細木数子氏

写真拡大

 4月27日からNetflixで世界同時配信されている戸田恵梨香・主演のドラマ「地獄に堕ちるわよ」が、同サイトの国内ランキング1位にのし上がった。戦後の貧困から抜け出して銀座でクラブを経営、その後、独自の占術を編み出してメディアの寵児となっていく、そんな細木数子(1938〜2021)の半生を描いた。実在の細木といえば、生前、占いで巨額の富を築いた一方、聞く者の恐怖を煽り、多額の金銭をかすめ取る手法は批判にも晒された。彼女の実際の“説法”とはどのようなものだったのか――。

 ***

【写真を見る】石橋蓮司演じる「安永正隆」のモデルと思われる、細木数子の“元夫” 「まるで別人」なクラブママ時代の写真も

「地獄に堕ちるわよ」は初回の冒頭に《この物語は事実に基づいた虚構である》とクレジットされる。ただし、タイトルとなった「地獄に堕ちるわよ」は、まさしく細木自身がレギュラー番組でゲストに向かって放っていたセリフである。若い人には信じられないかもしれないが、それが許されるほどカリスマ的な人気を誇る占い師であり、“視聴率女王”とまで呼ばれていた。その自信満々で居丈高なキャラを戸田が見事に演じている。

細木数子

 もっとも、戸田が演じたのは、細木の運気が低迷する“大殺界”が始まる直前の2006年まで。その後の彼女の言動を「週刊新潮」が報じた記事をもとに再現してみよう。

《週刊誌のバッシング記事を受け、細木が逃げるようにテレビから消えたのは2008年。今年初めにはバラエティ番組で久方ぶりにご尊顔を拝することができたが、かつて「視聴率女王」と呼ばれた頃の面影はなかった》

 こんな書き出しで始まったのは2013年1月31日号の「まるで集団催眠の現場だった シャーマン『細木数子』の年初勉強会」なる記事で、日本出版クラブ会館(東京・新宿区)で行われた「勉強会」の参加者を通して彼女の姿を報じている。以下、抜粋する。

どんどん会場が一体化

「会費1万円を受付で支払い、さらに、勉強会のテキストとして使うという“六星占術開運暦カレンダー”を2000円で購入してから会場に入ります。150人ほどは収容できそうな会場がほぼ満席。中年女性が多かったですが、中には若いカップルの姿もありました」(参加者の1人)

 午後一時前、髪の毛をオールバックにし、ピンクのスーツを着た細木が登場すると、拍手が起こった。

「最初は勉強会の説明。もう33年も続けており、以前は全国でやっていたが、今は東京と大阪のみだと言っていた。それから、先祖供養がいかに大事か、といった講義が始まった。初めて参加したのですが、“へぇ”と思ったのは、“客”にメモを取らせず、口に出して言わせること。それにより、どんどん会場が一体化していくのです」(同)

 例えば、カレンダーには十二支が円状に記されており、その“子”の部分を示しながら、細木が聞く。

細木:子というのは12月です。暑いの? 寒いの?

会場:寒い。

細木:表行きたがんの? 行きたがらないの?

会場:行きたがらない。

 こうした奇妙な言葉のキャッチボールが続き、油断していると突如、罵倒の声が飛んでくる。

まるで集団催眠

細木:わかりやすく丁寧に教えてやってんだよ! さっささっさと答えないと、後ろが詰まって時間切れで仕舞いになるぞ !雪はとけるの? とけないの?

会場:とける。

細木:種を蒔いたらいいの? 悪いの?

会場:いい。

細木:いいの? わかんないから勉強会来たんだよ! 間違ってもいいから答えなさい。そうしてるうちに鬱病治るよ! わかった?

会場:はい!

 先の参加者が振り返る。

「彼女は“出戻り娘が墓守をしたら一家全滅”とか“新興宗教に入ったら、家族に身体障害者が生まれる”とか滅茶苦茶なことも言っていましたが、その場では思わず聞き入ってしまった。ああいうのを集団催眠というのでしょうか」

 勉強会が終了したのは午後3時頃。会場の外では先祖供養に10万円、家の方位占いに100万円もかかる「鑑定」の受付に人だかりができていた――。

76歳時の様子

 さらに「週刊新潮」2014年12月11日号のグラビア記事「『細木数子』がどやし続ける恐怖の“勉強会”」では、犬を抱えた細木の近影とともに「勉強会」の様子を伝えている。この犬がドラマに出てきた愛犬のティアラなのか? 以下、再録する。

「以前より痩せて髪が伸びた先生は、登壇した直後は息が切れて声も小さかったが、話すうちに、かつての迫力を増していった」(参加者)

 老若男女100名ほどが参加したという細木数子女史(76)の勉強会。参加費一人1万円の中身はというと、

「日本には八百万(やおよろず)の神がいるんだよ、知ってる? 八十万と書いて、やおよろずと読むんだよ!」(細木女史)

 冗談かと思うようなことを彼女が真顔で言えば誰も笑うものなぞいない。

「家を建てる前に墓を立てなさい! 先に家を建てた人は邪気が出て、住み心地が悪くなり、貧乏する。細木数子が指導した墓を持っている家だったら天下人になれる!」

 とは言うのだけれど、その細木のやり方とは異なる方法で、自分の母親の墓を立てた寡婦には、

「夫が死んで結構な金入ったろ、ちゃんと定期預金してんの? 何? 馬鹿じゃないかお前は! そのお金で何で実家の墓立てるんだ! 泥棒じゃないか! 子どもが魂の抜け殻になるよ! あたしが面倒見てやるよ」

――まるで押し売りのような強気な物言いは、全盛期と変わらずだったという。この記事から7年後の2021年、細木は波瀾万丈の生涯を終えた。

デイリー新潮編集部