【藤田俊哉の目】強烈に放たれるゴールの“匂い”。エクアドル戦、堂安律を「9番」でテストするのも一案
まずは私事で恐縮だが、このたびジュビロ磐田のスポーツダイレクターに就任することになった。「クラブのために力を貸してほしい」。思い入れのあるクラブからオファーを受けた時、その言葉に心を動かされ、情熱がものすごく湧いてきた。
肩書きのとおり、僕が担うべき仕事はチームマネジメントとしてクラブ再建のためにサポートすること。重責とともに、大きなやりがいを感じている。持てる力と覚悟をもって、お世話になったクラブに恩返しするつもりだ。
「環境が人を育てる」とは、僕の実体験に基づく大切な言葉である。これはサッカーのみならず、全てにおいて通じるものと考えている。
その点で言えば、日本代表も例外ではない。
Jリーグから海外へと移籍していく選手が年々増えているが、彼らの成長スピードは凄まじく、日本代表のメンバーやスタメンの顔ぶれも、目まぐるしく変わっている。
カタール・ワールドカップまで2か月を切った。この時点で注目すべきは、選手の組み合わせとメンバー争い。群雄割拠と言えば聞こえはいいが、選手たちの気持ちは複雑だろう。
レギュラーポジションが約束されている選手などいないが、やはりヨーロッパで揉まれている選手は、日本代表でも安定したパフォーマンスを見せているので、メンバー入りの可能性が高い。
2−0で勝利した23日のアメリカとの試合を見ても、そのことは明白だ。
この日、森保監督は4−2−3−1を採用。チェルシーのMFクリスティアン・プリシックが負傷離脱したアメリカのチーム力は、戦前の予想をはるかに下回ったとはいえ、日本は危なげないゲーム運びでアメリカに完勝した。
守備陣がアメリカをシュート4本に抑えた要因は、最終ラインに戻ってきたアーセナルの冨安健洋、ダブルボランチのシュツットガルの遠藤航、スポルティングの守田英正の存在が際立っていたこと。シュツットガルトの伊藤洋輝もしかり。
フランクフルトの鎌田大地のパフォーマンスも良かった。今季、鎌田や守田はチャンピオンズリーグでも堂々と活躍できているのだから、当然かもしれない。
攻撃面では言うまでもなく、フランクフルトでも攻撃をリードする鎌田の存在が際立っていた。彼がボールを持つと、ゴールの“匂い”を感じさせる。25分には先制点を挙げてみせた。
S・ランスの伊東純也はこの日、インパクトこそ残せなかったが、同じく“匂い”はあったし、ブライトンの三笘薫は所属クラブでは少ない時間しかプレーできていないが、途中出場から1得点。結果を残せたのは、常にゴールに向かう姿勢を見せているから。
同じく途中出場の堂安律は、まさにゴールの“匂い”を強く感じる選手だ。アメリカ戦では不発に終わったものの、フライブルクでは今シーズン、ここまで10試合中9試合に先発出場して、4ゴールを決めている。
多くの日本人選手がブンデスリーガでプレーしているが、なかでも鎌田と堂安の2人の現地での評価はすこぶる高い。その理由は単純明快で、ゴールを決める選手だからだ。
その点で言えば、ワントップに入ったセルティックの前田大然や湘南の町野修斗は、残念ながら“匂い”は感じられなかった。もっとも、彼らのパフォーマンスが決して悪かったというわけではない。前線からプレスをしていく姿勢は常に見せていたし、それによってアメリカの最終ラインから良いパスが出なかったのも確かだ。
