アンドレイ・カーパシー氏はスロバキア系カナダ人の計算機科学者で、テスラでAIおよびオートパイロットビジョンのディレクターを務めたほか、ChatGPTを開発したOpenAIの共同創設者でもある人物です。そんなカーパシー氏が、さまざまな研究者に質問するポッドキャスト・Dwarkesh Podcastに出演し、AIエージェントがしっかり機能するようになるには10年かかるため、AGI(汎用人工知能)の実現には少なくともそれ以上かかるとの見通しを示しました。

Andrej Karpathy - AGI is still a decade away

https://www.dwarkesh.com/p/andrej-karpathy



AI researcher Andrej Karpathy says AGI is still a decade away, here’s why | Technology News - The Indian Express

https://indianexpress.com/article/technology/artificial-intelligence/andrej-karpathy-agi-is-still-a-decade-away-heres-why-10316244/

カーパシー氏は以前から、AI業界にいる人々が「2025年はAIエージェントの年になる」と言っているのに対し、「2025年〜2035年がAIエージェントの10年になる」という見解を示してきました。現状のAIエージェントはうまく機能しないことも多く、AIエージェントとしてしっかり機能するようになるまでには、幅広い分野での膨大な作業が必要になるというのがカーパシー氏の主張です。



ポッドキャストに出演したカーパシー氏は、「2025年はAIエージェントの年ではなく、2025年〜2035年がAIエージェントの10年間になる」という主張について尋ねられました。カーパシー氏は、「誰が言ったのかは正確には覚えていませんが、大規模言語モデルと今後の進化に関して、その人は今年がAIエージェントの年になると暗に示唆していました。私がこの言葉に触発されたのは、AI業界では過剰な予測が横行しているからです」と答えています。

カーパシー氏自身もAnthropicのClaudeやOpenAIのCodexといったAIエージェントを使っており、これらは優れた性能を持っていると認めていますが、それでもまだやるべきことはたくさんあると感じているそうです。そして、今後も10年間はAIエージェントを使い続けることになり、AGIに到達するのはその先になるだろうとの見通しを持っているとのこと。

カーパシー氏は、既存のAIの知能は十分ではなく、コンピューターの操作などを含むマルチモーダルな行動に対応できないと指摘。「彼ら(AIエージェント)は継続的な学習能力を持ち合わせていません。ただ何かを教えただけでは覚えられません。認知能力が欠如しており、うまく機能していないのです。これらの問題すべてを解決するには10年はかかるでしょう」と述べています。

カーパシー氏はポッドキャストの公開後、内容についてXへのポストで補足説明を行っています。



カーパシー氏は自身が考えるAIのタイムラインについて、AI業界のホームパーティーやXのタイムラインで見かけるものより5〜10倍は悲観的なものの、AI否定論者や懐疑論者と比べればかなり楽観的なものだと主張しています。「全体として10年というタイムラインは、AGIにとって非常に強気な見通しだと考えます。現在の過剰な期待との対比で、そう感じられないだけです」とコメントしています。

また、現実の世界で求められているのは人間と協働するAIエージェントであり、20分で1000行のコードを出力して押しつけてきて、人間にコードを評価する余裕を与えないAIエージェントではないと指摘。カーパシー氏は、「AIツールの能力や現代の業界における位置づけについて、もっと現実的なものにするべきだと考えています。もしこれが適切に行われなければ、ソフトウェア全体に粗悪なコードが山積みになり、脆弱(ぜいじゃく)性やセキュリティ侵害が増加するのではないかと懸念しています」と述べました。