キャプテンマークを託された久保。見事なリーダーシップだった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[北中米W杯アジア最終予選]日本 6−0 インドネシア/6月10日/市立吹田サッカースタジアム

 故障離脱者が出たこともあり、最近では最も効率的な代表活動となった。2戦を通じて招集した27人中23人もの選手をプレーさせることが出来たのは、大きな収穫だった。代表キャップの獲得は、おそらく若い選手たちの今後のステップアップも後押しするはずだ。

 大半がオランダ育ちのインドネシアは、日本の代表キャリアの浅い選手たちにとって、ストレスなく武器を活かせる格好の相手だった。パトリック・クライファート監督を筆頭に、オランダ生まれの選手たちは高邁な志とともに育まれている。つまりヨハン・クライフの時代に象徴されるように、しっかりとボールを繋ぎ攻撃的な創造性を示すことが、伝統の基盤を成している。そこが歴史の浅いオーストラリアとの大きな違いだ。

 オランダ代表のエースストライカーだったクライファート監督は、当然インドネシアでも母国の誇りを胸に理想を追い求めようとした。無駄なロングボールは使わず、自陣ゴール前でもしっかりと繋ぎ、日本がボールを下げれば勤勉にプレスをかけた。確かに未来を見据えれば必要なプロセスなのかもしれない。だが母国の代表を諦めてインドネシア代表を選択し、日本に挑む選手たちには難易度が高過ぎるチャレンジだった。
 
 結果的に日本陣内まで駆け上がればスペースが広がりカウンターを受け、ボールを大切にしようとすれば、守備への切り替え意識が徹底された日本の2次攻撃を受けることになった。そこがホームゲームでも最後の1分まで結果に固執し、自陣ゴール前に閉じこもって身体を張り続けたオーストラリアとの相違点だった。

 現状で2シャドーに鎌田大地、久保建英の配置は、森保構想の看板商品として固まりつつある。プレミアで戦う鎌田はもちろん、キャプテンマークを託された久保も、ソシエダでのプレー時以上に守備にも機転を利かせてリーダーシップを発揮している。

 同じレフティの右ウインガーとして、ラミネ・ヤマル、ミッシェル・オリースらを超えられるかと言えば難しいが、活動の幅や自由度が広がるシャドーならペドリやグリーズマンの色も加わり、さらに価値を高めていける可能性がある。

 今のところ指揮官が遠藤航に全幅の信頼を寄せるボランチは、ブンデスリーガでの実績から佐野海舟が攻撃への積極的な加担をプラス材料にアピールした。だが守田英正のゴール前での巧緻度や、田中碧のアイデア豊かなパスセンスを凌駕していくには、フィニッシュにかけての精度向上がテーマになりそうだ。
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 また両WBも多士済々だ。特に右サイドは堂安律が適任とは言い難いし、伊東純也の近況を思えば、本大会までに主役が入れ替わる可能性はある。しかし左は中村敬斗が別格の健在ぶりを示し、その先には三笘薫が君臨する。三戸舜介、佐野航大、俵積田晃太らも貴重なタレントだが、このポジションを脅かすには、まず自身の環境改善が不可欠になる。

 降格したホルシュタイン・キールで2ケタゴールの町野修斗は、森保一監督が将来への投資として前回ワールドカップへ連れて行った期待株。そういう意味では、冨安健洋鈴木彩艶らに続き、指揮官の眼力が証明される結果となった。今後はフェイエノールトで信頼を回復しつつある上田綺世との併用が予想される。
 
 こうして今回の連戦では、多くのポジションで層の厚さを再認識できた。一方であまり試されることがなかった最終ラインは、故障者の連鎖も含めて不安材料が少なくない。もともと軸を成すはずだった冨安や伊藤洋輝のブランクが長引き、最近の充実ぶりが突出している高井幸大は、本来なら欧州進出のタイミングを迎え、難しい選択を迫られるかもしれない。

 板倉滉、町田浩樹、渡辺剛らも環境が変わる可能性に直面しており、CB陣の来シーズンの去就や充実度が、本大会の明暗を左右することになりそうだ。

文●加部究(スポーツライター)