャンクヤードで1969年式ダッジ・コロネット・スーパービーの部品取り車が見つかるのは珍しい。この個体は現在ウェブサイトに掲載されていないが、他にもマッスルカーが販売中だ。
コロネットのクーペをベースにしたスーパービーは1968年から1971年まで生産された。プリムス・ロードランナーの成功を受けて開発された、ダッジの低価格マッスルカーだ。

1969年式ダッジ・コロネット・スーパービー
1973年式AMCグレムリン
AMCグレムリンは、経済性や速さ、美しさ、あるいは優れた性能を持つクルマとして歴史に名を残すことはないだろう。しかし、間違いなく個性的な1台だ。ジャベリンの車体を切り詰めたことで、このような異様なスタイリングが生まれた。発売当時、人々は「切り詰めた分はどこへ行ったんだ?」と疑問を抱いたものだ……。この個体は1973年に出荷されたと思われるが、取材後に新たな所有者が見つかったようだ。ただし、CTCオートランチにはグレムリンの部品取り車の在庫が2台ある。

1973年式AMCグレムリン
1975年式シボレー・インパラ
テキサスの灼熱の太陽は錆を防いでくれる一方で、塗装に深刻なダメージを与える。この1975年式シボレー・インパラがその好例だ。一見コンディションは良く、レストアの余地もあるように見えるが、訪問時に確認したところ、実際には部品取り車とのことだった。

1975年式シボレー・インパラ
1949年式ナッシュ600
この1949年式ナッシュ600 4ドア・セダンは銃弾の穴だらけだ。おそらく短期な、あるいは欲求不満のハンターに狙われたのだろう。ナッシュ600は米国初の量産モノコック車であり、従来のボディオンフレーム車より軽量だった。これにより性能(0-97km/h加速20.6秒)と燃費が向上した。『600』という名称は、追い風ならガソリン1タンクで600マイル(約970km)走行可能であることに由来する。

1949年式ナッシュ600
1950年式ハドソン・スーパーシックス
CTCオートランチは、毎日何万台もの車両が通過する州間高速道路35号線沿いに位置する。部品取り車となったこの1950年式ハドソン・スーパーシックス4ドア・セダンは、あっという間に解体されてしまってもおかしくない。しかし、ヤードの公式サイトの写真を見ると、本稿執筆時点もこの姿のままだった。
未来的なファストバックスタイルは発売当時、他に類を見ないものであったが、今日でも非常に美しい。

1950年式ハドソン・スーパーシックス
1984年式AMCイーグル
AMCイーグルは実に重要で影響力のあるモデルであり、間違いなく時代を先取りしていた。米国で生産された最初の四輪駆動乗用車であり、後に続くクロスオーバー車の先駆けであった。
CTCオートランチによれば、このイーグルSX/4は1984年式とのことだが、当時生産されていたのはセダンとワゴンだけだと筆者は認識している。

1984年式AMCイーグル
(翻訳者注:この記事は「中編」へ続きます。)
