日本の女子が親日の台湾ではなく「ソウル」に行く理由とは(※写真はイメージ)

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親日の台湾よりも反日の韓国!?

 日韓関係が最悪の状況に陥っている。

 だが、両国の関係が悪くなったのは何も最近ではない。李明博元大統領の竹島上陸に、朴槿惠前大統領の告げ口外交。その頃からすでに良好な関係とはいえなくなっていた。

 そのためか、数年前から周囲では「今年は台湾に行きたい」という声がよく聞かれるようになった。

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 日本から「安近短」で行ける海外旅行先といえば、やはり韓国と台湾になるだろう。

 言うまでもなく台湾は親日的だ。反日デモを行っている韓国と違って不安がない。人は優しく物価も安い。冬でも比較的暖かく、真冬に氷点下となる韓国・ソウルとは大違いだ。

 台湾は食べ物も日本人の口に合う。インスタ映えするスイーツやドリンクも豊富で、ここまで条件が整っているのだから何も過激な韓国に行かず、これからは台湾に行けばいい。そう考える人は少なくないはず。

日本の女子が親日の台湾ではなく「ソウル」に行く理由とは(※写真はイメージ)

 それでも今のところ韓国の人気が衰えることはないと想像する。こんな状況においてもなお、台湾より韓国のほうが魅力的だからだ。

 韓国旅行ブームは「韓流」というエンターテインメントから始まった。韓流は「ドラマ」や「映画」を通じて韓国の文化を広め、やがて「グルメ」や「コスメ」、「美容」も日本人女性の関心を引くように。「K-POP」人気に火がつくと、「ファッション」や「メイク」まで注目されるようになった。

 これは韓国のエンターテインメントを海外に輸出してきた国家戦略の勝利といえる。これほど効果的な宣伝はなかっただろう。

“韓流ブーム”はもはやブームではない。ドラマ『冬のソナタ』の日本放送から15年以上の歳月が流れているのだ。韓国エンターテインメントはすでに一つのジャンルとして日本に定着したと言っていい。

 これに「K-POP」人気が加わり、今ではほぼ毎年、韓国のアイドルグループが東京ドームで公演を行っている。女性アイドルグループが身につける洋服は、そのまま「韓国ファッション」として日本の若い女性にも浸透した。

 実際、韓国製の洋服やバッグ等を扱うソウルの卸売市場には、日本のバイヤーだけでなく、日本人観光客も多く訪れている。市場で安く売られているものが、日本のネットショップでは3〜5倍、デパートにいたってはそれ以上の額になるのだ。

 韓国の市場に行けば、洋服やバッグ、アクセサリー以外にも、靴、帽子、革製品といったファッションアイテムが驚くほど安く買えるのだから行かない手はない。

 毎月、洋服の買い付けのためにソウルを訪れているというネットショップのバイヤーは「この夏も売上は絶好調。とにかくよく売れる」という。日韓関係の悪さもどこ吹く風で、韓国ファッションは相変わらずの人気を誇っているようだ。

 ファッションだけではない。韓国ではドラマで女優が使用した化粧品にも外国人観光客が殺到し、品切れになることがある。

 スキンケア商品には、日本の薬事法では問題になりそうな文言が並び、いかに美容効果があるのかを大々的にアピールしている。ドラマを見れば、登場する女優が透き通った肌をしているのだから、思いのほか説得力がある。

「韓国コスメ」が身近になると、女性アイドルをより可愛く見せている“童顔メイク”を真似する女子も増えた。

 では台湾はどうか?

 残念ながら韓国のような強いコンテンツを持っておらず、台湾グルメやスイーツは人気でも、その他の魅力に欠けている。なぜ台湾は魅力に乏しいのだろうか?

絶好のチャンスを逃した上にPR不足の台湾

 かつて日本に韓流ブームが上陸した頃、台湾のエンターテインメントは“華流”と呼ばれた。だがブームを超え、日本に定着した感のある韓流と違い、日常で華流コンテンツを目にする人は少ないだろう。

『冬のソナタ』をきっかけに次々とドラマや映画に投資してきた韓国と違い、台湾はドラマ『流星花園〜花より男子〜』の人気を日本で大きく展開させることができなかった。今思えば、千載一遇のチャンスを逃したといえる。

 台湾の芸能関係者によれば、

「エンターテインメントに投資する韓国と違い、台湾ではエンターテインメントによって外貨を獲得するという発想がない。だから芸能界が潤わず、人気が出たスターはすぐに中国大陸に行ってしまう。あちらで活動すれば、ギャラは台湾の10倍になるのだから」

 そう嘆く。これでは台湾のエンタメ業界が成熟するはずがない。

 台湾の映画業界も韓国に大きく水をあけられている。韓国映画といえば、今では国際映画祭でも注目され、その地位を確固たるものにしている。

 ところが台湾の映画業界といえば、

「制作中の映画でも、突然、投資家が手を引き、制作中止になることが珍しくない」

 という。

「結局、なんだかんだ言っても、中国資本に頼らざるを得ない。次々と質の高い作品を制作できる韓国映画界がうらまやしい」と映画制作会社の社員は語る。

 台北の街中で流れる音楽も、パッとしない台湾芸能界を象徴している。かつて繁華街で聞こえてきたのは、浜崎あゆみやジャニーズタレントの曲だった。

 それがいつからかK-POPに切り替わった。C-POPではなく、今も韓国のグループBTS(防弾少年団)やTWICEの曲が流れているのだ。エンターテインメントを海外に輸出するどころか、むしろ韓国に乗っ取られている気さえする。
 
 一方、台湾にも質のいいコスメはあるが、韓国コスメのようなキャッチーな言葉を使った売り方はしていない。

 そもそも日本人にとって見慣れない女優がモデルをしているのだから、観光客が手を出しづらいのは当然のこと。この点も韓流をきっかけに商品の魅力を上手に発信する韓国と違い、“メイドイン台湾”を物足りなく感じさせている。

 良くも悪くも韓国旅行には“中毒性”がある。何か一つに飽きても、別のジャンルを楽しめるのが強みだ。

 たとえ追いかけていたK-POPアイドルが兵役に行っても、現地で美味しい韓国料理を食べ、美容皮膚科で顔のシミ取りをし、買い物をして帰ってくればいい。このようにして韓国旅行のリピーターは増えていった。

 しかも今は、数年ぶりのウォン安円高が到来している。

「安近短」で行ける台湾が何か強いコンテンツを持たない限り、今後も“隠れ韓国好き”の渡航が激減するどころか、増える可能性すらあるのだ。

ライター・児玉愛子

週刊新潮WEB取材班編集

2019年9月7日 掲載