日本対シリアが行なわれたスタジアムの現地スタッフ。「サウジのサッカーは欧州レベルで、最高のサッカーの1つだ」と笑みを浮かべた。(C)SOCCER DIGEST

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 サウジアラビアでサッカーと言えば、国内リーグが話題沸騰だ。クリスティアーノ・ロナウドやネイマール、カリム・ベンゼマといった一線級のスターがこぞって参戦し、世界中から熱い視線が向けられている。では、現地の人々はどう感じているのか。

 日本代表に関して聞いた流れで、「この国のリーグにはスーパースターが多くいるよね」と話題を振ると、皆すらすらと自国でプレーする選手を列挙。どこか誇らしげな表情が印象的だった。

 中でも地元民に人気なのは、リャド・マハレズか。ジッダがホームタウンで、日本代表も練習場を借りたアル・アハリで活躍する元マンチェスター・シティ戦士だ。チームメイトのロベルト・フィルミーノやエドゥアール・メンディより先に挙がり、「マハレズ イズ ベスト!」と豪語する熱烈な信者もいた。

 そして街中では、子どもを中心に、海外クラブのユニホームを着た人と頻繁にすれ違った。バルセロナ、レアル・マドリー、パリ・サンジェルマン、ユベントス...。やはりどこの国でも名門のブランドは根強い。

 着るだけでなく、公園や道路の脇でサッカーボールを蹴るも姿も度々見かけたほか、ホテルのすぐ近くだけも2つのスポーツショップがあり、ボールやユニホームが売られていた。
 
 日本代表の練習取材後、そのうちの1つの店に入り、何気なくネイマールのシャツの値札を覗き込んでいると、後ろから「こっちにはフィルミーノのがあるぞ」という声が。振り返ると、屈託のない笑みを浮かべる店員がいた。

 自分の身分を明かすと、思いのほか話が盛り上がり、最後にはキャラメルをくれた。友情の証なのだろうか。味は決して悪くなかった。

 さて、ここまで良い面ばかりに触れてきたが、一方で、スーパースターフィーバーによる懸念もある。国際色豊かな選手たちの華々しい活躍の裏で、自国の選手の成長が妨げられてしまうリスクだ。サウジアラビア代表の立場で考えれば、由々しき問題である。

 この点に関して、少なからず危機感を感じている人もいる。お腹を触って笑っていたホテルスタッフのその1人だ。一転して真剣な表情で「アカデミーや基礎をもっと確立してほしい。根本的な部分だ」と訴えた。

 サッカー熱の高まりを確かに感じるこの国で、リーグや代表はどんな変化を遂げていくのか。数年後、また足を踏み入れる機会があれば、フレンドリーなアラビアンに話を訊いてみたい。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

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 11月16日、日本代表は北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選の初戦で、ミャンマーと大阪で対戦し、5−0で大勝を収めた。その翌日の昼過ぎ、21日にサウジアラビアで行なわれるシリア戦の取材に向け、関西国際空港から飛行機に乗り、18日に現地入りした。

 到着したのは、決戦の地ジッダにあるキング・アブドゥルアズィーズ国際空港。多くの人で賑わう飛行機から降りると、同地での開催が迫るクラブW杯の大きなポスターに出迎えられた。

 現地での移動手段としては、日本では“eats”でお馴染みのタクシー配車サービス、『Uber』が問題なく利用できる。目的地を入力することで事前に料金が知れ、決済もオンライン上で完結するため、非常に便利だ。

 ただ、同じタクシーでも、いわゆる“白タク”には注意が必要だ。街中を歩いていると、結構な頻度で声を掛けられるが、安全面や値段を考えると、特別な事情がない限り乗らないことをお勧めする。

 実際、自分は空港に着いて早々声を掛けられ、そのまま宿泊するホテルまで乗った結果、30分弱の移動距離で、帰りの3倍の額である150サウジアラビア・リヤル(約6000)円を支払う羽目に。しかも途中から運転手が目的地とは逆方向に走り出し、最後は自ら必死にナビゲートしなければならなかった。

 ということで、日本代表の練習や前日会見、試合があるプリンスアブドゥラー・アルファイサル・スタジアムまでは、全て『Uber』で移動。計12回も乗車する機会があったなか、その都度、自分が日本から来た記者だと伝え、日本サッカーについて訊いてみた。

 すると、フレンドリーなドライバーたちは、口々に「Japan is strong」「Japan is good」と回答。その大半が、日本代表がアジア屈指の強豪である事実を把握していた。だが、その他の情報はあまり知らないようで、「知っている日本人選手は?」と投げかけて、会話が弾むことはほとんどなかった。

 それでも、プレミアリーグ好きを名乗る1人は、「リバプールに日本人選手がいるよね」と切り出し、「Endo Endo Endo」と森保ジャパンのキャプテンの名を連呼。「エンドウはクールだ」「攻守で素晴らしい」と絶賛した。さらにブライトンの三笘薫について尋ねた際には、「デ・ゼルビ!」と声を張り上げ、同クラブの指揮官がいかに優れているかを熱弁してくれた。

 また、ホテルのロビーで宿泊客にちょっとした取材をしていると、フロントにいたスタッフが「日本のサッカーなら知ってるよ」とカットインしてきたことがあった。

 これはチャンス!と期待するも、知っていた選手は「オノ(小野伸二)とホンダ(本田圭佑)」のみ。あとは「昔はサッカーをやっていたんだ。今はこんなお腹だけどね」と笑うだけだった。ただ、周辺の観光スポットや「絶対行くべき」カフェの情報は詳細に教えてくれた、愉快で親切な人物だという事実も併せて伝えておきたい。