「ブッフォンの後継者」ドンナルンマはアッズーリ復権の象徴。超えるべき課題は?
ジャンルイジ・ドンナルンマはそのブッフォンよりも1年早い16歳でトップチーム・デビューを果たした、誰もが認める早熟の大器。現在まだ19歳という若さにもかかわらず、すでにミランの守護神としてセリエA3シーズンを戦った経験を持ち、イタリア代表でも長年の懸案だったブッフォンの後釜に、これ以上ないほど自然な形で収まった。
2016年9月1日、フランスとの親善試合で後半からブッフォンと交代でピッチに送り出すというジャン・ピエロ・ヴェントゥーラ監督(当時)の演出は、あたかも後継者の座を約束する「襲名披露」のようですらあった。
あれから2年――。40歳を迎えたブッフォンが代表を退いたのに伴い、ロベルト・マンチーニ新監督の下で正真正銘の正守護神として、新たに創設されたUEFAネーションズ・リーグに挑んでいる。
UEFAカントリーランキングの上位12か国が3チームずつ4グループに分かれてホーム&アウェーを戦うこの新コンペティションは、グループ1位になれば4チームによる決勝トーナメントへ進出し、3位に終われば2部リーグに当たるリーグBに降格というシビアなフォーマット。ポルトガル、ポーランドという強敵と同居したイタリアにとっては、2年後のEURO2020、そして4年後のワールドカップに出場し、主役の座に返り咲くための第一ステップとして非常に重要な位置を占める。
今夏の段階でA代表キャップがまだ6試合、クラブでのインターナショナルマッチも昨シーズンのヨーロッパリーグ11試合のみと、国際舞台での経験がまだ浅いドンナルンマにとっても、国の威信を懸けた厳しい真剣勝負の場に立つ初めての機会。9月8日のポーランド戦(△1-1)、同11日のポルトガル戦(●0-1)ではいずれも1失点したものの、安定したセービングを見せ、現地メディアからはいずれチーム最高評価を受けた。
196センチ・90キロという理想的な体格に、強力なパワーと優れた反応性、良好なコーディネーション、そしてGKとしての高い基本技術を備え、ゴールエリア内で「シュートを止める」能力は、デビュー当時からセリエAはもちろんヨーロッパでもトップレベル。若さゆえに不用意なミスを犯す場面もまだ時折見られるが、それを引きずらずに頭を切り替えて常に平常心を保つパーソナリティーの強さ、メンタルタフネスも大きな長所だ。
現代GKにとって不可欠な能力となった両足のボールスキルも必要十分なレベルにあり、ビルドアップの起点として機能するプレービジョンにも優れる。「近い将来に世界のトップ5に入る守護神に成長しうるだけの器」という評価は、すでに確立されていると言っていい。
とはいえ、プロデビューしてからの3シーズンは決して順風満帆とは言えなかった。約30年に渡ってオーナーの座に君臨してきたシルビオ・ベルルスコーニから謎の中国人投資家ヨンホン・リーへの経営権売却と、それに伴うクラブの強化ビジョンのブレ、そして代理人ミーノ・ライオラの思惑に振り回される形で、ミランにおける立場が常にマスコミやサポーターの議論の的であり続けてきたからだ。
愛するミランの正GKという幼少時代からの夢を実現したにもかかわらず、クラブが提示した契約延長オファーを拒否し、最終的に将来の移籍に有利な条件で新契約を交わした
17年夏の騒動は、昨シーズンのパフォーマンスにも影を落としたように見える。
