【FOMC】不透明感から金利据え置き、緩和バイアスは維持
主要政策金利の据え置きを決定
FF金利の誘導目標レンジ、3.50~3.75%に維持
現地時間4月28、29日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)は、主要政策金利の据え置きを決定しました。FF金利の誘導目標レンジは3.50~3.75%に維持されました。声明文では、インフレは高止まりしており、世界的なエネルギー価格の上昇もその一因になっているとの認識が示されました。
今回の据え置きは、中東情勢を中心とする不透明感の高まりを踏まえ、政策判断を急がず、当面は経済指標を見極める姿勢を維持したものといえます。
FOMC内の見方のばらつきが鮮明に、利下げ余地を残すガイダンスを維持
一方、今回の会合では、政策金利の据え置きそのものよりも、声明文に残された緩和バイアスをめぐる意見の相違が目立ちました。マイラン理事は0.25%の利下げを主張して反対票を投じました。これに対し、ハマック・クリーブランド連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ローガン・ダラス連銀総裁は、金利据え置き自体には賛成したものの、声明文に緩和バイアスを含めることに反対しました。4人の反対票が出たのは1992年以来の多さとされ、FOMC内の見方のばらつきが鮮明になりました。
それでも声明文では、今後のFF金利誘導目標レンジについて、追加的調整の程度とタイミングを検討するとの文言が維持されました。これは、現時点で利下げを明確に約束するものではないものの、次の政策対応としては、利下げ余地を残すガイダンスを維持した格好です。
今回の決定内容自体は概ね市場の想定内であり、公表直後の市場へのインパクトは限定的なものにとどまりました。ただし、タカ派的な反対票の存在は意識され、短期債利回りには上昇圧力がかかりました。市場では、2027年以降については利上げを織り込む動きも見られますが、一方では利下げ再開の時期やペースを従来よりも慎重に見極める動きも出ています。
金融政策への政治的影響をめぐる市場の警戒感が再び高まる可能性
パウエル議長にとって、今回がFRB議長として臨む最後のFOMCです。議長としての任期は5月15日に満了しますが、同氏はその後もFRB理事として職務を続ける意向を示しました。パウエル氏は、司法調査が完全に終結するまでは理事会を離れない考えを示しています。
次期議長候補とされるウォーシュ氏の下で政策運営がどのように変化するかに加え、トランプ政権側からの利下げ圧力が続くなかで、FRBと政治との距離感が従来よりも近づくリスクは引き続き意識されます。パウエル氏が理事として残ることは、FRBの独立性を支える要素となり得る一方、将来的な交代人事局面では、金融政策への政治的影響をめぐる市場の警戒感が再び高まる可能性があります。
総じてみれば、今回のFOMCは、金利据え置きという結論そのものよりも、FOMC内部で緩和方向への見方が割れ始めていることを示した会合でした。中東情勢やエネルギー価格をめぐる不透明感が高いなか、FRBはデータ次第の姿勢を維持しつつ、利下げの可能性を完全には閉ざしていません。ただし、インフレ再燃への警戒や政治との距離感というかく乱要因も残っており、当面の金融政策は、景気・物価指標とFRB内外の政治的な力学を見極めながら進む展開となりそうです。
塚本 憲弘 マネックス証券 インベストメント・ストラテジーズ兼マネックス・ユニバーシティ シニアフェロー
