リフティングマグネットでつり上げたスクラップの撮像画像をAIが解析し、等級を判定する

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 【神戸】神鋼エンジニアリング&メンテナンス(神鋼EN&M、神戸市灘区、佐藤孝彦社長、078・803・2901)は、人工知能(AI)を用いて鉄スクラップの等級を判定するシステムを開発した。電炉メーカー向けに、検収員が目視で行っていた判定作業の負担軽減に役立てる。今後さらにデータを蓄積してAIの判定精度を高め、2020年9月までの商品化を目指す。

 判定システムは、形鋼などの端材であるヘビースクラップを対象とする。リフティングマグネットでつり上げたスクラップの撮像画像をAIが解析し、厚みによって分類される等級を判定。等級ごとの重量を集計する。現状の目視判定は、検収員の能力によって判定精度にバラつきが生じていた。

 システムを導入すると検収作業の負荷を軽減でき、AIの判定データを活用して検収員育成も支援できるほか、検収判断基準の統一にもつながる。

 現在、単一等級のスクラップの判定精度は100%に近いが、等級が混合すると約50%になるという。商品化までにデータを蓄積し、AIの機械学習機能を生かして判定精度を上げる。鉄スクラップ業者向けにも順次販売する。

 神鋼エンジニアリング&メンテナンスは、電炉メーカー向けに圧延機や周辺機器の保守などを手がける。業務の効率化につながる機器やソフトウエアの開発・製造を強みに、現場の負担軽減や技術承継ニーズに応える。