エヌビディア1強体制の終焉、ではこれから投資すべき銘柄は?<今中能夫の米国株ハイテク・ウォーズ>
◆ビッグテックの中ではメタだけがAI導入の目に見える成果を
これらの各社は業績が好調であるとともに、株価がここにきて急上昇しているが、背景にはやはり、昨年後半から投資家たちが投資対象をシフトしていることがあるだろう。はっきり言ってしまえば、昨年前半にエヌビディアで稼いだ利益をどこに移動すればいいか、と考えた結果ではないだろうか。
エヌビディアは結局、昨年1年間で株価が2.7倍、2年間なら9倍になったわけだが、今年も同じようなパフォーマンスを上げると考えるのはさすがに無理がある。他のハイテク大手を見ても、生成AIブームの仕掛け人であるはずのマイクロソフトでさえ24年10-12月期は前年同期比で最終利益が10%程度しか伸びず、株価も24年の1年間で10%超しか上昇しなかった。ではどこに資金を振り向ければいいかと考えていたところに、こうした準大手クラスの企業の業績が伸び始めていたというわけだ。
もちろん、AIムーブメント自体はこれからも続くだろうし、ハイテク大手もその恩恵を受けることは確かだろう。だが、各社が力を入れているAIへの巨額投資が生きるのかはまだ不明だ。GAFAMの中ではアマゾンが24年12月期は北米事業、広告、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)ともに高い成長を続けているが、やはりAIへの投資額が増え続けている。23年は約600憶ドル、24年は約800億ドルだから、このままいけば25年は1000億ドルに達するかもしれない。果たしてそれに見合う成果を生み出すことができるのか。まだ過剰投資と決めつけることはできないが、現時点では成果が上がっているとは言えない。
一方、目に見えて成果が上がっているのがメタ・プラットフォームズ だ。24年12月期は売上高が前年比21.9%増の1645億100万ドル、営業利益が同48.4%増の693億8000万ドルと想定以上の高い成長を遂げた。主力の広告事業では、同社の提供する生成AI広告作成ツールを活用する広告クライアントの数が急増している。その数は半年前の100万から400万に達したといい、生成AIが売り上げ増に直結しているのだ。
ところで、大手クラウド3社にメタ・プラットフォームズを含めた各社は、これまで競うようにAIへの大型投資を続けてきたが、ここにきて各社ともその在り方を見直しているという。その一つが内製AI半導体の強化で、これによって存在感が急速に高まっているのがブロードコム だ。同社は、顧客企業の注文に応じて半導体を設計するオーダーメード型の半導体を提供している。これをもとに各社が内製AI半導体をつくっているのだ。
昨年12月の同社決算では、内製AI半導体(特注型AI半導体)の顧客は3社としており、社名は公表されなかったが、クラウドサービス大手3社と推定できた。どうやらここにメタとアップル も顧客に加わったようだ。現時点ではエヌビディアと同等の性能を持つ半導体はつくれていないようだが、ビッグテック5社がエヌビディアの40~50%安いと思われるブロードコムの半導体を活用し始めた意味は小さくない。
◆「ディープシーク」は「CUDA」なしで開発された?
そして、世界を騒がせている「ディープシーク」については、各社とも低コストでの開発やプログラムの最適化などに対して高く評価している。それが各社の設備投資にどう影響していくのか。「ディープシーク」を見るときのポイントは二つある。一つは、このモデルが「知識蒸留」によってつくられているということだ。この手法に関しては、オープンAIの技術の不正入手が疑われ、現在、調査が進められているが、少なくともAIの強化学習には効果的だということが実例として示されたことは確かだ。
