【怒号】「検察庁の敵視は反社」東京地検特捜部“不適切な取り調べ”録画してもなぜ?「口を割らせるのが正義」弁護士が指摘

5年前に東京地検特捜部が捜査した事件で、詐欺罪などの罪に問われた被告に対し、検事が取り調べを行った様子の映像がある。
2021年6月3日の取り調べでは、担当検事が「検察庁を敵視するってことは反社やん、完全に。その理屈ぐらい分かれよ。にらんでる場合ちゃうで、自分でやってきたこと、よう考え。自分でやってきたこと、よう考え。なんでこうなったか、よう考え!会社設立した時からこうなのか。なんでこうなってもうたんか よう考えなさい!こっちをにらんでいる暇があれば」と発した。
6月5日の取り調べでも「これで自分は何も悪いことしてません、いうことか。これでも言うか、一生懸命やってきたんやと。納税もしてきた、真っ当な会社やと。自分がここにいる理由がないのにと思うのか。理由はあるやろ!」と声を張り上げる。
6月19日には「生田さんさ、破滅したいんか。それだったら一人でいってくれ。な、ええか。家族巻き添いにするな」。6月20日には「己はなんやねん。部下にこんだけしんどいことさして、守る気一切あらへんやん。どれくらい裁判の結果が悪くなるか試してるんか、これは。なあ。生田さん、それぐらいひどいで。黙秘してる場合ちゃうやろ、本来」。6月23日には「生田さん、ちょっとええかな。俺をにらむな、こら。なんでにらまれなあかんねん、こっちが。自暴自棄になってんのか。どうでもええと」。
7月2日は「ええか生田さん。簡単に嘘をつきすぎ!生田さん、こっち見ようか。何で嘘をつく!簡単に嘘をつくし、必死に嘘をつく!」と罵声を浴びせた。
7月5日には「関係が麗しくないよな。なんかもう、油っこい人間の欲と、なんていうかもう、本能と欲と、責任を取りたくないという、もう人間の醜いところがこう、凝縮された感があるよな、この取り調べ室は。ええんやで生田さん、すごいよな。麗しさが一切ないっていう。笑けてこうへん、ちょっと。生田さん、生田さん、幼稚園児じゃないんやから、坊やじゃないんやから」と問いかける。
そして、担当検事が「例えば生田さんに有利な事情が出なかったとか。またピクッとしたな、うんざりやな」と言い、生田被告が「えっ」と聞き返すと、検事は「もうええわ、もういい。お寒いわ」。その後もやりとりは続く。
被告「何も、いま表現していないですけど」
検事「ピクってしてんの分かるねん。こっちだってアホやないんやから」
被告「じゃあ本当に何も言えないですね」
検事「言うてへんやん。なんか言うたみたいに言わんとってくれ」
被告「いやもう、でも本当にそう思いました」
検事「うん、それでいいやん。何も言うてへんやん。今まで言うたんなら『本当に何も言えないですね』って言ってもらっても結構やけど。また人の責任にするやろ。何でも人のせいや。『本当に何も言えないですね』って、言わへんって決めたのあんたやん。人のせいにせんとってくれるか」
被告「いいです。表情で本当に何か判断されるの、本当に残念です」
検事「私も残念や。何でも人のせいにするあんたを見るの。『本当に何も言えないですね』って、何も言うてへんかったやないか。何か言うとったっけ?俺、勘違いかよ。この39日間、何か言うとったの聞いてへんかったん?俺が。ええか、生田さん。黙秘を人のせいにするな!自分が選んだんやろ」
被告「してません!」
検事「してるやろうが!」
被告「してない!ひどい」
検事「人のせいにするな」
被告側は、担当検事を刑事告訴したが、東京高検は2026年3月、違法な行為であると認めるに足る証拠はないとして、不起訴とした。生田被告は、これを不服として、裁判所に裁判を求める付審判請求を行っている。また、国を相手に損害賠償を求める民事裁判も起こしていて、法廷で映像を再生するよう求めている。
レゾバティール法律事務所の阪口采香弁護士は「こうした取り調べは録音・録画によって少なくなってきてはいるが、あるにはある。こうした取り調べがあるからこそ、冤罪も生まれてくる。取り調べの時も、まだ罪が確定していない以上は、その人がやったかどうかわからない状態だ。“犯人”と断定して取り調べをするのではなく、あくまで人として取り調べをしてほしいと切に思う」と語る。
今回のような取り調べの映像は「基本的には『プライバシーに関わる』と、出さないことが多い。今回は裁判所が『出す必要がある』と認めたから出てきた。こうした取り調べがあった時には、特別公務員暴行陵虐罪という特別な犯罪がある。法定刑が“7年以下の拘禁刑”で、通常の暴行罪より重たい刑が定められている」と説明する。
量刑については「取り調べなど、国が行うことは信頼されていないといけない。その信頼を守る意味がある。また、絶対的な権力のため、暴力や、暴行以外の方法で精神的・肉体的に苦痛を負わせる“陵虐”を伴う取り調べをしないようにしようという思いから、強めの刑罰になっている」のだそうだ。
今回の件に関して「立件しようとしても、不起訴になってしまった。この時のために付審判請求がある。裁判所に『やはりおかしい。検察内部で起訴するか判断するのではなく、裁判所が直接判断して』と請求できるシステムで、それで今争っている状況だ」と解説する。
取り調べに弁護士が同席できない理由として「『弁護士が取り調べに同席できる』という、明文の規定がない。明文の規定がないことプラス、実務上もずっとそうなっている。裏を言うと、おそらく弁護士が立ち会うと、弁護士が全部止めて、何も聞き出せないという状況が起き、取り調べとして機能しなくなるからだろう。ただ、あくまで正常に行われている取り調べの時はそうかもしれないが、こういったことが起こるのであれば、それを訴えた場合には弁護人も同席できる案もあっていい」とアイデアを出す。
しかしながら、現行制度は「国家権力側が運用しているため、訴えていくことはもちろん大事だが、弁護人の意見ですぐに変えるのは難しい」と現状を明かす。
検事の発言には「『黙秘していいと思っているのか』と出てきたが、黙秘は権利だ。黙っておく権利があるのに、黙秘することが悪い方に行くと誘導して、何か言わせようとしている。これは本当にあるまじき行為だ。権利を行使しているだけであり、『いいと思っているのか』と言われても、『権利です』という話だ。そこは違う」と指摘する。
一方で「取り調べは、何かを聞き出さないといけないのも事実だ。黙秘権を行使している被疑者に対しては、警察官も検察官も口を割ろうとして、言葉が強くなっていく。『この被告が』という意味ではないが、一般的に嘘をつく人もいる。それに対しては『嘘をつかず、ちゃんと言いなさい』と言うことも取り調べの中では必要でもある」
これらの背景から、「声が荒くなるのはあると思うが、それも節度を持って、“犯人”ではなく“人”だという前提での荒らげ方であれば、ストッパーもかかる。そうした気持ちを持って取り調べをしてほしい」と求める。
冤罪問題に取り組み、2年前に亡くなった人権派裁判官、木谷明弁護士は、生前の取材に対して、「取り調べの録画など、可視化が進んでも、検察の恫喝や暴言は変わらない。なぜなら、彼らは恐れていないから」と話していた。
恐れない理由を阪口弁護士は「取り調べている側は『この人が犯人だから、別に何を言ったとしても、口を割らせることが正義だ』と思っている。だから、恐れずにどんどん言ってしまう実態がある」指摘。「そこの認識を変えていかないと、おそらく捜査機関側と弁護士側とで、議論はずっと平行線のままだろう」とした。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
