Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

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人口減少や運営費の高騰で、今、公立病院が岐路に立たされています。先日、静岡市の難波市長が、清水病院と清水厚生病院を一体的に運営していくことを発表しましたが。突然の発表に病院職員からは不満が噴出。こうした声に難波市長は11日の会見で、どう答えたのでしょうか。

(静岡市 難波市長)
「地域の根幹的な医療機関として清水の医療提供体制を守ることができるように新たな取り組みを実施します」

4月24日、静岡市の難波市長が発表した「清水病院」と「清水厚生病院」の病院再編。公立病院として市が運営する「清水病院」は20年にわたり赤字が続いていて、人口減少や運営コストの高騰などで2024年度の赤字額は22.5億円と危機的な経営状況に。難波市長は「このままでは適切な医療を提供できなくなる」と危機感をあらわにしました。

(静岡市 難波市長)
「非常に危機的な状況に陥っているので改善が必要です。この2つの病院が同じ病床数を確保して頑張ろうとすると共倒れになるので、どちらかに集約するのが効率的な運用になる」

清水病院と厚生病院の“共倒れ”を回避するために 難波市長が発表したのが、「指定管理者制度」の導入。

これは清水病院を“民営化”してその運営を厚生病院が行う計画で、市は2027年4月のスタートを目指しています。

さらに効率化のため、両病院の外来機能は残しつつ、入院機能は清水病院に集約するほか、将来的には病床数を適切な数に減らす予定です。

この決定に清水区民は…。

(清水区民)
「(入院機能を)1か所でまとめるのは看護する人からするとやりやすいのでは」

(清水区民)
「いいんじゃないですか。人口も減っているし先生の数も足りないから。庵原側の人は大変だと思います。バスの便も少なくなっているし」

外来機能は両病院に残るということで概ね肯定的な意見だった一方で、「入院機能がある清水病院から遠い場所に住んでいる人は不安」といった声も聞かれました。

総務省によると全国844の公立病院のうち2024年度には83.3%が赤字と、全国的に苦境に立たされている公立病院。

清水病院の「指定管理者制度」の導入は、「地域医療を維持するために必要」と話す難波市長ですが、この計画の発表により、その根幹を揺るがす“ある大問題”が発生しているのです。

これは4月、静岡市の職員労働組合が清水病院の全職員を対象に実施し、約8割の職員が回答したアンケートの結果。

指定管理が導入された場合の対応について、「退職したい」が41.4%に上る衝撃の結果に。さらに44.1%も「悩んでいる」と回答し、「継続して働きたい」はわずか12%にとどまりました。

「退職したい」と回答した人の理由は、市の職員ではなくなることで「給与が下がる可能性がある」が95.5%。次いで「手当てがなくなる可能性がある」が87.2%と、 待遇面での悪化を懸念する声が多く挙がりました。

4月28日に会見を開いた清水病院の職員らは、「指定管理導入後の待遇が説明されていない」と不安を口にしました。

(静岡市立清水病院の職員)
「清水病院の職員に対しての今後の処遇などについて、具体的な説明は一切なされていないのが現状です。非常に大きな衝撃を受けるとともに、大変残念な思いを抱えています」

清水病院の職員によると「指定管理」について市から説明があったのは3月末。また、説明会の案内が直前だったため参加できなかった職員も多くいたといいます。会見を開いた職員は「行政から見放された思い」と怒りを露わにしました。

(静岡市立清水病院の職員)
「職員があってこそ病院の運営、医療の水準が維持できるということを十分に認識いただきたい。私たち病院職員も静岡市の市民です。守らなければいけない家族や生活があります。職員が大切にされない病院に優秀なスタッフは集まりません。私たち職員の雇用、生活を守る具体的な労働条件を早急にご提示いただくことを強く要求します」

市と病院職員の間で溝が深まる中、5月11日、定例会見を開いた難波市長。「清水病院は適切な経営が出来ていない」と、改めて厚生病院との一体化の必要性を訴えたうえで、病院職員への説明不足を謝罪しました。

(静岡市 難波市長)
「一番大事なのは、結果としてどう受け止められたかということなので、我々の説明が不十分だったと考えています。もっと具体的な説明を早い段階から意識しておくべきだったと考えています。大変申し訳なく思っています。早期に説明をする必要があると思いますので、5月18日19日に職員説明会を開催する予定です」

この説明会では、今後の処遇などについても説明があるほか、6月1日には個別の相談窓口が設置される予定です。また、希望者には「市職員への配置転換」や、指定管理者への転職後、「数年間にわたる給与の補償」などを検討しているということです。

(スタジオ解説)

(澤井 志帆 アナウンサー)
(静岡市立)清水病院と清水厚生病院が今後どうなるのかについてですが、公立の清水病院を指定管理者制度で厚生病院が一体的に運営を行い、それぞれの外来は残して、入院機能は清水病院に集約するというものなんです。こうした動きの背景には、こちらの表があります。清水病院…20年連続の赤字というのが背景にありまして、2025年度の赤字を見てみますと、29億5000万円、純粋な赤字です。そこに市からの運営負担金というのが19億円あるので、実質的な損失というのが50億円近くに上るということなんです。坂口さん、年間で50億円近いこの赤字、どういう状況なんですか?

(コメンテーター 経営コンサルタント 坂口 孝則 氏)
これ必ずしも少ないとは言わないですけれども、やっぱり一度振り返りたいのが、公的な病院というのは、すごく緊急性があって、難病の患者も受け入れるし、コストがかかる、時間がかかる。その割には、やっぱり町医者に比べると、やっぱり収益利益がどうしても下がってしまうということなので、赤字だけを捉えてちょっと悪かったというのは、ちょっと言い過ぎかなという…個人的には思うんですね。

(澤井 志帆 アナウンサー)
全国的にも言えることなんですか?

(コメンテーター 経営コンサルタント 坂口 孝則 氏)
ですね。これは実質的な赤字じゃ、逆に黒字が珍しいくらいです。

(澤井 志帆 アナウンサー)
そうなんですね。

(コメンテーター 経営コンサルタント 坂口 孝則 氏)
とはいえ、このままでいいとは言っていませんので、当然、独立行政法人に、今回みたいに管理指定をするとかいうのはありと思うんですね。できるだけ黒字にしたいという…インセンティブを作っていくということは重要と思います。ただ、それよりも、どちらかというと…VTRを見ると、感情のすれ違いの方が大きな問題な気がしましたよね。だから、今からでも遅くないので、丁寧な説明を職員の方に重ねるというのが重要かなという気がしますね。医療は結局、コミュニケーションですのでね。

(澤井 志帆 アナウンサー)
利用者の面からは…一体的な運用について、メリット、デメリット、津川さんはどう考えられますか?

(レギュラーコメンテーター 津川 祥吾 氏)
入院が集約されるということに関しても、これよく言われる話なんですけども、一か所に集約すると効率的なんだけども、やっぱり地元の方からすると近くにあった方がいいということもあるので、これ一概には言えないのかな…というふうに思いますけどもね。

(澤井 志帆 アナウンサー)
そうですね。この入院機能は清水病院に集約、でも外来はそれぞれ残すという現状ですけど、それ、利用者としてはどうなんですかね?

(レギュラーコメンテーター 津川 祥吾 氏)
先ほど市民の方々から声があったように、通う方からは、通う方からすると、無くなってしまうわけではないので、「いいんじゃないの」という意見も出てくるのかなと思いますが、でも入院される場合になるとね、入院したり、そこからお見舞いに行ったりというところもありますのでね、やっぱり近くの方がいいという意見もあると思います。

(澤井 志帆 アナウンサー)
そうですよね。一方で、清水病院の職員からはこんな声が出ています。清水病院の職員に対して行ったアンケートですが、退職したいと答えた職員がなんと4割以上。理由としては、給与が下がる可能性や、公務員でなくなるのでは…といった懸念ですね。また、44%以上の方が悩んでいると答えました。その理由は、十分な説明がなく判断ができない。待遇が…もし維持するなら続けるといった声です。津川さん、この静岡市の職員に対する対応についてはどう思いますか?

(レギュラーコメンテーター 津川 祥吾 氏)
いや、これはもう市長が謝罪をされた通りで、全く説明が足りてなかったということだと思いますよ。さまざま変えていかなければならない。変えればならないときも、基本的には現場からその声を拾っていって変えていくべきだと思いますので、ちょっとこのトップダウンのやり方、少し間違ってしまったんじゃないかなという感じがしますね。

(澤井 志帆 アナウンサー)
まずは市からの丁寧な説明が求められます。