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腰痛は医者には治せない。そう話すのは、20年の臨床経験から医療現場の局所アプローチに異を唱えた理学療法士・松田圭太氏。対して、「糖を断ち、脂質を摂ることが健康長寿の第一歩」と語るのは、『なぜヒトは脂質で痩せるのか』(扶桑社新書)が発売即重版となった作家の金森重樹氏だ。医療や健康の常識を根本から問い直す2人に、体の内と外から不調を根本から断ち切る方法を語ってもらった。
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ーー「ヘルニアの97%は手術不要」。松田さんは著書『腰痛は医者には治せない』で、医療現場の常識に大きな疑問を投げかけています。20年のキャリアから導き出した結論だとか。

松田 その通りです。基本的に医者の治療は、「腰痛には腰を治療する」といった局所アプローチが主流です。そんなの当たり前だろうと思われるかもしれませんが、人体は複雑で、全身のバランスが整っていないと必ずどこかに歪みが生まれてしまいます。つまり、「痛みの原因」が「痛む場所」にはなかったりするわけです。

金森 表面に出ている症状だけを和らげる対症療法ではなく、原因そのものを取り除く根治療法が大切ということですね。

松田 その通りです。ヘルニアについても、ドイツの大規模研究で97%は手術しない方がいいという結果が出ています。人間の免疫機能は優秀で、ヘルニアで飛び出した椎間板の一部は体内で「異物」とみなされ、白血球の一種であるマクロファージが食べつくしてくれる。整形外科学会も厚生労働省も手術の推奨度を下げていて、現在もっとも推奨度が高いのが運動療法と認知行動療法。そのお手伝いをするのが、私たち理学療法士の仕事です。

◆腰痛に「普通の腹筋」は逆効果

金森 腰痛の場合、どんなアプローチで治療するんですか?

松田 股関節が動いていないことで腰が反り続けてしまっているというケースがとてもに多いです。つまり、股関節を治療してあげると腰が楽になるということがよく起きます。私がよく患者さんに伝えるのは、「どこかが頑張りすぎていて、どこかが使えていないだけ。使えていないところをちゃんと動かしてあげることが大事」ということです。

金森 注目している場所とは別の側が大切ということですね。僕も物書きをしているので、腰痛は他人事ではありません。

松田 座り仕事の増加は、まさしく現代病ですよね。座る時間が長くなることによって背骨のS字カーブがないフラットバックの人が非常に多くなっています。一見、姿勢が良さそうに見えて実はめちゃくちゃ悪くて、ヘルニアや腰痛、首の痛みになりやすい。特に座り仕事で腰が痛いという方に効果があるのは、下腹部の足上げ腹筋です。普通の腹筋をやると上の腹筋ばかり鍛えてしまってむしろ逆効果。足上げ腹筋なら、背骨を支える大腰筋も一緒に働かせることができます。

金森 首や肩の不調を訴える人も多いですよね。

松田 そうですね。ストレートネックや猫背には上位交差症候群という名前がついていて、首の後ろ側と胸の前側が縮んでいて、首の前側と胸郭の後ろ側が伸びきっている状態を差します。アプローチとしては、首の前側にある頸長筋を鍛えることと、肩甲骨を寄せる菱形筋を鍛えていくことです。具体的には、顎を引いて首を伸ばしていくストレッチが効果的です。

◆現代人の不調の起点は「足」にある

ーー体の不調を根本から変えるために、特にどこに着目すべきでしょうか。

松田 一番大切なのは、足です。足は唯一、地球と接している場所。足がズレれば、上をどれだけ調節しても、全部ズレてしまいます。

金森 全身の約4分の1の骨が足に集まっていると言われていますもんね。足で言うと、僕が注目しているのはリスフラン関節。これがうまく機能していない現代人が多く、多くの不調が生まれているという研究を目にしたことがあります。