画像は静岡県公式サイトの県知事プロフィールから

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日本学術会議の任命拒否問題をめぐり、静岡県の川勝平太知事が菅義偉首相について「教養のレベルが露見した」などと発言した。

川勝知事の発言に対し、ツイッター上では「よく言った、川勝知事。その通り」といった賛同が出る一方、「すごい上から目線」と反発の声もあがっている。知事は就任以前、早稲田大学政治経済学部の教授や静岡文化芸術大学の学長を勤めていた。

「言い換えますと、学問をされたという人じゃないですね」

発言が出た2020年10月7日の定例記者会見では、リニア工事をめぐる国土交通省による有識者会議が話に上がった。その流れで、記者から「学問や科学・技術に独立性がないと、リニアに関する国交省の有識者会議も成立しないような話になると思うが、そういう中で、政府・与党が日本学術会議から6人を恣意的に外したのではないかと言われている件について、学問の世界にも長くいらっしゃった知事がどのようなお考えをされていらっしゃるか」という質問が出た。川勝知事は、

菅義偉という人物の教養のレベルが図らずも露見したということでないかと思います。菅義偉さんは秋田に生まれて小学校中学校高校出られて、そして東京に行ってですね、働いてて勉強せんといかんということで大学に通われて学位を取られたということですね」
「その後政治の道に入っていかれて、しかも時間を無駄にしない、なるべく有権者の人たちとお目にかかってられると。言い換えますと、学問をされたという人じゃないですね。単位を取るために大学出られたんじゃないかと思います」

と論評した。

「1番のポイントは学問それ自体」

さらに、「任命権に基づく総合的な判断」といった菅氏の説明については、「何も語ってないに等しいですね。言い訳にならない」と批判。また、学術会議に年間約10億円の予算が充てられているという菅首相の指摘をうけ、1万円札に印刷された福沢諭吉に話をつなげて、

「天は人の上に人を造らず、というふうに書いて、市民平等だと。それから、一国の独立の基礎は一身の独立にあり。一身の独立の基礎は学問にあり。これが最初のメッセージです。つまりですね、イギリスのポンドはエリザベス女王陛下が刷られています。日本はですね、学問立国の福沢の顔を刷ってるんですよ。ですからよーくお札の顔を見てください。日本の国は学問立国の国なんだと。その学問をする人はですね、もちろん物理学、あるいは経済学、なさります。しかし日常生活ですから、政権に対して右とか左とかって意見もされるでしょう。だけどその人の学問がそれによって貶められることはないと」

と持論を展開。法律に違反していない限り、「学問がなっていない」という理由以外で任命を拒否することは不当だとした。さらに、

「学問立国の国であることをずっとやってきたところに、学問をしてる人に対して『任命権者だからいいだろ』と。それはまさに日本の学問立国に泥を塗るようなことではないかと、非常に心配しております。汚点ですね。汚点はなるべく早く拭ったほうがいい」

とコメントした。

最後に記者から「任命をしなかったことの是非以上に、政府がその理由を説明していないことが問題ではないか」と聞かれると、川勝知事は「その通りです」と肯定し、

「1番のポイントは学問それ自体だと思います。『この人の学問は低い』と言ったと。そうでないなら、その他の理由をちゃんと明示しなさいと、いうふうにですね。それが丁寧に説明することではないかと。できないなら、反省しなさい。改めればよろしいわけですから」

と締めくくった。