(撮影:大河内禎)

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2026年4月23日の『徹子の部屋』に高橋克実さんが登場。下積み時代の思い出や、家族について語ります。今回は高橋さんが『トリビアの泉』の名コンビ八嶋智人さんと、清水ミチコさんと語り合った『婦人公論』2019年5月28日号の記事を再配信します。*****高橋克実さん、八嶋智人さんといえば、高視聴率を誇った番組『トリビアの泉』の名コンビを思い出す人が多いでしょう。公私ともに親しい2人ですが、かつて初の二人芝居『禿禿祭(はげちびさい)』上演の際、トークショーのゲストとして清水ミチコさんを招致。「禿禿でもできる形態模写」と題したモノマネ口座が盛り上がったことを、3人で懐かしく思い出すのでした

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「やりすぎ」と「リアル」の狭間で

清水 2人は知り合って何年くらいですか。

八嶋 来年で四半世紀になります。

高橋 この業界の人の中ではいちばんつきあいが長いでしょうね。

八嶋 しかも、密度も濃い。2人で『トリビアの泉』に出演するようになってからは、休みが同じだから遊びに行くのも一緒で。

高橋 あの頃は本当にしょっちゅう一緒にいましたよ。八嶋が「ダイビングを始めたい」って言い出した時も、僕は特に興味なかったけど一緒にライセンス取って、サイパンに行って。

清水 へー。仲いい!

八嶋 急な思いつきだったのでツアーみたいなのに参加して。飛行機の座席も2人でちょこんと並ぶわけですよ。で、お互い一般の方にキャーキャー言われるのは嫌いなタイプではないので期待して待っていると、キャーキャーどころか変な目で見られて。(笑)

高橋 とにかくコンビ感が強いんです。今でも新しい現場に行くと、初めて共演する方から、「八嶋さんは今どうしてるんですか?」って聞かれます。

清水 知らないって。(笑)

高橋 あと、僕が出た番組に八嶋も出てる、と思われていることが多い。

八嶋 僕、「『ショムニ』に出てましたよね?」ってものすごい言われるんですけど、1秒も出てませんから。

清水 2人とも、コミカルな芝居ができるから、そういうところでダブってしまうのかな。

八嶋 ところが、僕たちには衝撃的に違う芝居があるんですよ。二度見。「二度見してください」って言われたら、普通は一度見てすぐ、もう一回ちらっとだけ見るじゃないですか。こうやってクイックに(と実践)……。でも克実さんは、最初見たあとしばらくは何事もなかったかのように「そうそう、あの時ああしてこうして……」としゃべっておいて、それから突然「ん!?」っていう感じで思いっきり見るんです。

清水 遅っ! 斬新か(笑)。自分で編み出したの?

高橋 いや、俺が好きな二度見の芝居に、こういうのがあるよって見せたかったというか。たとえば『男はつらいよ』で寅さんが4回連続でコケるシーンがあるんですよ。4回も続けてコケて、最後は窓から落ちそうになるんだから自然なわけないんだけど、それが実に自然なんですね。そんなふうに、これまで自分が観てきた「あの時、あの人の芝居」について語り合ったりするじゃないですか。

八嶋 克実さん、映画大好きだから。

清水 じゃあ、その二度見もどこかで見つけたんだ。でも案外、高橋さんの二度見もリアルなところがある気がするなあ。役者の人もそうやって芝居を観察してるのか。知らなかった。

現実にあっても、芝居だとやりすぎになる

高橋 芝居だけじゃなく、もちろん普段の生活でも観察してますよ。酔っ払いが電車の手すりにつかまってぐらんぐらん揺れてるのに、絶対に倒れないことってあるでしょう。手すりを離して、もう倒れる……とこっちが思っているのに、すんでのところで持ち直す、とか。でもこれを現場でやると、監督に「そんな人いないから」って言われちゃうんですよ。

八嶋 「やりすぎやりすぎ」って。

高橋 現実って、絶対笑っちゃいけないような時に限って、何かトラブルが起きますよね。実際、母方の祖父の葬儀で、ものすごく酔っ払ってて絶対しゃべっちゃいけないようなおじさんが、置いてあるマイクスタンドに、「えー、生前は……ゴンッ」って額をぶつけるんです。

清水 たけしさんみたいな。(笑)

高橋 娘である母は、きっと怒ってるんだろうと思ってちらっと見ると、ずっと肩が震えてる。笑ってるんですよ。こういうことは現実にあるんですが、芝居だとやりすぎになる。そういうギャップが埋まらない時ってありますね。

八嶋 ミチコさんはモノマネする時、面白いところをあえてデフォルメすると思いますが、さじ加減はどうしてるんですか。

清水 その人への愛情が入口ではあるんだけど、だんだんウケる快感が勝っていく時はある(笑)。デヴィ夫人も、はじめは「あたくしはね」くらいでやってたんだけど、今はもう「あぁたくしはねぇ」までに……。

高橋・八嶋 あははは!

その都度、 拭けばいい

清水 私は、高橋さんのほうが先に出会ってるはずだよね。

高橋 下北沢が舞台の映画、『男はソレを我慢できない』です。

清水 そのあと、ドラマ版の『ちびまる子ちゃん』でまる子の両親役を一緒にやって。

高橋 あのドラマ、うちの子どもや親戚の子が大好きなんですよ。DVDを観すぎて映らなくなって、2枚目を買ったくらい。内容がわかってるのに、自分も何度でも笑って泣きますからね。

八嶋 さっきから2人だけ出てるみたいな感じで話が進んでますけど、僕もたまちゃんのお父さん役で出てますからね。何せ、さくらももこ先生のご指名だったんですよ。あの役は八嶋さんでって。

清水 あー、そうだそうだ忘れてた、ピッタリすぎて(笑)。撮影の時、高橋さんがスタッフの女性たちに大人気で、みんな口々に「結婚したい」って。

八嶋 克実さん、モテるんですよ、昔から。でも知れば知るほど、結婚したくないタイプですけどね。うちに来て飲んでても、ずーっとおしぼりでテーブルを拭いてる。

清水 性分なんだよね。

高橋 水滴とか、ちょっとでも落ちてるとダメですね。汚れものが出ていると、そのまま食べ続けられなくて。途中で片づけたりしちゃうんです。

八嶋 昔、届け物があって克実さんの家に突然行ったことがあります。「ちょっと汚いけど」って通されたリビングがモデルルームみたいにきれいで。なのに、観葉植物の下の汚れが気になるらしく、しゃべりながらクイックルワイパーで拭くんです。でも、今度はどけた時に置いた跡が気になるでしょう? また拭いて……それをずっとやってるから、思わず「克実さん!」って止めましたよ。

清水 もう、やめて〜。(笑)

八嶋 同じ草野球チームに入っていた時、練習後に、克実さんの家でシャワーを借りたんです。そしたら、克実さんがいつになっても出てこない。どうしたんだろうと思っていたら、シャワー浴びたあと、汗だくになって風呂掃除してるんですよ。この人は何をやってるんだろうっていう。

高橋 自分でもわかってるんですよね。子どもの頃から、あまりきれいじゃない場所では食べられなくて、母親から「お前は僻地に行くようなことがあったら、真っ先に死ぬ」っていくら言われても、「死んでもいい」って絶対に食べませんでした。

清水 じゃあ、海外ロケの時なんかは大変だね。

高橋 だから42までパスポート持ってなかったんです。今でも、あまり行きたいと思わないですもん。

清水 奥さんから、文句言われない?

高橋 そりゃあ、行きたいんだろうと思いますよ。でもほら、海外は手軽な立ち食いそばとかないんだろうし。国内が一番ですね。

清水 ああ、こんな人と無理に一緒に行っても、つまらなさそう。(笑)

掃除機を朝からかけるのが、生きがい

八嶋 でも、ありがたくもあるんですよ。たとえば、楽屋の洗面所ってメイクを落としたりするので、汚れやすいんです。同じ楽屋になると、本来は後輩の僕が掃除すべきところを、ひたすらピカピカにしてくださる。僕がやったところでどうせ克実さんがあとからやってくださるんですから、何もしなくていいわけです。それでいて、そんな後輩に対して、「なんでお前がやらねーんだ」みたいな態度をとることも一切ない。むしろご機嫌なんですよね。

高橋 トイレも掃除しちゃいますからね。稽古場でも劇場でも、しばらく使うと決まったら、ほかの誰より早く行ってきれいにしておきます。

清水 そこまでやるかね。

八嶋 あと、自分でクイックルワイパーを買ってきて、そのままいろんな劇場の楽屋に寄付されるんですよ。

高橋 何が一番好きかって、家で充電式の掃除機を朝からかけるのが、生きがい、というかね。

清水 今の仕事やめても、掃除のプロになれるね。

八嶋 『グッディ!』でお掃除コーナーを作ればいいじゃないですか。

高橋 そんなコーナー作らなくても、水回りなんてその都度拭けばきれいになるんだよ。

八嶋 出た、名言。さすが! 毎日やればいいってことですね。

高橋 毎日じゃないの、毎回。

清水 でも、水回りはどうせ濡れるんだから拭かなくても。

八嶋 そうそう!

清水 あんたはいったいどっちに付くんだ。(笑)

〈後編につづく〉