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筆者が人生11回目の引越しではじめて経験した今より狭い部屋への引越し。6LDKの家には、これまで引越しの度に処分できずに持ってきた書籍や家具、趣味の道具、一昨年相次いで他界した父母の遺品が山積み。新居は面積が半分で、間取りも3DK+Sに減少。とても荷物が収まりきらない。ではどうする? と自問しても答えはひとつ。処分するしかないのだ。しかし、これが実に大変だった。今回は、筆者が多くの引越し経験から得たゴミ処分のノウハウを紹介する。

気がつけば両手に余る引越し回数

名古屋市内で2カ所、東京都三鷹市、杉並区、中野区内で3カ所、小金井市内で2カ所、国分寺市、そして再び三鷹市へ。これは生まれてからこの4月までに私が住んだ借家の所在地だ。都合11カ所。引越し回数10回。

四軒長屋の公務員住宅(平屋)で12年、結露だらけのRC5階建て公務員住宅最上階に6年。大学入学3カ月後にようやく見つけた四畳半は一間幅の押入れがあるのみで、トイレ洗面所とガスコンロ一口は共同使用。そこから中央線を中野に向かって「進撃」開始。結婚して中野のマンション2DKに収まった途端、隣に大型マンションの建設計画がおき、仕方なく武蔵小金井の3LDKに「転進」。

気がつけば隣の国分寺と合わせて「ジブリ」の地元で子育て20年におよんだ。東日本大震災の年(2011年)にはガンになった両親を井の頭線沿線の6LDKに呼び寄せ、その後、両親を相次いで看取る。そして昨年、下の娘が大学に入りヤレヤレと思っていると、今度はカナダ在住の大家さんが日本にどうしても戻りたいから退去してくれと言ってきた。

また引越しである。高名な噺家の古今亭志ん生が著書の中で十数回夜逃げ同然に引越したことを自慢げに書いている。それを読んで「引越し貧乏ってのは、ほんとうにあるんだな」と思ったが、指折り数えたら私の引越し回数もついに両手では足らなくなってしまった。

そんなわけでこの4月から5月にかけて11回目の引越しを行った。「それだけ引越ししていれば、慣れたものだろう」と誰でも思うはず。私も当初は高を括っていた。しかしこの引越しには、いままでの引越しとは大きく異なる要素があった。それは今回の引越しが私の経験するはじめての「大きな家から小さな家」への引越しであった点だ。

不用品処分は専門の会社に全部お願いすると40万から60万円

筆者が借家人生を送ってきた最大の理由は、そのときの家族構成に合わせた広さの家を選べるから。家族が2人減ればそれにふさわしい家に引越すのが当然なのだ。とはいえ延べ床面積115平米の6LDKに地下車庫倉庫と屋根裏収納が付いた家から、56平米3DK+S。部屋だけでなく、地下の車庫・倉庫、屋根裏収納には、前の家から持ってきて、とりあえず詰め込んだ荷物が溢れかえっている。いままでも引越しの際に不要品を選別してきたつもりだが、家が広くなるのでつい「とりあえず持っていくか」で済ませていたのである。家中に溢れかえるモノを眺めて自分の甘さを痛感した。
唯一の救いは今回の引越しが大家さんの都合によるものだったため、引越しの準備期間が、新居が決まってから1カ月半と比較的十分に取れたことだ。 

今回処分したもの(しようとしたもの)をざっとあげてみると……

・両親の遺品:衣類・父親の趣味の道具(書道具・カメラ類)
・家電類:古いパソコン・冷凍庫・ブラウン管テレビ・洗濯機・レコードプレーヤー・空気清浄機・炊飯器・電子レンジ・ガスストーブ・石油ファンヒーター・小型コピー機
・家具類:書棚・テーブル、机類・椅子、ソファ・ベッド・布団・タンス・学習机・棚・食器棚・ドレッサー・こたつ
・趣味の道具:キャンプ道具・釣り道具・レコード
・その他:書籍・書類・子どもたちの思い出の品

不要品の処分で、まず考えたのは専門の会社に処分を全部お任せしてしまうこと。幸い、昨年実家を貸すために家財道具を丸ごと専門会社に頼んで処分した経験があり、6LDK程度の家の家財道具を一式処分するなら40万から60万円ぐらいが相場であることは分かっていた。これは大変な金額だ。近距離なら引越し荷物の運送料より高いくらいだ。しかも部屋の中に不要品と必要なものが混在していると運び出せないので、部屋の中は不要品のみにしておかなければならないようだ。つまり引越し会社が必要な家財を運んだあと不要品の処分会社が入る手順になる。この手順を可能にするには、どれを残してどれを運ぶか詳細に指示しなければならない。これは大変な手間がいる。
今回のように全部が不要品でないケースでは、専門会社にすべてを任せるのは無理だと判断した。不要品の選別は自分にしかできないのだ。

一点数千円の引き取り料に驚く。家具のリサイクルは有料なことも

不要品の中でも大物は家具類。最近は郊外に行くと大きなリサイクルショップがあり、けっこうな人気だ。そこでリサイクル会社に不要な家具を買い取ってもらえれば、一石二鳥と誰もが思う。私もそう思い、不要品の処分はまずリサイクルショップを家に呼んで、見積もりをお願いすることからはじめた。

やってきた担当者はこちらの指示した家具を見ては見積書に数字を書き込んでいく。ちょっとのぞき込むと千円単位の数字が並んでいる。「やった」と内心ほくそ笑みながら説明を受けると、買い取りできるのは、以前そのリサイクルショップで買ったソファの1000円のみ。そのほかガスストーブと椅子1点はタダならもっていきますという。

ずらりと並んだ千円単位の金額は、なんのことはない、引き取り料金だったのだ。担当者いわく外国製や日本のカリモクなど有名メーカーなら別だが、ほとんどの家具に値は付かないという。また日本人は他人が寝たベッドに寝るのを極端に嫌うのでベッドはとくに値が付きにくいそうだ。

結局このリサイクルショップに頼むと大物の家具類の処分だけで8万円ほどかかるという見積もりになった。ただリサイクルショップに引き取りを頼めば、自分ひとりでは降ろせない大きな家具を2階から降ろしてくれるのは助かる。

引越し会社はゴミの処分はしてくれなかった

リサイクルショップの担当者は、「なんといっても自治体の粗大ゴミに出すのが一番安くつきますよ」と言って帰っていった。

つぎに当たったのは引越し会社、前に「不要な家具は引越しの際に、引越し会社が引き取ってくれる」と聞いたことがあったし、ネットで検索してみても「引越し会社に頼めば、無料で引き取ってくれる」といった記事が溢れているので、引越し料金の見積もりをお願いしながらたずねてみた。

テレビのCMでよく見かける3社に来てもらったが、結果はすべてNO。現在はリサイクル法などが施行されたこともあって、引越し会社が不要品の買い取りや処分を同時に行うことはできないという返事だった。専門の会社を紹介するというところはあったが、あくまでも紹介であって、引越し料金と不要品の処分費を同時に見積もることはできないし、作業も当然別の会社が来るということだ。ここでも引越し会社に言われたのは、時間さえあれば自治体の粗大ゴミに出すのが、一番安くて安心だということ。

小さな家具や家電は「不燃ゴミ」として出せる

では、小さな家具や家電、書籍や書類などはどうするか。これは自治体によっても違うが三鷹市の場合、家電は一辺が30cm未満、家具類は一辺40cm未満のものなら有料の指定収集袋に入れて燃やせないゴミの回収日に出せば収集してくれる。ただし40Lの大きさの指定収集袋三枚分までと決まっている。また紙類は一週間に一度の収集だ。曜日や回数などは自治体によって異なるが、こうした回収日に合わせて不要品の処分を行うといい。収集日の前の晩までに不要品をまとめておき、朝になってすぐに収集場所に出す。これを今回は引越しの一カ月半ほど前からはじめた。一気に不要品とそうでないものを仕分けしようとしても、量の多さに圧倒されてしまう。引越しのさまざまな手続きとは別に、淡々と行っていくことだ。

リサイクルショップや引越し会社の話から、不要な家具の処分は民間の会社に頼むと思ったより費用がかかることが分かった。リサイクルショップでは換金どころか引き取り料がかかるし、大手の引越し会社は不要品の買い取りはもちろん処分もしてくれない。どの会社も「時間と手間を惜しまないなら、各自治体の粗大ゴミに出すのが一番安い」と口をそろえる。

後編では遺品や仏壇などの整理、実家の処分に触れるほか、法律で決められたパソコンや電気機器類の捨て方について解説。また粗大ゴミの回収の仕組みや利用上のポイント、そして処分に結局いくらかかったのかを紹介する。

●シリーズ後編
広さ半分の家への引越しレポ[後] とくに大変だったゴミ処分はこれだ