体育会系企業の「軍隊式合宿」で新入社員が反乱…理不尽な″鬼教官”を突き飛ばして一喝した結果
◆時代遅れも甚だしい研修だった
合宿初日にスマホを没収され、朝から企業理念を絶叫。午後は連日、チーム制のマラソンで走行距離を伸ばしていく過酷な内容だった。外部の鬼教官が目を光らせ、少しのミスも許されない。優しかった人事スタッフまでが豹変し、厳しい態度で新人を追い詰めていた。
◆理不尽な鬼教官に一括
合宿3日目、ついに限界が訪れる。マラソン中に20代の女性社員が路上に崩れ落ちた。肩で息をする彼女に、教官は「貴様1人の甘えで全員1キロ追加だ! やる気がないなら消えろ!」と罵声を浴びせた。
その静寂を破ったのは、別の班の男性社員・村田(仮名)だった。彼は教官に詰め寄り、「社員の体調も考えないで何が研修だ!」と胸ぐらを掴まんばかりの勢いで一喝。さらに驚くべき行動に出た。いきなり教官を突き飛ばし、へたり込む彼女を衆人環視の中で抱き寄せたのだ。
◆そのまま2人で退職してしまった
村田は彼女に「大丈夫だよ。こんな奴らの言葉に従わなくていい。僕が君を守るから」と囁いたという。
「あまりの展開に周囲はポカンとしていました。教官が『規律を乱すな!』と怒鳴りましたが、村田は完全に無視。陶酔しきった様子で抱きしめ合っていました。そして村田は『俺たちは刑務所に入れられたわけじゃない!』と叫び、呆然とする教官たちを尻目に、彼女の手を取って宿泊施設へ戻っていきました」
2人はそのまま人事に退職を告げて去っていった。実は入社前の懇親会ですでに交際しており、社風が合わなければ早期に辞める相談をしていたという。村田にとって、ここは彼女に良いところを見せるための最高の舞台だったのだ。
さらなる造反を恐れたのか、その後の研修は一変した。「気温の上昇」を理由にマラソンは中止され、予定になかった親睦会が開催されることに。厳しかった人事も手のひらを返し、新人を労う姿は明らかに狼狽していた。
「間近で見た身としては、なんとも言えない体験でした。結局、軍隊式の研修は、僕たちの代を最後に廃止されました」
かつての過激な研修は、思わぬ「愛の暴走」によって幕を閉じたのである。
<TEXT/和泉太郎>
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
