スマホ首、座りっぱなし、SNS疲れ…現代人を蝕む「腰痛・肩こり・不眠」を根本から断つ生活習慣
松田 リスフラン関節を知っていらっしゃるとは、さすがです。多くの現代人はリスフラン関節の小指側にある立方骨がぐにゃっと曲がってしまっている。それによって連鎖的に楔状骨という骨にも悪影響が出ている。これを元に戻すには、かかとの骨を少し外側に誘導してあげることがポイントです。
金森 靴の弊害も無視できないと僕は思っていて。靴を履くことで現代人は歩き方が本来の体の仕様に合わないように変わってしまいましたよね。
金森 僕は今バヌアツという国に住んでいて、裸足で生活をしています。そうすると、いかに足の感覚が死んでしまっていたかを痛感します。最初はスキナーズという足袋のような履物で足の指を使う練習をしたのですが、足への刺激が強すぎて吐き気がしたくらいです。
松田 最近はつま先が広いワイドトゥの靴も少しずつ流行り始めていますが、健康という意味では正しい方向に向かっていると思いますね。
◆「なぜか消えない痛み」の正体とは?
――その他に、この20年間で変わったことはありますか?
松田 私が特に危惧しているのは、SNSの登場によって鬱傾向の人が増えたことです。
金森 鬱と身体の不調が、具体的にどのようにリンクするのですか?
松田 体感として、体は良くなっているのに、なぜか痛みが続いているという方が増えています。要するに、脳が誤作動を起こしやすくなっているわけです。
金森 なるほど。メンタルの不調によって、痛みの閾値が下がっているわけですか。
松田 そうなんです。そこで効果を発揮するのが認知行動療法で、鬱傾向にある患者さんには「今痛みありますか。ないですよね?」という問いかけからスタートしています。すると、「痛いと思っていたけど、そうでもないかもしれない」という方は意外なほど多い。そこに合わせて実践しているのが、ダイアリー療法です。
金森 日記をつけるんですか?
松田 そうです。その日に「やったこと」「よかったこと」「感謝したこと」「できるようになったこと」の4項目を書いてもらい、私たちが赤ペンを入れて「よくできました」と返す。大事なのは褒めてあげることで、幸せホルモンであるセロトニンを出すことで痛みが緩和しやすくなっていきます。
金森 すごい。現代人って大人になってから褒められることってほとんどないですもんね。僕みたいに完璧主義で減点方式の人間には、特に効果がありそう(笑)。
松田 実際その通りで、現場のメンバーに「どんな人が治りやすいか」と聞くと、「ダイアリーをちゃんと書いている人です」と言うんです。しかも、書ける文字量と治りやすさが面白いくらいに比例する。だから大切なのは段階を踏むこと。例えば、「半年後に温泉旅行に行きたい」という大きな目標を立ててもらい、「今300m歩くのが辛いから、1か月後には500m歩けるようにしましょう」と小さな目標を設定します。それを達成できたら、また褒めてあげる。ただし、褒めてばかりだと慣れてしまうので、ちゃんと指導する父親役と、より親身に寄り添う母親役に分けて飴と鞭でやっています。
金森 ステップを刻んで、絶対できることから自信をつけていく。セロトニンを増やすアプローチとして理に適っていますね。
松田圭太(まつだ・けいた)
理学療法士/整痛院ふつか総院長。医療現場での長年の経験をもとに、”3年以上続く痛み”に特化したクリニック「整痛院ふつか」を設立。のべ5万人を施術し、慢性疼痛治療技術「MSMメソッド」を6万人の治療家に指導。2025年「東久邇宮文化褒賞」受賞。YouTube登録者23万人超。著書に『腰痛は医者には治せない』(小学館)がある
