この記事をまとめると

■最近サイドモールを採用するクルマを見なくなった

■サイドモールがなくなった理由を解説

■またサイドモールが印象的だったクルマを振り返る

一時は当たり前のように付いていた「サイドモール」

 昨今のカーデザインでは、EVの登場によるグリルレスの表現が特徴的です。冷却装置が不要になり、大きなグリルは要らなくなりました。もうひとつ、最近すっかり見なくなったものに「サイドモール」があります。一時は当たり前のように付いていたモールはなぜなくなったのか? 今回はカーデザイン的な視点から振り返ってみたいと思います。

実用性を備えつつ見た目にも対応

 そもそもサイドモールは何のためにあったのでしょうか? これは誰もが想像するとおり、ひとつはドアパネルなどへのキズ防止のため、そしてもうひとつはデザイン的なアクセントのためだと考えられます。

 サイドモールはかなり早い時期からあって、たとえば1974登場のボルボ240シリーズでは、フロントフェンダーからドアハンドルの下を通ってリヤエンドまで、じつに「しっかりした」モールが装着されていました。

 高さのあるこのモールは見るからにガード力が強そうで、ボディサイドのアクセントでありながら、どちらかと言えばキズ防止など機能優先で考えられたのではないかと思えます。

80年代はサイドモールの全盛期

 これが80年代になると、徐々に機能面から見た目重視へと目的が変わってきます。

 たとえば、7代目のトヨタ・クラウンや6代目の日産セドリックなど、この時期の高級セダンでは、サイドモールにメッキを添えたり、あるいはより立体的な表現が見られます。これは、モールを高級感演出のいち要素として利用した例です。

 一方、コンパクトカーである5代目のカローラセダンでは、ボディを1周する太いサイドモールが特徴です。これは高級感というより、強いアクセントとしてボディをギュッと引き締める効果を狙ったものでしょう。

 こうして一気に増えたサイドモールですが、これは80年代の特徴であるスカート一体型バンパーと相性のいいデザインだったことがあります。つまり、前後バンパーに添えたモールとボディサイドのモールを一体で見せることができたのです。

シンプルなデザインの流行により「サイドモール」が復活!?

ボディ形状の変化で消えたサイドモール

 続く90年代は、サイドモールにとって過渡期と言えます。この時期、バンパーは依然スカート一体型のままですが、全体の質感向上に伴ってモールは消え、ボディカラー1色に。そうなると、サイドモールだけを素材色にするのは違和感があります。

 たとえば、91年登場の7代目カローラにはサイドモールが残っていますが、基本的にはボディ色となりました。これは、7代目や8代目の日産サニーなども同じです。

 そして2000年代に入ると、完全にボディの一部となったバンパーに加え、製造技術の向上によってボディサイドに派手なキャラクターラインが引かれるなど、モールの置き場自体がなくなりました。美しさを追求するデザイナーにとって、モールはもはや余計な要素になったのです。

デザインの変化で復活の兆しが

 こうしてサイドモールが姿を消したのは、デザインの進化による必然だったのかもしれません。ところが、2020年代のいまになってこの流れにも変化が見られ始めました。

 たとえばルノーのトゥインゴやシトロエンのベルランゴ、トヨタの新型シエンタなどでサイドモール(プロテクター)が復活しているのです。また、少し構造は違いますが、トヨタのクラウンクロスオーバーにも同様の表現が見られます。

 これらもキズ防止というより、明らかにボディのアクセントとして置かれているように見えますが、なぜいま復活なのか? これは、近年多くのメーカーがシンプルなデザインへ回帰していることに理由がありそうです。シンプルな面構成になったことで、アクセントを生かすことができるのです。

 これを単に先祖帰りというのは少し違うかもしれません。プロテクターを付けるか否かはともかく、カーデザインとしては決して悪い方向性ではないと思えるのです。