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ほぼ新車のSUV、新車より高く売れる

英国の新興自動車メーカー、イネオス・オートモーティブ(化学大手イネオス傘下)が発売した大型SUVのグレナディアの「転売」が問題視され、一部の新車購入者に転売制限が課せられている。しかし、転売して利益を得ることは必ずしも不健全な行為ではないという見方もある。

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英国に住むエリック・マクドナルドさんは2022年8月に新車のグレナディア3.0dフィールドマスターを注文したが、まだ納車を待っている。


オークションサイトでは、走行距離の少ないグレナディアが新車価格より高い金額で落札されている。    AUTOCAR

「当初は2月に生産されると聞いていましたが、5月になり、その後6月からと言われました。さらに延期になると思いますが、他の待っている人たちと同じように、心配はしていません」

一方、独立系ディーラーやオンライン・オークションで、ほぼ新車のグレナディアを高値で購入する人たちがいるというニュースもある。

最近、オンライン・オークション会社のCollecting Carsで落札された1台は、マクドナルドさんの車両と同じくディーゼルのフィールドマスターで、走行距離はわずか103kmだった。2023年登録で、7万3000ポンド(約1330万円)で落札された。

「わたしは6万4000ポンド(約1170万円)と、その他諸費用としてもう少し支払いました」とマクドナルドさん。

「11月、イネオスは価格を7万ポンド(約1275万円)に引き上げました。7万3000ポンド(約1330万円)を支払うことで、そのフィールドマスターを落札した人は納車待ちの時間を短縮できただけだと思いますが、わたしはイネオスの価格が現実的なものであるとわかって安心しました」

その点、マクドナルドさんの住むスコティッシュ・ボーダーズからそう遠くないところにある独立系ディーラーでは、2023年式ディーゼルのフィールドマスター(走行距離320km)を7万7995ポンド(約1420万円)で広告に出している。

オプション装備などを考慮しても、その価格は現在の新車価格より5000ポンド(約90万円)ほど高い。発売当初の値上がり前と比較すると、少なくとも1万ポンド(約180万円)は高いことになる。

その独立系ディーラーに話を聞くと、「地元のイネオス・ディーラーは、新車の納期を1年2か月と見積もっています。(当店は)この行列を飛び越えるために無理を強いているとは思いません」という返答があった。

「当店ではグレナディアを2台販売しました。1台目は48時間、2台目は1週間で売れました。大きなプレミアを要求できるという意味では、過剰なものではありません。グレナディアを買う人は真面目で、ほとんどは仕事に使います。ファッションではないので、お金をばらまいたりしないんです」

転売は需要があるから成立する?

二次流通市場(セカンダリー・マーケット)と呼ばれるもの、また、需要のある新車を購入してすぐに売って利益を得る「フリッピング」と呼ばれる短期転売に対して、自動車メーカーは複雑な思いを抱いている。

すでに新車販売で利益を上げているメーカーにとっては喜ばしいかもしれないが、イメージや評判を守らなければならないメーカーにとっては不満だろう。イネオスは後者の立場だ。


イネオス・グレナディアは仕事用に購入する人も多いという。

イネオスの広報担当者は次のように述べている。

「代理店や顧客との契約には、企業であれ個人であれ、注文や販売に関する明確な条項があります。当社の代理店パートナーは、グレナディアを転売する意図が明らかな買い手の注文を数多くキャンセルしてきました」

「車両が引き渡され、その後売りに出された場合、わたし達にできることは少ないのですが、当社はすでに転売した多くの買い手に将来的な制限を課しています」

オンライン・オークション会社Collecting Carsの広報担当者は、二次流通市場における同社の役割と、グレナディアをはじめとする同社が売却した車両のオークションについて、次のようにコメントした。

「オークションは素早く売買する良い方法であり、価格はその日のクルマの価値を反映します。最近の販売実績を見れば、グレナディアを求める市場があることがわかるはずです。過剰なものではなく、当社の販売では現実的な価格であることが示されています。これは、人々に購入する自信を与えてくれます」

クラシファイドセールスも行っているオンライン・オークションサイト、Car & Classicは、二次流通市場は一部の人々にとって生命線になりうると主張している。Car & Classicのトム・ウッドCEOは、次のように語った。

「売却を考えている人たちは、必ずしも手っ取り早く利益を得ようとしているとは限りません。ここ数年で経済状況が変わり、安全で信頼できる現金調達手段を必要としている人がたくさんいます。わたし達は、ニーズを持つ2者を結びつける手助けをしているのです」

車両データ会社Bregoの共同設立者であるサイモン・ハント氏は、二次流通市場は健在だとした上で、「フェラーリやポルシェの特定のモデルは、引き続きプレミアムがついています」と言う。

「例えば、フェラーリ296 GTBの新車価格はオプション装着前で約24万5000ポンド(約4460万円)ですが、登録車は35万ポンド(約6380万円)で売りに出されています」

「しかし、二次流通市場は需要主導型であるため、潜在的にはどのブランドでも利益を得られる可能性があります。一時期、納車の遅れが原因となって、ランドローバーの一部モデルの価格が高騰したこともありました」