大阪市「パワハラ局長」に実質処分なし…!松井一郎元市長と維新人事の危うい関係
パワハラ局長、処分されず……
大阪市の局長にはパワハラ26件が認定された。処分は減給10分の1、6か月。だが、減給は一円も執行されず、翌日には大阪府特別参与に起用された。
しかも、その人事は批判を浴び、わずか半月ほどで行き詰まる。4月16日、元局長は参与を自ら退職したのだった。
前編はこちら
『大阪で起きた「異能」の暴走…!「パワハラ局長」が大阪府参与になったヤバすぎるワケ』
前編で見てきたように、大阪市の経済戦略局長の岡本圭司氏は、熱血的に部下を指導し、業務遂行能力の高い人物だった。
だが、部下への激しい叱責と無視を決め込む陰湿な対応をとる人徳の低さが、部下たちの離反を招き、大阪市公正職務審査委員会にパワハラを認定された。
しかも、処分は実質的に無効となった。
大阪市は、岡本氏に対して減給6か月の懲戒処分を決定したが、本人は処分発令の翌日に任期満了によって退職したため、この減給は実施されなかった。そして退職後、間を置かずに大阪府の特別参与に就任したのだった。
この強行人事の背景から透けてくるのは、維新の会の創業者の思惑と、執行部との危うさをはらんだ関係だ。
局長と「元知事・元市長」との関係
実は、岡本氏の経歴をたどると、今回の人事の背景にあった構図が見えてくる。
彼は大阪府職員としてキャリアを重ね、文化・観光・都市魅力政策などの分野で頭角を現した。その過程で近い関係にあったのが、元大阪府知事・元大阪市長の松井一郎氏である。
府市関係者の間では、岡本氏は松井氏に近い実務官僚として知られてきた。
2011年に松井氏が知事に就任して以降、岡本氏はイベント行政や都市魅力施策の前線で存在感を強めた。中之島周辺開発、大型イベント、文化施策などで実務を担い、政治判断を現場で具体化する役割を果たしたとされる。
政治を動かす松井氏と、実務を回す岡本氏――。そうした関係性の中で信頼が形成されていった。
その関係を象徴するのが、岡本氏の処遇の“長さ”でもある。
岡本氏は1957年生まれで、本来であれば地方公務員の当時の定年制度(60歳)に照らし、2018年3月末で退職していても不思議ではなかった。ところが、岡本氏はその後も大阪府幹部として職にとどまり、定年延長を経て要職に残り続けた。
部長級幹部の定年延長自体が直ちに異例とまでは言えないにせよ、府庁内では「なぜ岡本氏だけがここまで重用され続けるのか」との見方もあったという。そこには、当時の松井知事の意向が働いていたとみる向きも少なくない。
その延長線上にあったのが、2021年の人事だった。
松井氏が大阪市長に転身した後、大阪府の府民文化部長だった岡本氏を市の経済戦略局長に起用した人事は、公募形式を取りながらも、実質的には府幹部の横滑り人事と内外で受け止められた。
2025年大阪・関西万博を控え、観光、文化、都市プロモーションを束ねる局長ポストに、府市双方の事情を知る岡本氏を据える。その判断には、松井氏の意向が強く働いたと見られている。
市関係者の中には、岡本氏が吉本興業や松竹などとの折衝について「窓口は自分だ」と語っていたと証言する者もいる。行政とエンターテインメント業界をつなぐ実務の要として重用されていたことは間違いない。
府で定年延長され、市へ移り、退任後には再び府特別参与へ――。その後、批判を浴びて短期間で退職に追い込まれたことまで含め、一連の人事には、単なる能力評価だけでは説明しきれない継続性と無理筋がにじんでいる。
「しがらみのない政党」の実態
大阪政界では以前から、岡本氏の周辺には、府市行政の枠を超えた人的ネットワークがあると語られてきた。元知事経験者をはじめ、関西財界、各種団体、さらには永田町にも連なる旧来の利権のような人脈との接点が指摘されることも少なくはない。
こうした人的ネットワークを背景に、岡本氏は特異な実行力を誇示してきた。とりわけ、橋下徹氏から松井一郎氏へと続く維新政治が、既存の慣行を押し切る突破力を看板としてきたなかで、岡本氏はその実務面を体現する存在だった。
単なる一官僚ではなく、行政実務と政治人脈の接点に位置し、維新政治の推進力を現場で支えてきた人物として内外から捉えられてきたのだ。
その岡本氏が、パワハラ認定を受けながら、大阪府参与として再起用された。彼を重用してきた松井氏は、いま表舞台から距離を置く立場にある。だが、なおその意向が、大阪維新の会代表である吉村洋文大阪府知事や、代表代行である横山英幸大阪市長による岡本氏の処遇に影響したとすれば、違和感は小さくない。
維新はこれまで「既得権との決別」を掲げて支持を広げてきた。
国政与党でもある維新の会の掲げる「しがらみのない政党」という言葉が、理念と現実の落差を浮き彫りにする。
大阪府は起用当時、今回の人事についてこう説明していた。
「都市魅力施策に豊富な知見を持つ岡本氏による助言等を得るため、特別参与への就任を依頼した。雇用に先立ち、岡本氏が自身の言動について深く反省し、今回のようなことを二度と起こさないとの意向を確認しており、今後適切に業務を行っていただけるものと考えている」
創業者は退いても、人事にその影が残る。そう見られること自体、維新にとって軽い話ではない。
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