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トヨタ、スズキとの3社共同開発

2月2日、ダイハツ工業(以下、ダイハツ)は軽商用車の『ハイゼット・カーゴ』と『アトレー』をベースにしたダイハツ初の量産バッテリー電気自動車(BEV)、『e-ハイゼット・カーゴ』と『e-アトレー』を発売した。

【画像】ダイハツ初の量産EV『e-ハイゼット・カーゴ』、『e-アトレー』発売開始! 全138枚

1957年に初代『ミゼット』を発売以来、ダイハツは軽商用車を作り続けており、今もダイハツが販売するクルマのほぼ半数は商用車だ。また、1960年代から電気自動車の開発も進めてきた。


ダイハツは初の量産EV、『e-ハイゼット・カーゴ』(写真)と『e-アトレー』を発売開始。    平井大介

今回の軽商用EVはトヨタとスズキとの3社共同開発だが、車両開発と生産はダイハツで行う。『e-スマート・エレクトリック』と呼ばれる新開発のBEVシステムは、スズキとダイハツが培った小さなクルマ作りのノウハウと、トヨタの持つ電動化技術を組み合わせ、3社で共同開発したものだ。

生産は、ダイハツ九州の大分(中津)第1工場で行う。同社は初代ミゼットを製造していたダイハツ前橋製作所がルーツで、2004年に工場を中津に移転し、ダイハツ九州として普通乗用車から軽トラックまで生産している。

さて、e-ハイゼット・カーゴとe-アトレーは、モーター、インバーター、減速機を一体化したeアクスルが後輪駆動軸上に、容量36.6kWhの薄型リチウムイオンバッテリーが床下に位置する。

部品配置見直しやボディ、サスペンションを新設計することで、室内スペースを変えることなく大容量バッテリーを搭載。それゆえ、軽キャブオーバーバンNo.1の積載スペース(e-ハイゼット・カーゴ4シーター)、使い勝手の良さなど、エンジン車の軽商用バンと変わらない魅力は継承。

一充電走行距離は、軽商用BEVバンNo.1となるWLTCモードで257km(国土交通省審査値)を達成した。この数値ならば、エアコンなどで電力消費が増加する夏季や冬季でも、多くの軽商用バンユーザーにとって十分な走行距離を確保できるだろう。

BEVならではの高い基本性能

軽商用EVとはいえ、BEVならではの高い基本性能を備えている。

まず、BEVならではの走り始めから余裕のあるトルクを発揮でき、また適度な回生ブレーキで電費向上と運転のしやすさを両立。前述のeアクスルを後輪軸上に配置したことで、多積載時や登坂時でも、後輪駆動の高いグリップ力による力強い発進とスムーズな加速を実現したという。


薄型大容量バッテリーを床下、eアクスルを後輪軸上に配置する。    ダイハツ工業

また、薄型大容量バッテリーを床下に配置することで、従来のガソリン車よりも低重心となり、操縦安定性が向上。荷崩れなども防止可能だ。BEV専用の骨格補強などで車両剛性を高めるとともに、新設計のトレーリングリンク車軸式コイルスプリング(リア)などを採用して、乗り心地を向上している。

さらに、100%モーター走行により室内はもちろん、早朝、深夜の走行や住宅街での頻繁な駐停車にも安心な静粛性を実現することで、運転者のストレス低減にも寄与している。

そして、日常からもしもの時まで幅広く役立つ、外部給電機能を全車に標準装備。インパネの中央にAC100Vで最大消費電力の合計が1500W以下の電気製品が使用可能なアクセサリーコンセントを装備し、走行中でもパソコンなどの充電も可能だ。

加えて災害時などで電力が必要な時は、車両の走行機能を停止した状態で給電ができる非常時給電システムも搭載している。

付属の外部給電アタッチメントを使用すれば、フロントドアとドアガラスを閉めた状態でも車外に電源コードを引き出して給電できる。また、急速充電やV2Hに対応可能なCHAdeMO規格の急速充電インレットも全車に装備している。

ベース車同等の高い積載性と使い勝手の良さ

もちろん、ベース車同等の高い積載性と使い勝手の良さは変わらない。

e-ハイゼット・カーゴは、大容量バッテリーやeアクスルを床下に最適配置することで、ベース車同等となる軽キャブオーバーバンNo.1の積載スペース(e-ハイゼット・カーゴ4シーター)と最大積載量350kgを確保し、積載性と使い勝手の良さを継承している。


商用だけでなく乗用ユースでも使える上級モデル『e-アトレー』も設定。    平井大介

最新の予防安全機能『スマートアシスト』は、ステレオカメラの性能を向上させ、より広範囲な検知、認識が可能となったことで、衝突警報機能(対車両/対歩行者[昼夜])および衝突回避支援ブレーキ機能(対車両/対歩行者[昼夜])を進化させて搭載した。

また、商用だけでなく乗用ユースでも使える上級モデル『e-アトレー』も設定された。ブラック加飾やメッキが特徴的なエクステリアや、黒を基調としたインテリアで質感を向上し、両側パワースライドドアなど、利便性の高い機能を設定している。

車両価格は、e-ハイゼット・カーゴが2シーター/4シーターとも314万6000円、e-アトレー(グレードはRS)が346万5000円。いずれも、駆動方式は2WD(RWD)のみ。

販売目標台数(2車種合計)は月間300台と控えめだが、インフラの充実度と軽商用エンジン車の普及度合いを鑑みての数値だという。まずは大手の法人だけでなく個人事業主にも使ってもらいたいと、1台ずつ、しっかり売り切っていくとしている。

経産省や自治体の補助金はまだ確定していないようだが、このe-ハイゼット・カーゴとe-アトレーの投入で、軽商用車の電動化がどれだけ加速していくのか、期待したいところだ。

ダイハツe-ハイゼットのスペック

ダイハツe-ハイゼット・カーゴ 4シーター
全長×全幅×全高:3395×1475×1890mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1260kg
モーター:交流同期電動機
最高出力:47kW(64ps)/3562〜4500rpm
最大トルク:126Nm(12.9kg-m)/0〜3562rpm
バッテリー総電力量:36.6kWh
WLTCモード航続距離:257km
駆動方式:RWD
タイヤサイズ:145/80R12
価格:314万6000円


e-ハイゼットのフロントシート下。電動化しても室内スペースは犠牲にされていない。    平井大介