オリジナル家電ブランド「HashTAG」の商品が並ぶビックカメラ店内

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 近年、施設内での撮影を許可する商業施設や美術館が増えています。以前は、情報漏えい対策や著作権保護などの理由から、撮影禁止というところが多かっただけに、ネット上では「撮影いいの!?」「知らなかった」「撮影ダメなところが多いので珍しい」などの声が上がっています。撮影を許可する理由について、各施設の担当者に聞きました。

SNS投稿と売り上げ増狙う

 家電量販店のビックカメラ(東京都豊島区)は、2017年秋から全店で店内撮影を許可しています。広報・IR部の担当者は「SNSの利用が拡大する中、お客さまが欲しい商品や良いと思った商品を、家族や知り合いと共有していただくためです。『欲しかった商品を購入できたり、良い商品に巡り合えたりした喜びを共有できる』と好評です」と話します。

 2015年12月から設置している、調理器具ブランド「バーミキュラ」のコーナーは、店内撮影ができるようになってから売り上げに変化が見られたそうです。担当者は「お客さまによるSNSへの投稿が増え、大きな反響がありました。『SNS映えする』として人気が出た炊飯器や、『ビックカメラで買えるの?』と驚かれた鋳物ホーロー鍋があります。コーナーの認知度も向上しました」としています。

 ビックカメラは、SNS映えを意識したオリジナル家電「HashTAG(ハッシュタグ)」の調理器具も販売しており、担当者は「若い女性を中心に好評で、売り場で『商品を見つけた』とSNSに投稿してくださるお客さまもおられます」。

 家電量販店のヨドバシカメラ(東京都新宿区)も、「スマホを活用した快適なショッピングの提供」を目的に、2015年9月から全店で店内の撮影やSNSへの投稿を許可。大創産業(広島県東広島市)が運営する100円ショップ「ザ・ダイソー」でも、店内撮影やSNSへの投稿を許可しています。

フォトスポットにXmas関連商品を陳列

 国内112店で雑貨や日用品などを販売するロフト(東京都渋谷区)は、一部店舗で撮影専用のフォトスポットを設けています。季節に応じたお薦め商品を集め、遊び心のある売り場にすることで、撮影やSNSへの投稿を促しています。例えば、銀座ロフトでは現在、フォトスポットにクリスマスにちなんだ商品を陳列。そばには、中に入って撮影ができる、透明な半球状の「ドームテント」も設置しています。

 銀座ロフトの担当者に話を聞きました。

Q.なぜフォトスポットを設置したのですか。

担当者「当店では2017年6月の開店以来、SNSを通じた情報発信やお客さまとのコミュニケーションを大切にした店作りに取り組んできました。お客さまに少しでも銀座ロフトのことを知ってほしいという思いから、お客さま自身に写真を撮ってもらい、共有していただければうれしいと考えています。

そこで、お客さまが思わず写真や動画を撮りたくなるような売り場として、フォトスポットを設置しました。フォトスポットを『今、一番お客さまに見てほしいおすすめの売り場』と捉え、日頃から商品のセレクトや陳列などに力を入れています」

Q.フォトスポット設置の効果はいかがですか。

担当者「SNSのフォロワーが増えるに連れ、売り場や商品への注目度が上がっていると感じます。SNSで共有された商品についての質問や購入も増えています」

Q.お客さんの反応は。

担当者「家族連れや友達同士で写真を撮り合う姿がよく見られます。動きのある商品を動画で撮るお客さまも多く、『面白い』『魅力的』だと感じたことを拡散したいというニーズにマッチしているようです」

博物館や美術館も撮影可能に

 博物館や美術館の中にも、来館者の撮影を許可する施設が増えています。

 東京国立博物館(東京都台東区)は、「総合文化展」という、同館の所蔵作品を中心に展示するスペースで撮影を許可しています。総合文化展は、本館、東洋館、法隆寺宝物館、平成館の1階にあります。なお、個人利用に限って写真撮影可能で、撮影した画像を営利目的で複製・配布することは禁止です。フラッシュや三脚も使用できません。

 学芸企画部広報室の担当者に聞きました。

Q.いつ頃から施設内の撮影を許可しているのですか。

担当者「もともと当館では、館の所蔵品の撮影は禁止していませんでした。2004年に本館ならびにウェブサイトをリニューアルした際、ルールを再検討・確認し、総合文化展の展示室内で、個人利用に限り写真撮影ができる旨を明示しました」

Q.なぜ撮影を許可しているのですか。

担当者「撮影可能なことを明確にしたのは、顧客サービスおよび広い意味での広報の一環と考えたためです。寄託品が多い美術館や博物館は撮影禁止のところが多いようですが、当館では寄託品の所蔵者に撮影可否の確認を取っています」

Q.なぜ、フラッシュや三脚など撮影道具の使用を禁止しているのですか。

担当者「作品に集中して鑑賞したい、というお客さまもいらっしゃいます。少しでも鑑賞環境を快適に保つため、フラッシュや三脚などの撮影道具については使用を禁止しています。撮影道具を禁止しているのは、他のお客さまへの接触事故を防いだり、文化財、展示ケースを保全したりするためでもあります」

Q.撮影可能ということに対する反応は。

担当者「スマートフォンで気軽に撮影できるため、老若男女問わずいろいろな作品を撮影されています。海外からの来館者も、仏像や刀剣などを撮影しておられます。また、作品だけではなく、建築物や庭園をバックに、記念撮影している人も多いです」

 国立西洋美術館(台東区)でも、同館の所蔵作品に限り、撮影を許可しています。担当者は「1998年ごろから来館者サービスの一環として始めました。寄託作品など一部を除き、常設展示室内での撮影が可能です。お客さまからは『撮影できると思わなかったので、撮影できてうれしい』などの声を頂くことが多いです」と話しています。

 SNSの普及もあり、好きな商品や美術作品を他の人と気軽に共有できるようになったのは、うれしいことです。ただし、商品選びや鑑賞に集中したい人もいるので、最低限のマナーを守りながら撮影を楽しみたいものです。