EVの普及で“車のこたつ化”進む?トヨタ新型EVは新開発の『輻射ヒーター』採用
トヨタ bZ4Xやレクサス RZ、RXに採用の「輻射ヒーター」とは?
トヨタが2022年5月12日に発売した、トヨタ初のバッテリーEVシリーズ『bZ』第1弾モデル『bZ4X』は、ステアバイワイヤと異形ステアリングホールを組み合わせたワンモーショングリップや、モーター、トランスアクスル、インバーターを一体化したeAxleなど、さまざまな「初物」が採用されました。
「初物」づくしであるがゆえに、発売早々に良くも悪くも話題となってしまいましたが、この新型bZ4Xでトヨタが初めて採用した機能の中には、デンソーが新開発した「輻射ヒーター」があります。
トヨタはこの輻射ヒーターをbZ4Xで全車標準装備としたほか、レクサスの新型『RX』でも全車にオプション設定。さらにレクサス初のバッテリーEV専用モデルとなる新型『RZ』にも採用予定です。
「バッテリーEVは暖房使用時の航続可能距離減少が課題」と言われている中で、輻射ヒーターは暖房使用時の航続距離延長に貢献するとデンソーは説明しています。
約1分で100度以上に!冷えた足元をすばやく温める
デンソーが新開発した「輻射ヒーター」は、薄膜フィルム構造を採用したヒーター表面が1分ほどで約100度まで昇温します。輻射熱によって、冷えた足元をすばやく温められるため寒い時期のドライブでも快適に過ごせる車内空間を実現。
また、センサーによって発熱を止める制御技術も採用しました。人体が触れた場合には瞬時に温度を50度以下にし、ヒーターに触れ続けるような場合でも安全性を確保しています。
この輻射ヒーターとヒートポンプシステムを効率的に制御することで省電力化を実現。寒い時期でも快適に過ごせる移動体験と、航続可能距離の最大化の両立に向けた機能となっています。
肌の乾燥やほこりが気になる人にうれしい「輻射式暖房」
車のエアコンは一般的に「対流式」で、吸い込んだ冷えた車内を空気を熱して温風としてふたたび車内へ送り出し、空気を循環させて車内を温めます。そのため、エアコンは「風が当たり続けて肌が乾燥する」「空気の循環でほこり等が舞う」といった理由から、苦手だという方も少なくありません。
いっぽう、トヨタ bZ4Xなどが採用する輻射ヒーターは、その名のとおり「輻射式」の暖房機能です。パネルヒーターやオイルヒーターなど、風を出さない暖房器具が同じ「輻射式」となります。
温風ではなく、ヒーターから発せられる遠赤外線によって暖をとる機能なので、「風が当たり続ける」「ほこり等が舞う」といったことがありません。そのため、輻射式の暖房器具は肌のトラブルや空気の汚れが気になる人に人気があります。
なお、シートヒーターやステアリングヒーターは、触れることで暖が取れる、床暖房などと同じ「伝導式」です。触れていない箇所は温まらないため、シートヒーターが当たらない膝下等を輻射ヒーターでカバーすることで、寒い時期のドライブの快適性をより高めることができます。
バッテリーEV以外でも採用広がるか
デンソーが開発し、トヨタがbZ4Xで初採用した輻射ヒーターは、バッテリーEVの航続可能距離最大化が主なメリットとなるため、基本的にはバッテリーEVに向いた装備であると言えます。
しかし、レクサス RXは100%モーター走行が可能なプラグインハイブリッド『RX450h+』とハイブリッドの『RX500h』のほか、ガソリンエンジンのみの『RX350』にもこの輻射ヒーターをオプションで設定しているため、バッテリーEVに限る装備ではありません。
前述のとおり、肌のトラブルや空気の汚れが気になる人にとってもうれしいメリットがあるため、女性や、子どもがいる家庭からは喜ばれることが期待できます。
今後、さまざまな車種でこの輻射式のヒーターの採用が広がっていくのかもしれません。
