「ありがとうしかない」 “オモウマい店”で人気の石川・能登町の寿司店 震災乗り越え営業再開
石川県能登町の寿司店が4月、能登半島地震の災害から約2年ぶりに営業を再開しました。そこには変わらぬ味へのこだわりと地域の復興にかける店主の思いがありました。
来店客:「何か違う、違うよ」「あぁ、違う!」
何かが違うおいしさに…
来店客:「うまっ」
思わず声がもれるおいしさ。
開店直後からすでに満席のこちらの店は、石川県能登町宇出津にある寿司屋「津久司」です。
おととしの震災後、休業していましたが、4月末に店を再開しました。
来店客:「大阪から」
お兄ちゃん、お寿司のお味はどう?
子ども:「(グー!のポーズ)」
お兄ちゃんに負けじと、妹も完食です。
津久司店主・坂 津世史 さん:「おいしいか?」
来店客:「もうバクバク食べてる、おかわりほしいです。やっぱり寝かしてあるからお魚を。全然違うんで」
津久司のすしのおいしさの秘密は、ネタをじっくりと寝かせることなんだそうです。
津久司店主・坂 津世史 さん:
「ブリなんか1週間前のものやし。持つし、魚のうまみが僕は穫れたてよりおいしいと思います。おすしなんで寝かせた方が(おいしい)。あれ?っていう人は多いと思う。僕のお寿司食べて、なんかいつもと違うっていう人がいるんじゃないですかね」
さらに、いつもと違うのがこちら。坂さん自慢の「かんぴょう巻き」です。
坂さん:「食べればわかるって。食べんとわからんよ」
取材班:「食べたことない。かんぴょう巻き(食べる)ならマグロ食うと思います」
坂さん:「ですよね?かんぴょう巻きなら炙ったサバ食うよと思うっしょ?でも僕のかんぴょう食ったら『かんぴょう巻き食うよ』ってなるんですよ」
取材班:「へえ~」
坂さん:「食ってみ」
取材班:「え?やった~。いただきます。は!めっちゃうまい!。なんか違いますね、海苔もおいしいですね」
坂さん:「そうです。越えてくるんですよ、僕のかんぴょう巻きって」
「は~い、いらっしゃいませ」
この日は、本格的なオープンを前に、世話になった人を招待してのプレオープン。
地元の人をはじめ、多くの人が祝いにかけつけました。
招待客:「どう?どう?慣れた?」
坂さん:「慣れんわいね。でも楽しいっすね、こっちの方が」
招待客:「何年ぶり?」
坂さん:「2年3か月ぶり…4か月か?2年と4か月」
招待客:「長かったね~。長かったけど、懐かしいね、昼いっぱいやったもんね。ギュウギュウやった」
坂さん:「どうなるかね。来てもらえるんすかね?」
招待客:「来てもらえるわいね」
坂さん:「そうかな?」
カウンター越しの、お客さんとの久しぶりの会話が弾みます。
こちらは坂さんの近所で幼馴染。お母さんと一緒に来店です。
幼馴染の母:「やっと落ち着いたね」
坂さん:「ねえ、やっと。一緒にいっぱい作ったね、おにぎりね、おばちゃん。避難所で」
幼馴染の母:「本当に。手も熱なるほど」
坂さん:「すごく作った。汁もすごく作った。あの汁でちょっと癒されたもんな、1日が。あったかいもん食って」
幼馴染の母:「津世史がいたからできた」
坂さん「なんもなんも。みんなおったしや。やっぱ、ああやってうまいもん食わんと乗り越えられんよね。一日一日がね。俺は本当に葵に食わせなきゃていうだけやったし」
幼馴染の母:「あれはあれで、楽しみやったね」
坂さん:「楽しかったよね。葵は、とてもWI-FI環境整っとるし、最高やった」
幼馴染:「ゲームしまくりや。あいつ、電池ないのにゲームしとったよな。『バッテリーねーがいやー』っていうところで、すっとしとったしな」
坂さん:「楽しかったんやな。いい経験になったわ」
坂さんの一人息子の葵くん。学校から帰ってくると、早速、大好きなゲームです。
この日は、連休前の最後の登校日。宿題、たくさん出たのかな?
津世史さんの息子・坂 葵 さん:
「自学ノート、計ド(計算ドリル)、算数の力」
記者:「自学好き?」
葵君:「一番楽。3年生のころは円の角度とか習ってたから、ノート1ページにでっけえ円描いてそれで終わってた」
記者:「それ先生、OK?」
葵君:「OK!ちょろいぜ」
津久司店主・坂 津世史 さん:
「ただ単に僕はもう1回、地震の前のような行列が見たいなっていうのを親子で目標にしてやってきたから、まあ、見れるといいかなって思いますね。あってよかったじゃないけど、地震がなかったら会えてない人も多分いると思うんで、それも一つのご縁なのかなって思ってますから。(能登のことを)知ってもらわないと始まらないし、能登のことを発信できるなら(メディアに)出たいな、少しでもと思いました。珠洲、輪島っていう名前がたくさん聞こえる中で、能登町の宇出津っていうのは、それまで聞くこともないから、番組内でテロップが少し出るだけでも僕はいいのかなって思って」
津久司店主・坂 津世史 さん:
「(店が再開できて)本当、ありがとうしかないですね。なんか…うん、それに代わる言葉はないんじゃないですかね。ここの場所でまた僕がいて、僕のお寿司を食べる人、皆さん幸せそうな空気が出てるから、よかったなあって思えるし、その人らのおかげで僕らもまたここでやれたってのもあるので、なんか、いろんな人に支えられて今があるから、その感謝を忘れずに、なんか謙虚にいきたいなって思いますけどね」
家族連れの客:
「2人めっちゃ早かったです、いただくの」
坂さん:「おいしかった?」
子ども:「うん」
坂さん:「バイバイ。よし、またね」
