学生を巻き込んだ「学びと遊びの場」への投資。千葉・松戸の老舗・堀江良文堂書店が仕掛ける地域連携の形とは

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STVラジオ(北海道)でパーソナリティを務める、ようへい氏によるPodcastの書評番組。今回は千葉県松戸市の3代続く老舗書店をご紹介。地域との関係を深く構築し、お客様としてのニーズを捉えるだけではなく、店舗取り組みにも学生を巻き込んで良いサイクルを生み出しています。「街の知を支える本屋さん」の歴史といまを見てみましょう。

地域との繋がりを広げていく取り組み

ようへい:皆さんこんにちは、今回は「本を探しに街に出よう」ということで、全国各地の書店の魅力や歴史を深掘りしていきます。今回は昭和初期の創業という「堀江良文堂書店 松戸店」さん。本日は堀江基行(ほりえ・もとゆき)取締役にお話を伺います。よろしくお願いいたします。

堀江取締役:こんにちは。よろしくお願いします。

ようへい:早速ですが、昭和初期創業とお話しさせていただきましたが、いつ頃どちらで事業をスタートされたのでしょうか?

堀江取締役:昭和5年、東京の京橋のほうで創業しまして、昭和29年に祖父の代で松戸店がオープンしました。

ようへい:事業開始からもうすぐ100年、松戸に来てからも70年以上経ちますが、当時この周辺というのは全く雰囲気が違ったのではないでしょうか?

堀江取締役:ビルなどもなくて、このお店も当時は2階建てだったそうです。1階が書店、2階が祖父の兄弟が営む麻雀荘だったという話を聞いたことがあります。

ようへい:書店と雀荘ですか。多角経営すぎますね。すごい。この松戸駅周辺の発展を堀江良文堂書店さんは長年見守ってきたということになりますが、元々この松戸という地域は宿場町か何かだったのでしょうか?

堀江取締役:はい、基本的には宿場町として栄えた町だったと聞いています。そこから駅周辺が栄えて、いわゆるニュータウン的に多くの方が住むような地域になってきたと。都内にアクセスしやすいということで、どんどん人が入ってきて、マンションが建っていったということです。私たちが子供の頃は、ちょっと行けば本屋さんはいくつかありましたね。

ようへい:現在は個人経営の書店が随分と少なくなってきましたね。

堀江取締役:そうですね、うちは近隣では一番老舗ということになりますね。おそらく現在一番長くやっている書店のほうに入るかと思います。「祖父や父の代にお世話になりました」とご挨拶してくださるお客様もいらっしゃいます。

ようへい:うわぁ、書店を経営していく上でモチベーションになりますね。そして堀江さん、こちらでは現在各書店が当然行っている取り組みの先駆けのようなことをしていたと伺ったのですが、どういうことですか?

堀江取締役:いわゆる本の売上データ管理のようなことを、手書きでやっていたそうです。単品管理を基にした品揃え・発注を始めた書店と聞いています。

ようへい:つまりお店の売上データを管理して「売れ筋」を多く仕入れたり。つまりお客さんのニーズに応えられるようなお店作りを先代や先々代からやってきたというお話ですね。現在は2階、3階、4階と3フロアにわたって様々な本でお客様をお迎えしていらっしゃいますが、2階が児童書・参考書売場ということで、学びの場として充実したフロアになっています。子供へ向けた本のラインナップの充実というのは、お店として力を入れていますか?

堀江取締役:はい、2階のフロアは約10年前に作りました。当時は競合店が児童書を大きく展開していたんですが、私が他の支店から松戸店に戻ってくる際に、その競合店が児童書展開を閉じるという話になりました。「じゃあうちで2階にフロアを作って児童書をやろう」と。30年後のお客様を育てることになるということで、始めました。

ようへい:先ほどの在庫管理も含めて、やはりお客様のニーズにしっかり応えていこうというのを感じますね。また、売場を設けただけではなく、子供たちや近隣の学生とタッグを組まれているそうですね?

堀江取締役:児童書フロアを開設した当時から、「りょうぶんどうおはなし会」というのを開催しています。近隣に「聖徳大学」という保育系の大学があり、うちに買い物に来てくれる学生さんたちに声をかけて「一緒におはなし会をやろう」ということで一緒に活動しています。学生さんたちはやはり若いので、子供たちと近い感覚で接する力にものすごく長けていて、非常に助かっています。

ようへい:そうなんですね。本日は大学生でその取り組みに実際に参加している女子学生の方が来てくれています。聖徳大学4年生のかなこさんです。こんにちは、少しだけお話を聞かせてください。

かなこさん:こんにちは。

ようへい:かなこさんは「おはなし会」の取り組みに参加して、読み聞かせなどを行っているとのことですが、聖徳大学の学生ということで将来は教育関係の道に進みたいということでしょうか?

かなこさん:そう思っています。

ようへい:堀江良文堂書店さんが立ち上げた子供たちとのふれあいの中で、実際に「参加して良かったな」と思うことはありますか?

かなこさん:絵本を読んでいて、聞いてくれている子供たちがすごく喜んでいる姿を見ると、私も同じように喜べますね。

ようへい:将来の夢に対するモチベーションにもなってきますよね。元々かなこさんは本が好きだったんですか?

かなこさん:はい、両親が本好きなので、小さい頃から家にたくさん本がありました。

ようへい:そうですか! 好きな作家さんはどなたですか?

かなこさん:森見登美彦さんです。

ようへい:いやもうね、若い世代の方にインタビューさせていただくと、よく森見登美彦さんの名前出てくるんですよ。どんなところが魅力的ですか?

かなこさん:恋愛小説にユーモアを混ぜて面白く書いているところが好きだなと思います。

ようへい:ちょっとファンタジー要素があって、日常のこと描いてるようで少しだけ世界線がズレた不思議な世界に誘う雰囲気がありますもんね。かなこさんが考える読書の魅力ってどんなところにありますか?

かなこさん:本を読んでいると心が落ち着いたり、辛いことがあっても本を読んでいると違う世界へ自分の心が没頭できるところです。

ようへい:そうですよね。これから、かなこさんの世代の皆さんには、さらに下の世代に本の魅力を伝えていってもらいたいので頑張ってくださいね。

かなこさん:頑張ります!

ようへい:ありがとうございます。聖徳大学4年生のかなこさんでした。いやちょっと堀江さん、頼もしい学生ですね。本日はかなこさんがお休みだったから来ていただいたのですが、この他にもこうして助けてくださる学生がいらっしゃるんですもんね。

堀江取締役:そうですね、たくさんいます。

ようへい:今後、堀江良文堂さんとして力を入れていきたい事業はありますか?

堀江取締役:私の社会活動の中の一つでもありますが、地域とのつながりをさらに広げる活動がしたいですね。特に聖徳大学さんの学生さんたちと手を携えながら、物事を考えていける「学びの場」作りであったり、子供たちの「遊びの場」であったり、そういうところに書店がなっていけば良いと考えています。

ようへい:これまでの書店事業で「嬉しいな」というエピソードはございますか?

堀江取締役:この2階のフロアを10年やっていますが、当時学生だった子が数年後に急に赤ちゃん連れてきて、「あの時の学生です。当時本を一緒に選んでいただいた本屋さんだから来ました」なんて言ってくれたのが嬉しかったですね。

ようへい:その方も赤ちゃん生まれたからと言ってコンビニや飲食店に一軒一軒回るわけないですもんね。その中でもお店に来てくれたということは地域の方と密にお付き合いができているということですね。

堀江取締役:そうですね、そういうふうにあれればなと思っています。

ようへい:さて、ここで堀江取締役にオススメの一冊を伺いましょうか。どちらにしましょう?

堀江取締役:今回のオススメは2024年「講談社絵本新人賞」受賞作で2025年の「MOE絵本屋さん大賞」新人賞4位になりました、『どんぐりず』という絵本を紹介させていただきます。「どんぐりころころ」の歌を思わず口ずさんでしまいたくなるほどリズムとテンポが良く、表情豊かなどんぐりたちの動きがダイナミックで、ページをめくるのが楽しみになるような絵本です。

秦直也(はた・なおや)『どんぐりず』

ようへい:私も先ほど読ませていただいたのですが、本当にポップで心が浮き立ちますね。最後のページなんかとってもピースフルで幸せな心持ちにしてくれます。堀江基行さん激推しの1作『どんぐりず』、イラストレーターで作家の秦直也さんが書いていらっしゃいます。てなわけで今回は「本を探しに街に出よう」、千葉県松戸市JR常磐線松戸駅東口出てすぐのところにあります堀江良文堂書店の堀江基行取締役にお話を伺いました。そして聖徳学園の4年生のかなこさんもありがとうございました。

かなこさん:ありがとうございました。

堀江取締役:ありがとうございました。

今回も「ようへいの時短ブッククラブ」にお付き合いいただきましてありがとうございました。

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それでは皆さん、素敵なブックライフをお過ごしください。

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