◆湯量の調整をするわけにもいかず

接客などのソフト面以上に、施設の設備自体がサービスの中心である事業の性質についても林氏は次のように話す。

「最近できた施設は、湯船を浅めにしたり小さめにしたりして、そもそもの湯の量を少なくする対策をしているところもあるようです。ただ、うちは2000年にできた施設だから、『とにかく大きな湯船をたくさん置いておけ』みたいなマインドでできていますからね(笑)」

ハード面の形を一度決めてしまうと、それを変えるには大規模なリニューアル工事が必要。つまり、ランニングコストが上がっても、逃げ場がない。

続けて、林氏は「お客さんが少ないからといって、お湯の量を少なめにすることもできませんしね」と話す。誰も入っていない場合でもコストがかかり続けるのだ。

スーパー銭湯を取り巻く環境は、決して楽観できるものではない。設備に大きく依存する業態ゆえ、一度作ってしまった“ハコ”の構造は簡単には変えられず、日々の運営の中で細かな工夫を積み重ねていくしかないのが実情だ。

それでも「ファンタジーサウナ&スパおふろの国」が営業を続けられているのは、林氏や熱波師など“人の力”と、訪れる客との関係性があるからだろう。効率化だけでは割り切れない価値が、そこには確かに存在している。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。