今季ここまでの12試合すべてに先発する山根。浦和戦ではシーズン2点目をマークした。写真:滝川敏之

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[J1百年構想リーグ第12節]浦和 2−3 横浜FM/4月25日/埼玉スタジアム2002

 昨季はJ1残留にチームを導いた大島秀夫監督が続投し、今季のJ1百年構想リーグを戦っている横浜F・マリノス。シーズン序盤から黒星が先行し、4月に突入後は柏レイソル、FC東京、川崎フロンターレに敗れて3連敗。EASTで下位に低迷していた。

 厳しい状況下で迎えたのが、4月25日のアウェー浦和レッズ戦。浦和もPK戦負けを含めて6連敗中で、オリジナル10の名門のどちらが先に苦境から抜け出すのかが大いに注目された。

 この試合でチームを勢いづかせる先制点を奪ったのが、横浜FMの若きボランチ山根陸だった。21分、ユーリ・アラウージョが左サイドから持ち上がり、インサイドの山根にパス。背番号28はドリブルして、右サイドのジョルディ・クルークスに展開し、一目散にゴール前へと走り込んだ。

 次の瞬間、クロスが中央に入り、谷村海那が頭で落とすと、山根が鋭く反応。左足を豪快に振り抜き、ゴールに流し込んだ。

「ユーリから受けた時、自分の前にスペースがあって、どこまで運ぼうか考えたんですけど、案外、早いタイミングで荻原(拓也)選手が絞った。それで、外につけてもう1回、ポケットを狙いに行く形を選択した。海那君が優しい落としをくれたんで、自分は本当に押し込むだけでした」と自身の今季2点目に目を輝かせた。
 
 この得点シーンに象徴される通り、この日の山根は3列目からの積極的な飛び出しを意識。フィニッシュに絡む形を数多く作った。

「レッズの4−4−2のブロックの中はコンパクトなので、ウイングを1つ起点にするというチームの共通認識があった。ウイングにボールが入った後のサポートの位置やタイミングを意識するなかで、自分がポケットを狙う動きも増えたと思います」と強調。攻撃に躍動感をもたらした。

 だが、数々の決定機を決め切れなかったのも事実。そこは本人も反省しきりだった。

「今日は1点、取ったことよりも、4点分くらいのチャンスを活かせなかったことの方が大きかったですね。(28分の)金子(拓郎)選手の1失点目でもマークを外してしまい、試合をバタつかせてしまった。正直、悔しさの方が大きいです」と山根は偽らざる本音を吐露した。

 そういった課題はあったが、90分間、足を止めることなく精力的に走り続けたのは事実。22歳の献身とハードワークがプラスに働き、横浜FMは渡辺皓太と天野純も得点し、3−2で勝利。4試合ぶりの勝点3を手にし、ようやく浮上の糸口が見えてきた印象だ。

「昨日の柏対鹿島戦もそうですけど、(鹿島のような)強いチームはリードを守り切れる。僕らも強くなるために、終盤の厳しい時間帯を乗り越えることが必要だった。それがレッズ相手にできたのは、1つ自信になると思います」と山根も前向きにコメント。ここから勝点を上積みし、1つでも上の順位を目ざしていく構えだ。
 
 成長途上の山根は、今季ここまでの12試合にすべ先発。当初は怪我で離脱していた喜田拓也の代役という見方をされていたが、キャプテンが復帰してからも定位置を守り続けている。大島監督はアグレッシブな攻撃参加や攻守両面での貢献度の高さを買っているからこそ、山根をボランチの主軸に位置づけているのだろう。

「チームを勝たせることは、もちろん外せない。そのうえで、自分はプレーエリアを広げることを意識しています。『ボックス・トゥ・ボックス』は僕のテーマ。あとは質ですね」と言うように、残された6試合でゴール、アシストという目に見える数字を貪欲に狙っていくつもりだという。

 そうすることで、より高い領域が見えてくるはず。一足先に海外へ赴いている同世代の仲間たちとの距離も近づくだろう。

 2023年のU-20W杯参戦から丸3年が経過し、当時のチームメイトだった同い年の佐野航大(NEC)は、北中米W杯の出場に手をかけつつある。同じ中盤の松木玖生(サウサンプトン)や北野颯太(ザルツブルク)も着実に実績を残しつつあるだけに、山根も歩みを止めるわけにはいかない。そういう危機感も強いだろう。
 
「(当時のメンバーは)海外へ行って大きな舞台で活躍している選手ばかりなので、自分にとっては刺激でしかないですね。いろんなニュースが入ってくるたびに『自分ももっともっと上を目ざして頑張りたい』と強く思います。

 僕自身にも夢はありますけど、日々成長を求めながら目の前のことを確実にやっていくことで、将来の可能性も自然と開けてくる。タイミングは人それぞれですけど、自分の道をしっかり歩みたいと思います」

 語気を強める山根が“マリノスを勝たせられる男”になってくれれば理想的。大型連休中の連戦でも、中盤のダイナモとして異彩を放ち続けてほしいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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