by Evert Nelson/The Capital-Journal

アメリカ・カンザス州のトピカ動物園にいるメスのライオンの1頭に、オスの象徴であるたてがみが生えてきたことが分かりました。このような事例は世界でも数えるほどしか報告されていない珍しい現象とされています。

Zuri, aging female lion at the Topeka Zoo, has grown a small mane

https://www.cjonline.com/story/news/local/2022/10/22/zuri-aging-female-lion-topeka-zoo-grows-small-mane-after-death-of-mate/69582710007/

Elderly female lion grows 'awkward teenage mane,' baffling zookeepers | Live Science

https://www.livescience.com/female-lion-grows-mane

メスなのにたてがみが生えてきたのは、トピカ動物園にいる18歳のアフリカライオンの「ズーリ」で、2020年末からたてがみが生え始めてきたとのこと。たてがみが生え始めたのは、2020年10月にこの動物園最後のオスライオンの「アブス」が死んでしまった後でした。

以下のうち左が2020年4月のズーリで、右が2022年8月のズーリです。



by Visit Topeka

トピカ動物園の動物学芸員であるシャナ・シンプソン氏は、アブスが死んでからすぐにズーリからモヒカンのような毛の束が生え始めたと話しています。その後ズーリのたてがみはふさふさになりましたが、大人のオスライオンほど立派ではないので、シンプソン氏は「彼女はちょっと不格好な若い男の子のように見えますね」とコメントしました。

たてがみを生やしたズーリは見た目だけでなく行動も変化しており、気が強くなってうなり声やほえ声を上げることが多くなっているとのこと。

メスのライオンからたてがみが生えるのは大変珍しいことですが、前例がないわけではありません。飼育下では、南アフリカの動物園で2011年に同様の事例が報告されたほか、アメリカのオクラホマ州の動物園でも2018年にメスのライオンにたてがみが生えているのが見つかっているとのこと。また、ボツワナに生息する野生のライオンを観察した2016年の論文でも5件報告されています。

メスライオンがたてがみを生やすメカニズムは完全には解明されていませんが、オクラホマ州の動物園の事例では男性ホルモンとして知られるテストステロンの前駆体であるアンドロステンジオンが過剰に分泌されていることが確かめられました。

ただし、ズーリに対するホルモン検査は行われていないので、ズーリの体内でも同じことが起きているかは不明です。シンプソン氏は、自分と自分の妹たちだけになった群れを守る義務感からズーリにたてがみが生えたのではないかと考えており、「彼女はプライドを守らなければと感じているので、テストステロンが増えて首の周りの毛が濃くなりました」と話しました。



by by Evert Nelson/The Capital-Journal

一方、野生のネコ科動物の保護活動を行っているPantheraの保全科学者・Kris Everatt氏は、科学系ニュースサイトのLive Scienceに対して「オスがいないとか、他のメスとの競争が激しいとか、そのような理由ではないと思います。おそらく、偶然の出来事でしょう」と話しました。

Everatt氏の見立てによると、ズーリからたてがみが生えたのは、飼育下のライオンの平均寿命である14.5歳を大きく上回る18歳という高齢が原因でホルモンの分泌が変化したのが理由と考えられるとのこと。トピカ動物園による健康診断には全て合格しているズーリですが、高齢のネコ科動物によく見られる腎臓病や関節炎を患っているので、食餌や投薬によって症状を抑えています。

高齢ながらも元気なズーリは動物園の人気者で、2022年10月22日と29日に催された毎年恒例のハロウィンイベントでも、仮装したたくさんの子どもたちの訪問を受けたとのことでした。



by Evert Nelson/The Capital-Journal