「ブレーキかけて速度を調整すればいい」とはいかない! 下り坂でのアクセルの踏みすぎが危険なワケ
この記事をまとめると
■下り坂でのアクセルの踏みすぎは危険
■想像以上に速度が出てしまう
■強いブレーキはスピンにつながる恐れがある
コーナーで曲がり切れない! なんてことも……
長い下り坂では「エンジンブレーキ使用」といった看板を見かけることが多い。いうまでもなくエンジンブレーキというのは、アクセルを閉じた状態でギヤをつないでいるときにエンジン由来で生まれる抵抗を使って速度を落とすというテクニックのことで、すなわち下り坂ではアクセルは閉じている(ペダルを踏まない)のが基本だ。
そうはいっても坂の状態によってはアクセルオフでは速度が落ちすぎてしまうこともあり、下り坂でもアクセルを踏まないといけないシチュエーションもあるだろう。とくに全体としては下りだが、細かくみるとアップダウンがあるようなワインディングではアクセルオフ一辺倒というわけにはいかず、適切なコントロールが求められる。
たとえば、下り坂の途中に存在する短い上り区間で速度を維持しようとアクセルを多めに開けてしまうと、そのイナーシャによって次にくる下り区間で思いのほかスピードが出てしまうことがある。適切にブレーキをかけたり、シフトダウンしてエンジンブレーキを強めたりすることができればいいが、漫然と運転していると速度が上がったことに気付かず、コーナーで曲がり切れない(反対車線に飛び出す)なんてことにもなりかねない。
このようにイメージ以上に速度が出てしまうため下り坂でのアクセル操作は、ディテールでの速度コントロールだけでなく、全体としての速度を抑えることも考慮しながら行いたい。フラットな区間だからといって踏み込むと、その先にある下りながらのコーナーでアンコントロールな状態になってしまうかもしれないからだ。次に下り坂が来ることがわかっていれば、その手前では速度を抑え気味しておくという意識が大切だ。
スピンしてしまう恐れもある
スピードが出過ぎたならばブレーキをかければいい、というわけにもいかないのが下り坂の難しいところだ。
冒頭で記したように長い下り坂ではエンジンブレーキを活用するのは、通常のメカブレーキだけを使っていると、ブレーキパッドなどが過熱して制動力を失うフェード現象などが起きてしまうのを防ぐためだ。
また、下り坂で強いブレーキングをかけると、リヤタイヤの荷重が抜けやすくなっているのも注意したいポイント。リヤタイヤのグリップが低くなった状態で、急ハンドルを切ったりすると、車体が安定性を失いスピンモードに入ってしまうこともある。その意味でも、マイルドに減速できるエンジンブレーキを使うことは下り坂を安全に走るために意識したいテクニックというわけだ。
このように下り坂ではアクセルの踏み過ぎ、ブレーキのかけ過ぎに気を付けたいが、上り坂ではアクセルの“踏まなさ過ぎ”にも注意したい。
こちらは、主に高速道路などの緩い上り坂で起きる現象だが、それまでと同じくらいのアクセル開度を維持していると速度が徐々に落ちてくることがある。本人はさほど気にならないが、こうした緩やかな減速というのは、後方を走るクルマの流れに意外なほど影響を与えてしまい、いわゆる自然渋滞の原因となってしまうのだ。
いずれにしても、アクセルをこのくらい踏んでいるという感覚だけでなく、スピードメーターを適宜チェックしてスムースな走りができているかを確認するようにしたい。そうすることで前後の車両にもストレスを感じさせないスマートなドライビングができるはずだ。