銅板がなくなり住民らによってブルーシートがかけられた石倉神社の手水舎(4月20日、輪島市で)

写真拡大

 能登半島地震の被災地で、無人になった家屋や神社が狙われる窃盗被害が相次いでいる。

 多くの住民が避難した奥能登地域では、2025年の窃盗被害が地震前の23年の3倍近くに急増。県警は地域のボランティアと連携した特別警戒チームを発足させ、被災地に本部直轄の治安対策拠点を設置するなど対策に乗り出している。(成島翼)

 地震で本殿と拝殿が全壊した輪島市門前町の石倉(いわくら)神社。集落の住民は仮設住宅などに移り、周囲に人けはほとんどない。倒れた鳥居の脇にある手水舎の屋根には、ブルーシートがかけられていた。

 「何でこんなことができるのか分からない。前向きな気持ちが折られた気分だ」。宮司の四柳正彦さん(59)は憤る。同神社では2月中旬に鳥居と手水舎から銅板が盗まれているのが判明し、住民が警察に被害を届け出たという。

 約500メートル離れた太田神社でも2月下旬、同様に手水舎から銅板が盗まれていたことが判明。被害は100万円以上になるといい、四柳さんは「神社の再建を考える被災者の思いを踏みにじる行為で、許せない」と語った。

 県警によると、奥能登4市町で2025年に確認された窃盗被害は242件で、地震前の23年(84件)の3倍近くとなった。昨年10月には公費解体中だった七尾市の旅館から銅線ケーブル約1トンなどを盗んだとしてトルコ人の男が逮捕されるなど、奥能登以外にも被害が広がっている。

 被災地で相次ぐ犯罪を受け、輪島署と珠洲署は昨年10月、地域のボランティア団体とともに「奥能登ガーディアンズ」を設立。地域住民と連携してパトロールや情報共有に取り組んだ。

 今年3月には、輪島署穴水庁舎に本部直轄の「奥能登治安対策センター」が設置され、職務質問の技術に優れた警察官を含む約40人が移動交番車などを使った防犯活動を始めた。服部泰澄センター長は「継続的な対策で犯罪を防ぎ、地域住民の安心・安全を守っていきたい」と話していた。