およそ6万円。ゼブラの高級ボールペンを1ヶ月使い倒してみてわかったこと
ゼブラが新しく立ち上げた高級ボールペンのブランド「ザ・ゼブラ」の第一弾として発売されたのが、税込59,400円の高級油性ボールペン「HAMON」。高級筆記具が比較的売れるようになったとはいえ、現在、5万円を超えるボールペンは世界中探してもほとんどない。
高級素材や宝石を使わず、性能と技術だけで6万円弱
よくある高級万年筆のように宝石が使われているわけでも、軸に希少素材が使われているわけではない。つまり、ボールペンとしての性能と製造技術の高さだけで、この価格になっている。
「HAMON」を1ヶ月お借りすることができたのでレポートするが、先に結論を言ってしまうと、返却するのが悲しくなるくらい気に入ってしまった。その一方で、それでもこの価格は厳しいと思ったのも確かなのだ。
エイジング加工による書き心地の新鮮さ
とにかく、書き始めた瞬間のインパクトがすごかった。
三菱鉛筆の「ジェットストリーム」登場以降、油性ボールペンは滑らかに書けて当たり前になっているが、確かにその先の次元を感じさせる、スルスルとペンが走る感触に「おおっ」と声が出た。万年筆や水性ボールペンのさらりとした感触とは違う、油性らしいぬめりもわずかに感じながらも抵抗感はほとんど感じられない新鮮な感触。
それを実現しているのが、ボールとそれを支える部分のエイジング加工。イヤフォンが購入時より、ずっと音楽を鳴らしたあとの方が音が良くなるという効果と同じことがボールペンのチップにも言えるらしい。「こなれた」書き味が新品の状態から味わえる。残念ながら、その製法は秘密らしい。
ほとんど工芸品レベルの金属加工技術を手の中に
ステンレス軸のクリップ周りには切削で波紋模様が彫られており、その工作精度の高さと美しさはもはや工芸品レベル。ここまでやる必要はあったのかと思うけれど、日本の金属加工技術を見せたいというのもコンセプトのひとつだという。希少資材や宝石を使う代わりに、技術を軸に刻み込むというのは確かに工業製品としてのボールペンに似合うやり方だろう。
使うほどにじんわりと良さが身体に染み込んでくる
カッコいいのは、軸を回転させて芯を出すときの感触とか、芯を出すと静かに沈み込んで筆記の邪魔にならなくなるクリップがちゃんとバインダークリップになっていること、金属軸に金属リフィルなのにインクの残量が見えるようになっている、といった細かい部分の完成度が恐ろしく高いこと。
これらが合わさって、使っていて気持ちいいペンになっている。しかしながら、この辺りの完成度は長く使っていないと分からない。ストレートに言えば、地味過ぎる仕掛けだ。
すごいペンなのだ。使えば使うほど良さがじんわりと染み込んでくる。リフィルやインクが新しくなると必ず一本送られてくるとか、ずっと同じ規格のリフィルを使うから孫子の代まで使えるとか、そのすべてが素晴らしい。
この控えめすぎるすごさは、日常的に使ってこそ味わえるから、毎日使うわけじゃない私は購入を見送った。逆に言えば、毎日手書きする人は買った方がいい。

