事業家 ライブドア元代表取締役社長 堀江貴文氏

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お財布にお札の向きを揃えて入れるとか、一緒にお守りを入れるとかいうのは、迷信ですね。あるいはオカルト、そうでなきゃお財布プレーかな。

僕はずっとマネークリップを使っていますが、一にも二にも紛失防止のためです。僕は実にいろいろなものをなくすんです。ひとつのことを考え始めると他のことを忘れてしまうので、お財布なんて10個以上なくしました。マネークリップならズボンの前ポケットに入れられるから、絶対になくすことはありません。

携帯に4種類(モバイルSuica・Edy・iD・nanaco)の電子マネーを入れているので、小銭を使うことはほとんどないですね。モバイルSuicaで新幹線や飛行機の予約もできるし、コンビニや自販機で買い物もできる。個人タクシーはダメな場合があるけど、iDやEdyでタクシーにも乗れます。早くなくしてほしいと思いますね、現金を。

カードも磁気だけじゃなくて、携帯のICを読み取れるやつに変えてほしい。テクノロジーはできているのに、誰も現金廃止の音頭を取ろうとしない。困るのは、チャリティーのコンペで募金箱に1万円札を入れるときぐらいのもんですよ。

僕は、お札やコインが存在することによる弊害って大きいと思うんです。多くの人が、お札やコイン自体に価値があると勘違いして、それを貯め込むことに執着してしまう。

でも、お札やコインには何の価値もないんです。お金というのは信用のalias(別名)であって、とりあえず便利だからお金を使っているけれど、やり取りしているのは広い意味の信用です。だから、本当に貯めなくてはならないのは信用なんです。

そして、信用さえ持っていれば、たとえお金を持っていなくても、いざとなったら打ち出の小槌を振るようにして、お金をつくり出すことができるんです。

お金は信用の化身であると同時に、評価をするのに便利なツールです。

よく「人間の価値はお金では測れない」なんて言いますが、死亡保険金って人間の命に値段をつけているのと同じでしょう。僕らは命でさえ、お金で評価してきたんです。

ところが、岡田斗司夫さんが言っているような「評価経済社会」では、お金による評価よりも、ツイッターのフォロワーが何人いるかってことのほうが重要になったりする。

たとえば、僕のツイッターのフォロワーは70万人います。そうすると北海道の片田舎のファミレスでハンバーグを食べていたら、隣に座った人がフォロワーだったなんてことがありうるわけです。「いや、堀江さんに1回ご馳走したかった」ということになるかもしれない。

刑務所を出たら、僕はノマドになろうと思っています。昔の中国の知識人たちは、各地の豪商の家を泊まり歩いて、知識を伝授したり芸術作品をプレゼントしたりしながら、旅をしたというじゃないですか。

そういうことって、インターネットやSNSが発達した現代で、再び可能になっているんじゃないかと思うんです。少なくとも僕なら、お金を一銭も持たずに旅ができると思う。なぜなら僕には信用があり、大勢のフォロワーが存在するからです。

拘置所の飯は案外うまかったから、たぶん刑務所の飯も悪くないんじゃないかな。2年半、これまでに読めなかった本を思う存分読んでこようと思っています。

※すべて雑誌掲載当時

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事業家・ライブドア元代表取締役社長 堀江貴文 
1972年、福岡県生まれ。96年、東京大学在学中にインターネット事業を開業、2004年株式会社ライブドアとなる。06年証券取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕される。11年4月26日、最高裁にて懲役2年6カ月の実刑判決が確定した。

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(事業家・ライブドア元代表取締役社長 堀江貴文 構成=山田清機 撮影=牧田健太郎)