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フェンダーやドア、サイドシルは錆びる

「モンディアルは、一般的に選ばれることが多いフェラーリのエントリーモデルです」。と、ケント・ハイパフォーマンス・カーズ(KHPC)社の営業部門トップ、サイモン・ハミルトン・ウォーカー氏が説明する。

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同社を経営するロジャー・コリングウッド氏が、「4シーターなので奥さんの許可を得やすいですよ」。と付け加えると、「子どもくらいしか座れませんが」。と、ハミルトン・ウォーカーが冷静に現実を教えてくれた。


フェラーリ・モンディアル(1980〜1993年/英国仕様)

コリングウッドによると、KHPC社では年間70台前後のフェラーリを販売しているという。多くの顧客は、フェラーリからフェラーリへの乗り換え。下取り車両が多数を占めるそうだ。

買い取ったクルマは、店頭へ並ぶ前に入念に点検され、一定の基準へ戻すべく必要なメンテナンスが施される。小さなボディの凹みや、錆びた部分の修復なども含まれるとのこと。

「モンディアルは比較的錆びやすいですね。チューブラー・シャシーは大丈夫なことが多いですが、フェンダーやドア、サイドシルは正直弱いです」。とコリングウッドが弱点を明かす。

一方で、メカニズムの心配は少ないという。「定期的なメンテナンスを怠らず、オイル交換をこまめにしていれば、エンジンは16万kmはもちます」。トランスミッションも、ぞんざいに扱わなければ同程度は耐えるという。

機械的な交換部品は、入手が難しくない。ボディパネルも見つけられるが、KHPCでは補修も可能。内装の部品は出てこないものも多いそうだが、別注で製作することは可能だとコリングウッドは話す。

中古でも素晴らしいフェラーリやポルシェ

既に1985年式のモンディアルは契約済みということで、今回は運転することが叶わなかったが、助手席には乗せていただいた。スポーツエグゾーストから胸のすくような快音が響き、マラネロが与えた、本来の能力を発揮できるコンディションにあるようだ。

エンジンは滑らかに回り、すべての電装系の機能も正常に動いている。傷んだ路面を進んでも、ボディがきしむこともない。艶のあるレッドのボディと同様に、インテリアの状態も見事だった。


ケント・ハイパフォーマンス・カーズ(KHPC)社のロジャー・コリングウッド氏(右)と筆者(左)

このまま、多少の長距離ドライブなら問題なく楽しめるだろう。中古でも、フェラーリは素晴らしい。

同じことは、今回われわれが発見した中古のポルシェ・ボクスターにも当てはまる。2002年式で、エンジンは2.7Lの水平対向6気筒。新車時の最高出力は231psがうたわれていた。

販売価格は5500ポンド(約96万円)。入庫したままの状態で、特に整備は施していないということだが、サービスブックには適切なガレージによるメンテナンス記録のスタンプが幾つも残っている。前回の整備から、それほど時間は経っていない。

スペアキーが付いており、純正のハードトップも付属する。走行距離は14万kmほどだが、距離が伸びがちな英国では、年式としては平均より短いといえる。

ダークブルーのボディには小キズが目立ち、インテリアには汚れが残っているものの、きれいに戻すことは可能だろう。まだ、しばらく楽しめるに違いない。

必要な整備でボクスターを普段の足にする

販売しているのは、ロンドンの東に拠点を置くUKカーズ・クラブ社。経営者のアッシュ・レーマン氏によれば、新しいポルシェを購入した顧客からの、下取り車だという。通常は、自動車オークションから仕入れることが多いそうだ。

このボクスターで留意したいのが、前述の傷や汚れのほかに、ステアリングホイールとシフトレバーの摩耗。ブレーキパイプの一部も錆びており、ブレーキパッドとディスクは交換した方が良いだろう。


ポルシェ・ボクスター(986型/1996〜2004年/英国仕様)

サスペンションのマクファーソンストラット部分にも、腐食が見られる。エンジンからは、オイルが滲んでいる。運転席側のパワーウインドウは動かない。少なくとも車検の記録から、走行距離は改ざんされていないようだ。

問題は少なくないが、ブレーキを交換し、パワーウインドウを修理すれば、ボクスターを普段の足にできる。オイル漏れの進行具合次第ではあるが。

周辺の道を試乗させてもらったが、サスペンションのダンパーとブッシュもヘタっている様子。称賛を集めた本来のシャシーを堪能するなら、交換した方が妥当だろう。しかし、それ以外は快調に感じられた。

全般的な点検も含め、修理を整備工場に依頼したとして、英国では3000ポンド(約53万円)から5000ポンド(約88万円)程度の追加予算が必要になる。車両価格に並ぶ金額だが、高すぎることはないと思う。

リフレッシュもカーライフとして楽しめる

自宅のガレージで修理できる人なら、リフレッシュする過程もカーライフの1つとして楽しめるだろう。あるいは予算を上乗せし、より状態の良い1台を探し、信頼のおける専門店でしっかり整備してもらえば、リスクは少しでも減らせる。

とはいえ、8000ポンド(約140万円)のボクスターを選んでも、メンテナンス・フリーで済む可能性は少ない。ある程度年式が古い中古車として、避けられない現実といえる。安い車両から厳選し状態を整える方が、この場合は賢明かもしれない。


ポルシェ・ボクスター(986型/1996〜2004年/英国仕様)

フェラーリ・モンディアルへ惹かれるか、ポルシェ・ボクスターへ惹かれるかは、ブランドに対する思い入れでも変わってくるはず。それでも、中古のボクスターの価格価値には、改めて感心してしまう。

偶然にも、2台とも0-100km/h加速を6.4秒でこなす性能を誇った。ミドシップレイアウトで、運転を楽しめるシャシーを備えている。同程度の価格で売られている真新しいクロスオーバーやハッチバックより、魅力的に感じてしまうのは筆者だけだろうか。

協力:ケント・ハイパフォーマンス・カーズ社、UKカーズ・クラブ社