SINETが3キャリア閉域接続の『研究SIM』、日本のIoT研究を「アカデミック価格」でサポート
NII(国立情報学研究所)は、同所がサービスする学術機関向けネットワーク「SINET(サイネット)」にて、研究用モバイル通信サービスの提供を12月21日より開始します。

SINETは、全国900の大学や研究機関が加入するサービス。100Gbpsの高速通信回線で全国の大学をつなぎ、研究用クラウドサービスや各大学の大型実験施設などを遠隔地から使えるネットワークとなっています。

今回提供されるモバイル通信サービスは、「広域データ処理基盤」の実証実験として展開。公募で選ばれた大学などの研究者が利用できるサービスとなります。実験期間は2019年3月末までとなり、その後はSINETの事業の1つとして提供される見込みです。

12月20日時点では、28の研究が対象に選ばれています。採択された研究には、放牧や酒造、医療などの現場で収集したデータを活用する、いわゆる「IoT」の研究が多く含まれています。

SINETに閉域接続


今回の通信サービスのポイントは、SINETと「閉域網接続」を可能としていること。実証実験にあたって、NIIはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアと連携。各社のネットワーク設備内にSINETとの接続点を設置しました。これにより、通信端末からインターネットを経由せずにSINET上のシステムと接続し、大学やクラウドサービスへ実験データを送れます。

また、NIIが3キャリアの通信帯域をまとめて購入し、研究機関に分配する形としたことで、通信料金も一般より相当に安い「アカデミック価格」での提供が可能としています。一方、モバイル回線の通信速度は3キャリアが提供するサービスと同等となっています。

NIIの喜連川優所長は「通信料金を抑えたことで、データを潤沢に使うIoTの研究もできるようになる」とその意義を説明。また、従来は専用回線の引き込みが必要だったSINETとの接続も用意になることで、外部企業と協力して取り組む産学連携の研究もスムーズに行えるとしています。

将来的には、次世代モバイル通信の「5G」や、「LPWA」と呼ばれる低速ながら消費電力が少ないモバイル通信仕様への対応も検討していく考えです。

クラウドサービスを無償提供


また、今回の実証実験の対象者には、データ処理のためのクラウドサービスが「アカデミック条件」で利用できます。

利用できるサービスは、AmazonのAWSや、マイクロソフトのAzure、さくらインターネットのさくらのクラウド、NTTコミュニケーションズのThings Cloudなど、計8社のサービス。これらが期間などは限定されるものの、無償または廉価で提供されます。

廉価でサービスを提供する各社の狙いは、IoTでの活用事例を作ること。

NTTコミュニケーションズ IoT推進室長の宮川晋氏は「IoTは黎明期にある。IoTで使えるプラットフォーム(基盤)を作る上で、具体的な活用事例を求めている」と説明。NTT東日本 基盤ビジネス推進担当部長の黒澤大志氏は「AIの基盤を構築する上で、どのような機能が必要なのかという需要を知りたい」と、研究機関へのサービス提供を通して、将来のサービスのヒントを探っていく考えを述べました。

▲発表会にはデータ処理サービスを提供する8社(NTTコミュニケーションズ、KDDI、ソフトバンク、NTT東日本、Amazon Web Services、佐賀IDC、さくらインターネット、日本マイクロソフト)から担当者が出席しました

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