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2022年はミニバンの年?

執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

1月13日。トヨタがミドルクラス・ミニバンの「ノア」ならびに「ヴォクシー」を、フルモデルチェンジして販売開始した。

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ノアの前身は、タウンエース/ライトエースのワゴン版として1996年に発表されたタウンエースノア/ライトエースノアだ。


新型ノアS-Z(ホワイトパールクリスタルシャイン:7人乗り/ハイブリッド)    前田惠介

2001年に初代のノアが発表され、同時に兄弟車のヴォクシーも登場した。

今回のフルモデルチェンジで、ノア/ヴォクシーとしては4代目にあたる。

なお3代目には、もう1車種の兄弟車であるエスクァイアも登場したが、販売チャンネル廃止などの関係で2021年に生産が終了。今回のフルモデルチェンジではラインナップされていない。

さて、自動車の市場では世界的なSUVブームが続いているが、日本においてはミニバンも堅調だ。

2021年の新車販売台数(軽と海外ブランド車を除く)ランキングでは、4位にアルファード、9位にヴォクシー、10位にホンダ・フリード、11位に日産セレナ、18位にノア、19位にホンダ・ステップワゴンと、トップ20の中にミニバンが6車種もランクインしている。

おりしも、去る1月7日にはライバルであるステップワゴンが、今春発売を予定している新型のデザインを公開。もう1台のライバル、日産セレナも年内のフルモデルチェンジが噂されている。

ライバルたちに先がけて登場したノア/ヴォクシーは、従来まで存在していた5ナンバー車を廃止、一方で「からくり」による商品力向上という手法で勝負に出た。

5ナンバー車はなし サイズは?

ノア/ヴォクシーのボディサイズは、全長4695×全幅1730×全高1895(4WDおよびE-Fourは1925)mm。ホイールベースは2850mm。

サイズ的には、全長は現行型とほぼ同じで、全高が少し高められている。ホイールベースも同じ。


新型ヴォクシーS-Z(マッシブグレー:7人乗り/ガソリン)    前田惠介

なお、現行型では一部グレードが全幅や全長の関係で3ナンバーだったが、新型では後述するTNGAプラットフォームの採用により全幅が広がり、全グレードで3ナンバーとなる。

ノア/ヴォクシーは先々代からエアロモデルが3ナンバーだったが、販売比率では約8割を占めていたという。5ナンバーの標準型を求める残りのユーザーも、5ナンバーだから選んでいるというわけではないのが実情だった。

新型ノアのデザイン

スタイリングは、歴代のモデルで追求してきた、室内空間の最大化と力強いハコ(箱)らしさを継承。「堂々として躍動的な力強いハコ」のスタイルを追求した。

ノアは、シンプルながらも細部まで造り込み、上質で長く持続するスタイルに。フロントは一括りの明快なアイコンと、外板色であしらった面を強調したグリル、切れのあるランプの意匠で、堂々かつモダンなスタイルとした。

エアロモデルには、面を強調したメッキグリルによって華やかかつ強い押し出し感を演出したフロントまわりと、ワイド&ロースタンスのリアまわりとで、王道のエアロスタイルらしいアグレッシブさを表現している。

新型ヴォクシーのデザイン

ヴォクシーは、カローラ店/ネッツ店といった販売チャネルの統合により、“併売される兄弟車”という立ち位置になったことで思い切ったデザインに。先鋭かつ独創的なスタイルを追求した。

フロントまわりは、ラウンディッシュな薄型のアッパー部と分厚くスクエアなロア部を組み合わせることで、コントラストの強い立体構造と個性的なグラフィックを実現。さらに、妖しく光る特徴的な前後のランプによって、夜でもその存在感を強調する。

ボディカラーは、新色として上質な黒のグリッターブラックガラスフレークと、重厚感あるマッシブグレーを設定。ノアは全5色(エアロモデルは全6色)、ヴォクシーは全6色となっている。

2列目スライド、3列目跳ね上げの進化

新型ノア/ヴォクシーの骨格となるプラットフォームには、TNGAプラットフォーム(GA-C)を採用。

この最適化によって、左右のCピラー間距離を現行型より75mm広い1295mmに。1405mmの室内高と相まって、開放感のある車室を実現した。


新型ヴォクシーS-Z(内装色ブラック:7人乗り/ガソリン)    前田惠介

7人乗り仕様の2列目シートにはキャプテンシートを採用。

クラス初となるオットマン機構とシートヒーターに加え、折りたたみ式大型サイドテーブルなどを装備。

シートをいったん横にスライドさせることなく、スライド量745mmというストレート超ロングスライドを実現しており、快適性はもちろん3列目シートの乗降性など、利便性の良さも追求した。

8人乗り仕様の2列目シートには3人掛けのベンチシートを採用。6:4分割のチップアップ機構も備える。また、スライド量705mmのロングスライドを実現した。

3列目シートも座り心地が改善されているが、注目はワンタッチで跳ね上げて、ホールドできるようになったこと。ストラップでの固定は不要だ。

バックドア側から見える座面後部のレバーを軽く引き上げるだけで、面白いように跳ね上がり、車内の側壁にコンパクトにホールドされる。

また、荷室のフロア下には104L(スペアタイヤレス時)のスーパーラゲッジを備え、高さのあるモノの収納に便利なスペースを確保した。

あえての「からくり」式

また、パワースライドドア車の助手席側にはユニバーサルステップをオプション設定し、スライドドアの開閉に合わせて“機械的に”ドア下部からステップが展開・格納される。

電動制御に頼らず、からくりのように連動動作する仕掛けたとしたことで、3万3000円という低価格の単独オプション化にこぎつけた。


新型ヴォクシーS-Z(マッシブグレー:7人乗り/ガソリン)    前田惠介

なおステップ高は200mmで、子どもから高齢者まで、優しい乗降性を提供する。

また手動開閉式バックドアは、任意の角度で保持できるフリーストップバックドアを世界初採用。その仕組みは、こちらも電動に頼らない「からくり」式で、ビジネスホテルの物干しロープに着想を得たストッパー機構を採用する。

また、電動開閉のパワーバックドアは、車体横(リアクォーターパネル部)にオープン・クローズの両ボタンをこっそり設置し、任意の開閉操作を行える。

駐車場の大きさが十分ではない日本の都市部では、バックドアの開閉には気を使う。

セレナの開閉式リアガラス、現行型ステップワゴンのわくわくゲートとは異なるアプローチで、トヨタはバックドアの使い勝手を高めたわけだ。

内装 運転席からの眺めは?

インテリアは、ノア/ヴォクシーとも基本的にほぼ共通だ。

ブラックアウトしたスリムなフロントピラーや、水平基調で低くワイドに構えたインストゥルメントパネルやドアパネルが特徴。


新型ヴォクシーS-Z(内装色ブラック:7人乗り/ハイブリッド)    前田惠介

2本のフロントピラーの間隔を広げたことで、交差点進入などの左右の見通しがよくなった(従来型はちょうど見たい位置で、2本が交差していた)。また、ボンネット先端が見やすいように配慮されている。

アシストグリップやエアコン吹き出し口などは、機能的にレイアウトされてすっきりとした印象。後席からも見晴らしの良い空間を実現した。

インストゥルメントパネルは、金属調のフレームにソフト素材を巻き付けたテーマとし、部品構成・素材の切り替えを整理することで機能美を追求。

ソフト素材を効果的にあしらい、一クラス上の上質感を狙った独創的なスタイルとしている。

また、機能性はもちろん、使用時も「サマ」になるオープン収納と、隠したいクローズ収納をスマートに使い分けられる工夫を施した。

たとえば、シフトサイドボックスは上にスマートフォンをすっきりセットでき、下にUSBケーブルを収納できる。

助手席大型オープントレイでは、上のトレイ部分の深さを増して下にはティッシュボックスを収納。サイドレジスターの機能とシームレスに包括したデザインとしている。

内装色は、開放的で広い室内空間を演出したブラックを基調に、ノアの一部グレードではダークブラウンも設定。シート素材はファブリックが基本だが、上級グレードでは合成皮革とのコンビネーションになる。

ハイブリッド仕様に四駆「E-Four」

パワートレインは現行型同様、ハイブリッドとガソリンエンジンが搭載される。

ハイブリッド仕様は1.8Lの直4 DOHCエンジン(98ps/14.5kg-m)にモーターを組み合わせるシステムだが、すべての電動モジュールを刷新。


新型ノアS-Z(ホワイトパールクリスタルシャイン:7人乗り/ハイブリッド)    前田惠介

モーターやバッテリーの高出力化とシステムの高効率化により、ミニバンにおいても心地良い加速と優れた燃費性能を高次元で両立した。

ハイブリッドのノア X(2WD:FF)はWLTCモードで23.4km/Lと、クラストップレベルの数値を達成している。

また、最新のハイブリッド技術を継承した新型E-Fourも設定された。モーター出力の向上により4WDの作動領域や後輪へのトルク配分を拡大。

モーターのスペックは、フロントが95ps/18.9kg-m。リアが41ps/8.6kg-m。

コーナリング中の前後トルク配分を最適に制御し、操縦安定性を高めたほか、後輪のトルクを上げたことで、降雪・雨天時における登坂発進の安心感も向上している。

トランスミッションは、2WD、E-Fourとも電気式無段変速機だ。

ガソリン仕様は2.0Lのダイナミックフォースエンジン(170ps/20.6kg-m)にダイレクトCVTを組み合わせ、力強い走りと好燃費を両立。ガソリン車のノアX(2WD)はWLTCモードで15.1km/Lと、クラストップレベルの燃費を達成した。

トランスミッションのダイレクトCVTには、マニュアル感覚のシフトチェンジが楽しめる10速シーケンシャルシフトマチックを設定。駆動方式は4WDも選べる。

また、発進やタイヤスリップしやすい路面の時に、最適なトルクを後輪に配分するダイナミックトルクコントロール4WDも採用。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式、リアがトーションビーム式とし、しなやかな動きと接地感あるフラットな走りを追求している。

スマホで駐車 装備/ADASについて

最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を新型ノア/ヴォクシーから搭載した。

プリクラッシュセーフティは、車両、歩行者、自転車運転者に自動二輪運転者(昼)を加えて検知範囲を拡張し、衝突回避または被害軽減に寄与する。とくに事故が多い交差点での支援を拡大している。


新型ノアZ(スティールブロンドメタリック:7人乗り/ハイブリッド)    前田惠介

また、運転の状況に応じたリスクの先読みを行い、ステアリング、ブレーキ・減速などをサポートする「プロアクティブドライビングアシスト」をトヨタ車として初採用。トヨタセーフティセンスでは、レーンチェンジアシストやフロントクロストラフィックアラートもオプション設定される。

その他にも、駐・停車時にパワースライドドアを開け降車しようとした際に、後方からの接近車両・自転車が、開いたドアもしくは降車した乗員と衝突する可能性が高いとシステムが判断した場合、車内への注意喚起に加えスライドドアの途中停止またはオープンをキャンセルする「安心降車アシスト(ドアオープン制御付き)」もオプション設定。

さらに、障害物の有無にかかわらず、アクセルの踏み間違いを検知すると加速を制御する「プラスサポート」もディーラーオプションに設定した。

高度運転支援技術「トヨタチームメイト」では、自動車専用道路での渋滞時(0〜約40km/h)レーダークルーズコントロールおよびレーントレーシングアシストの作動中にドライバーが一定の条件を満たすと運転をアシストする「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」をトヨタ車で初搭載(オプション設定)。

並列駐車で、従来のバック駐車に加え、前向き駐車に対応し、前向き/バック出庫が可能になった「アドバンストパーク」をオプションで用意した。

ハイブリッド車ではドライバーがスマートキー携帯時に、車外から専用アプリをインストールしたスマートフォンを操作して駐車・出庫が可能なリモート機能もトヨタ車で初採用している。

価格・発売日

新型ノア/ヴォクシーの発売日は、2022年1月13日。

消費税込みの価格は、以下のとおりとなっている。同グレードで比較すると、ヴォクシーがノアより少し高い価格設定だ。


新型ノアS-Z(内装色ブラック:7人乗り/ハイブリッド)    前田惠介

なお、同グレードで7人乗りと8人乗りが設定されているものは、同じ価格とされている。

新型ノアの価格

ガソリン仕様:267万円(X 2WD)〜351万8000円(S-Z 4WD)
ハイブリッド仕様:305万円(X 2WD)〜389万円(S-Z E-Four)

新型ヴォクシーの価格

ガソリン仕様:309万円(S-G 2WD)〜358万8000円(S-Z 4WD)
ハイブリッド仕様:344万円(S-G 2WD)〜396万円(S-Z E-Four)

新型ノア/ヴォクシー スペック

新型トヨタ・ノアZ(ガソリン/FF) 主要諸元

価格:324万円
全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:1640kg
パワートレイン:1986cc直4
最高出力:170ps/6600rpm
最大トルク:20.6kg-m/4900rpm
トランスミッション:CVT
WLTCモード燃費:15.0km/L
燃料:ガソリン
タンク容量:52L
タイヤサイズ:205/60R16

新型ヴォクシーS-Z(ハイブリッド/FF) 主要諸元

価格:396万円
全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:1670kg
パワートレイン:1797cc直4+モーター
最高出力(エンジン):98ps/5200rpm
最大トルク(エンジン):14.5kg-m/3600rpm
最高出力(モーター):95ps
最大トルク(モーター):18.9kg-m
トランスミッション:電気式無段変速機
WLTCモード燃費:23.0km/L
燃料:ガソリン
タンク容量:52L
タイヤサイズ:205/55R17


トヨタ車体株式会社ZH1の水澗英紀チーフエンジニア(感染対策を踏まえた上で撮影を行っています)    前田惠介