Intelが200億ドル(約2兆2000億円)以上を投じ、ヨーロッパに半導体工場を建設する計画を立てていると報じられています。Intelは資金面での支援に加えて、最大8棟のチップ製造工場を収容できる1000エーカー(約4平方km)の敷地確保をフランスやイタリアなどのEU諸国の政府にも積極的に働きかけています。

Intel offers to spread $20bn chip factory investment across EU | Financial Times

https://www.ft.com/content/40eda20e-17d8-4368-bdeb-a2d1b151bc34

Intel to Invest USD 20 Billion Into building Chip Factory Across the EU | Synced

https://syncedreview.com/2021/07/11/intel-to-invest-usd-20-billion-into-building-chip-factory-across-the-eu/

Intelのパット・ゲルシンガーCEOは、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とイタリアのマリオ・ドラギ首相と会談し、ヨーロッパをはじめとする産業界に打撃を与えている世界的なチップ不足事情について話し合いました。

EUは、最先端のチップを含めた半導体の生産量を2030年までに世界市場の20%に倍増させるという新たな目標を立てており、ゲルシンガーCEOの会談は目標達成のためにEUが巨額の投資を行う可能性を示唆していると、Finantial Timesは指摘しました。



by Web Summit

Intelの事業計画では、まず2つの製造工場を設立し、10年間の操業で約200億ドルの費用がかかると想定しているとのこと。また、Intelの幹部は、工場を継続して稼働させるには総額1000億ドル(約11兆円)以上がかかる可能性があるとFinantial Timesに語っています。

さらに、Intelは資金面での支援だけではなく、最大8棟の製造工場を建設可能な、人材とインフラが確保された約1000エーカーの土地を探しており、ドイツ・オランダ・フランス・ベルギーなどに打診しているとのこと。フランスの政府関係者は「Intelは最先端の10nm製造プロセス技術、あるいはそれ以上の技術をヨーロッパに持ち込むことを検討している」と述べています。

ただし、Intelは製造工場の建設と巨額の融資を1国だけに求めるのではなく、EU諸国で分散することを考えているとFinantial Timesは述べています。

Intelのヨーロッパでの事業拡大を検討するチームの一員で、Intelのグローバル規制部門ヴァイス・プレジデントを務めるグレッグ・スレーター氏は、「私たちはある場所でチップの製造を行い、別の場所でパッケージングを行うことができます」「私たちは事業を1つの国で行うのではなく、エコシステム全体のプロジェクトにするべきだと考えています。これはヨーロッパ全体に利益をもたらすプロジェクトだと確信しています」とコメントしました。



by Fensterblick.

Intelの申し出はもちろんヨーロッパにとっても大きな意味を持ちます。欧州委員会の単一市場担当委員・産業戦略担当委員を務めるティエリー・ブルトン氏は「ヨーロッパは最終的に最先端の2nmチップの生産を目指すべき」だと述べており、Intelの製造工場をヨーロッパに建設するというプランに前向きな姿勢を示しています。

しかし、最先端の半導体製造はコストが高く、課題も多いため、リスクも大きいという指摘もあります。スウェーデンの実業家であるジェイコブ・ウォーレンバーグ氏はFinantial Timesの取材に対して「問題はヨーロッパが世界に追いつくことができるかどうかです。コストがかかりすぎる方法を選択しても、何も問題を解決できなければ残念な結果になります」と語りました。